平成29年2月定例会 教育厚生委員会

障害児(者)施設整備費補助金について

 渡 辺 障害児施設整備費補助金について、何点かお伺いしたいと思います。
 この補助金の対象としているのは、社会福祉法人の山梨県社会福祉事業団の運営するきぼうの家だということを伺いましたが、今回の補助額が5億円を超えるという非常に大きい金額になっております。補助の対象とするきぼうの家の施設の概要と、今回、補助をする目的について、まずお伺いいたします

 障害福祉課長 施設の概要でございますが、現在のきぼうの家は重度の心身障害者を対象とする施設でございまして、入所定員100名の県内有数の規模を有する障害者支援施設でございます。また、生活介護並びに就労支援、就労継続支援B型などの通所サービスも行っているところでございます。
 今回の整備の目的についてでございますが、きぼうの家は昭和51年に設置され、老朽化が著しいとともに、現在の敷地、甲府市羽黒町内にございますけれども、敷地全体が土砂災害警戒区域に指定されておりますところから、利用者の安全を図るため、甲府市下鍛冶屋町地内への移転再整備を行うものでございます。

 渡 辺 きぼうの家の移転と新築に補助をするということですけれども、入所が必要なほどに重い障害を持っている方々もたくさんいる中で、何十年も前につくったきぼうの家の今の生活環境と、今後、新しくする中で、現在、大分変わってきていると思います。そこで、社会情勢の変化によって、障害者の方々が安心して居住できる施設になっていただきたいと思いますが、新しく移転新築する施設の整備の内容についてお伺いいたします。

 障害福祉課長 新しく整備する施設は、鉄骨づくり平屋建ての施設でございまして、全ての居室が個室になっております。これまでのきぼうの家は、平均すると1室当たり4名程度の多床室になっておりましたが、今般、整備します新しい施設については、全ての施設が個室になっていること、また食堂や浴室などといった生活環境の整備でありますとか、就業訓練のための指導訓練室などが整備される予定となっております。入所定員は80名としておりまして、居室は、短期入所分も含めて85室確保する計画となっております。
 入所定員をこれまでの100名から20名の減員としたことにつきましては、平成17年に施行された障害者自立支援法、あるいは現在、施行されております障害者総合支援法に基づき、施設入所による福祉サービスから、可能な限り地域に移行を図りまして、自立した生活を送っていただくという国の方針によるものでございまして、やまなし障害者プラン2015におきましても、地域移行を進め、施設入所者を順次減らしていくこととしていることから、国や県の施策に沿った整備内容となっていると考えております。

 渡 辺 今の御説明の中で、もともと100名が入所していたものを80名に減らすわけですけれども、その中で短期入所を少し拡充させていくというお話がありました。やはり、障害者の方々がなるべく地域社会と共生して暮らしていけるような環境をつくっていくのが、今後、本当に大事になってくると考えております。今回、新しく移転新築する中で、通所型のサービスが拡充されるということは、ぜひ積極的に進めていっていただきたいと思っているんですけれども、整備する施設の短期入所の枠が少し広がっていくという御説明の中で、今後、通所のサービスというものをどうやって拡充させていくお考えを持っているのか、最後に御所見をお伺いいたします。

 障害福祉課長 新しい施設におきましては、入所者の生活介護のほか、通所サービスといたしまして就労移行支援、これは一般企業への就労を希望する人に対して能力向上のための訓練を行う機能でございますが、就労移行支援と就労継続支援B型、これは一般企業への就労が難しい方に対して、雇用契約を結ばない中ではありますけれども、生産活動の体験を通じまして、能力向上のための訓練を行っていただく施設でございますが、これらを合わせまして、20名から23名に増員する計画となっております。
 また、在宅障害者の家族の方々の負担を軽減するため、短期入所、これは自宅で介護する人が病気など、あるいは冠婚葬祭などで、短期間、御家族の方の面倒が見られないといった場合に、短期間、夜間を含めた入浴や排せつ、食事等の介護等を行う機能でございますが、短期入所の定員も2名から5名にふやす計画となっております。

公立高等学校等入学準備サポート事業費について

 渡 辺 公立高等学校等入学準備サポート事業費について、何点かお伺いいたします。
 まず初めに、この説明で、冒頭に「経済的に余裕のない世帯の」というような文言がありますけれども、この経済的に余裕がない世帯というのは、一体、どういうものを示すのか、例えば生活保護の世帯ですとか、一般的に言われる世帯年収が幾ら以下ですとか、そういったことについてお伺いいたします。

 高校教育課長 本事業につきましては、国の奨学給付金に加えまして、県独自に給付金を支給するものであります。奨学給付金と同じく、保護者等の市町村民税所得割が非課税の世帯の子供を対象と考えております。
 なお、生活保護受給世帯につきましてですが、本事業で給付の対象としております制服購入等の経費につきましては生活保護費で支給されることから、本事業におきましては、生活保護受給世帯は除いた市町村民税所得割非課税世帯を対象としております。

 渡 辺 市町村民税の非課税世帯という御説明でしたけれども、それでは、この入学準備サポート事業費の支給の対象となる生徒数というのは、多分、そういった世帯が決められているのでわかるかと思いますけれども、一体、何人ぐらいだと把握していらっしゃるのかと、もう一つは、その人数が全体の入学者において大体何割ぐらいになるのか、教えていただきたいと思います。

 高校教育課長 平成29年度の該当者につきましては、今日、高校入試が行われておりますが、これから入学者が決まるところでございますので、これまでの奨学給付金の実績に基づきまして、公立高校では623人を見込んで予算立てをしております。なお、割合としましては、全体の約1割程度と考えております。

 渡 辺 全体の1割程度ということは、結構な数がいらっしゃるという率直な感想を得たわけですけれども、今までの説明の中で、もともと国の給付金にプラスして、今回、県単独で5万円を給付していくということですけれども、それでは、そもそも高校の入学にかかる費用として、公立高校では一体どれぐらいの費用が必要になって、それは一体、どういうものなのかということをお伺いいたします。

 高校教育課長 公立高等学校へ入学する際に必要となる経費につきましては、ほとんど全ての学校に共通して必要となります制服や上履き等の学用品購入に要する経費と、学校によって内容が異なります教科書や教材の購入に要する経費とがありまして、これらを合計いたしますと、公立高等学校の平均で約13万円程度が経費としてかかるということになっております。

 渡 辺 全体で、入学時に制服だとか、おそらく上履きだとか体育着だとか、そういったものだというふうに理解しているんですけれども、学校等によってはいろいろ差はあるんでしょうけれども、大体平均して13万円ということが一時的にしろかかるという中で、住民税の非課税世帯にとっては大変重たい負担だということは私も承知しております。そのために国のそもそもの給付制度があるわけでして、なぜそれにプラスするような形で5万円を支給するようなこの制度を創設するのか、この5万円という金額の積算根拠というのはいかがなものなのか、お伺いいたします。

 高校教育課長 高校等の入学準備に要する経費のうち、御指摘のありました制服や上履きなど、ほとんど全ての学校に共通して必要となる費用につきまして調査しましたところ、平均で約9万円程度となっております。国の奨学給付金におきましては、これらの経費として約4万円を積算しておりまして、差額の5万円を県独自の給付金として給付し、支援してまいりたいと考えております。

 渡 辺 御説明のあった制服だとか上履きという、最低限、共通として必要なものが9万円かかって、そのうちの公立学校給付金で負担される部分が4万円ぐらい、もっと全体的にいろいろあるんですけれども、その部分については、多分、4万円ぐらいがここに充てられている、足りない部分の5万円ぐらいをこれで足していくということで、わかりました。子供の貧困等、最近、問題になっておりまして、いろいろな方々が一般質問や委員会等でも質問なさっていると思うんですけれども、こういった市町村民税が非課税世帯というのは、まさにそこが子供の貧困の対象となるような世帯が多かろうと思っておりますので、ぜひ高校入学時に、例えば制服が買えないだとか、上履きが買えなくて、子供が惨めな思いをすることのないように、手厚い支援を今後も検討していっていただきたいと、そのように思います。ただ、ちょっと不安に思っているのが、平成29年度からこの制度を使っていくとなると、もう3月なので、この制度をつくっても、周知告知の期間があまりにも短いと感じるんですけれども、そのような中で、こういった制度ができて活用できるということを、対象となる世帯にどのように周知していくのかについて、お伺いいたします。

 高校教育課長 現在、考えておりますのは、3月15日以降に各高校におきましては、入学予定者を対象としたオリエンテーションを実施いたします。その際に、議会で審議中であるという旨を説明しながら、事業の周知を行いたいと考えております。

 渡 辺 議決前になってしまうんだとは思うんですけれども、せっかくこういったサポートの制度ができて、全然知らなくて初年度から活用できないといったことのないように、3月13日には中学生の卒業式があって、そういった機会に、こういった制度が来年度にできる予定ですと説明をしていただくとか、中学校の卒業式の次の日は、合格発表が高校等であろうかと思いますので、その折にも、ぜひ制度が創設されることを周知するような方法をとっていただきたいと思っているんですけれども、そういったことについてどう考えているのか、御所見をお伺いいたします。

 高校教育課長 まことにありがたい御意見を頂戴したと考えております。周知につきましては、本課としても大きな課題と捉えておりますので、頂戴しました御意見のようにさせていただければ、本課としても大変ありがたく思っているところです。よろしくお願いいたします。

 渡 辺 ぜひ困窮して困っている世帯に、こういった制度があることを告知していただいて、ただ、まだ議決前ですので、最後に注意書きで、議決を経た後に創設される予定であると、口頭でやるのか、文書でやるのか、よく告知できる方法を検討していただいて、この制度の周知を図っていただければと思います。

富士北麓公園陸上競技場改修事業費について

 渡 辺 12月定例会の委員会でも質問をさせていただいたんですけれども、今回、改修事業費として、5億3,849万9,000円という金額が計上されております。まず、事業内容として書かれているフリーウエイトトレーニング室や室内練習走路等の整備と書かれておりますけれども、この予算の今回の内訳について、お伺いいたします。

 スポーツ健康課長 まず、フリーウエイトトレーニング室につきまして、建設工事とトレーニング機器の整備とございます。建設工事費につきましては1億3,800万円余、トレーニング機器の整備につきましては2,800万円余を計上いたしております。それから、屋内練習走路につきましては、建設工事費として3億4,800万円余を計上させていただいているところでございます。さらに、このほかに、陸上競技場と球技場がございます。その2カ所にラグビーゴールを設置するということにしておりまして、こちらが2,200万円余を計上させていただいているところでございます。

 渡 辺 まず、室内練習走路も3億何千万円ですけれども、これは完成するまでの建屋の全部の予算と捉えてよろしいんでしょうか。

 スポーツ健康課長 ただいま申し上げましたのは、平成29年度分の予算でございます。完成そのものは30年度までかかります。平成30年度にはまた債務負担行為でお願いをさせていただいているところでございますけれども、30年度に1億6,700万円余ということで、計画をさせていただいているところでございます。

 渡 辺 予算の内訳の中で、もう一点、気になったところが、フリーウエイトトレーニング室の整備を行っていく中で、建物自体の整備とともに器具を購入ないし整備していくという御説明でしたけれども、トレーニング器具というのは具体的にどういったものになるのか、お伺いいたします。

 スポーツ健康課長 今回、整備しようとするものは、ラグビーワールドカップの組織委員会から、公認キャンプ地とするためにはこれだけのものを幾つ必要になるというガイドラインが示されておりまして、これに沿って整備をしようとするものでございます。例えばバーベルを6セットですとか、ダンベルのセットですとか、あるいはベンチプレスのセットといったものを整備する予定としております。

 渡 辺 富士吉田市が7人制ラグビーワールドカップのフランス代表チームの事前合宿誘致にほぼ内定しているということもありますので、ぜひその基準に沿ったフリーウエイトトレーニング施設になるように、議決が通りましたら速やかに整備を行っていただければ、また例えば陸上競技等、ほかの団体にも、事前合宿やキャンプ地等にもきっと有効なことになってくると思いますので、ぜひ進めていただければと思います。
 最後に懸念している部分が、平成29年度、30年度にかけて、富士北麓公園陸上競技場の整備を行っていく中で、富士北麓公園は、皆様方も御存じのとおり、1年間でかなり大きなイベントを、例えばヒルクライムですとか火祭りロードレースですとか、そういった大きな、何千人あるいは何万人という集客を誇るイベントがありますので、この改修工事の期間で、そういったイベント等に施設を利用する際に重大な影響が生じないのか、そういったところについて御所見をお伺いして、質問を終わらせていただきます。

 スポーツ健康課長 今、委員御指摘のとおり、この工事期間中は陸上競技場の中、トラックそのものは使えるんですけれども、出入りというのはできなくなります。したがいまして、そういった状況につきましては、指定管理者が山梨県体育協会ですけれども、これまでに計画段階のときからいろいろ情報提供をさせていただきながら、関係者に周知を図ってくださいということでお願いをしてまいりました。それから、ことし1月、明年度の利用について、関係者間で調整する北麓公園の利用者調整会議がありましたけれども、そこへ私どもも赴きまして、関係者にこういった事情です、利用に制限がかかりますということのお話をさせていただいておりますし、このほかに、今、委員御指摘のようなヒルクライムですとか富士吉田火祭りロードレースといったところは、富士吉田市の陸上競技協会というところが主催をしているわけですけれども、そうした大きなイベントの主催者に対しましては個別に赴きまして、計画の説明をして、それぞれの事業、イベントが円滑に進むようにお願いをさせていただいたところです。

いのちを守る県民運動推進事業費補助金について

 渡 辺 私も自殺対策の条例案作成委員会にも所属しておりまして、また自殺対策議連の研究委員会にも所属している関係上、ここの自殺対策について、全体的にいろいろ聞いていきたいと思います。
 まずいのちを守る県民運動推進事業費の補助金について、民間団体に対して補助していく中で、昨今、自殺対策は行政だけでなく、また県と市だけでなくて、民間団体の協力が実に必要だということを自殺対策条例案作成委員会の中でも十分議論してまいりました。
 そんな中、年々、きっと民間団体の果たす役割が大きくなっていくことによって、県内における自殺防止の対策が実っていくんだと思うんですけれども、まず民間団体に支援するこの事業なんですけれども、その狙いというものをお伺いいたします。

 障害福祉課長 山梨県自殺対策推進計画におきまして、県民は自殺対策に関する活動を自主的に行うこと、また、民間団体は県民が自殺対策に参加する際の母体となることが期待されております。しかし、現状では県民が広く自殺対策に参加できる機会は少なく、民間団体においても、必要な資金を確保し、活動を拡大していくことが困難な状況となっております。こうした中、県では、県民の参加意識の向上を図るとともに、民間団体が県民から広く理解と賛助を受け、継続的に自殺対策に取り組み、十分に役割を果たすことができる体制の整備を支援することとし、啓発グッズの販売等により、県民参加への意識の向上を図るとともに、その取り組みに対して助成することとしたところでございます。

 渡 辺 ぜひ普及啓発活動を積極的に行っていただいて、県民全体の自殺防止に対する意識の醸成を図っていっていただきたいと切に思うんですけれども、そんな中、この事業としては、いのちを守る山梨県民運動推進会議に助成することになっているんですけれども、まず、推進会議というもの自体がどういった団体で、県としてここに助成することにどういったことを期待しているのか、お伺いいたします。

 障害福祉課長 いのちを守る山梨県民運動推進会議は、県内の民間団体10団体で構成されておりまして、県内で民間における自殺対策のネットワークを形成している唯一の組織でもあります。いのちを守る山梨県民運動推進会議では、明年度以降、ネットワークの拡大や活動の活性化を図っていく方針であるとお聞きしており、県といたしましても、この推進会議に、県民が自殺対策に参加する際の母体となる中心的な役割を期待しているところでありまして、その活動を活性化させることが重要であると考えているところでございます。

 渡 辺 民間団体における中心的な団体を担っているということですけれども、ぜひそこと県と市と連携して、自殺防止に対する意識の醸成を図っていく中で、今回、この事業内容を見させていただきますと、啓発グッズにおいた機運の醸成とか、ホームページの作成等と書かれているんですけれども、啓発グッズをおそらくこの推進会議が作成することに対して助成をして、それを例えば売却して意識の醸成を図っていくということですけれども、実際、この団体がグッズを作成することに対して、それに対して利益も上がってくるでしょうし、そういったことを行っていく上で、なぜ県が最初に助成していくのかについて、お伺いいたします。

 障害福祉課長 この事業は、啓発グッズの作成あるいは販売等を通しまして、多くの県民に自殺対策への積極的な賛助や参画の意を表明していただくものでございまして、自殺対策を裾野の広い県民運動としていくための中核的な事業の1つでございます。同時に、自己資金が少なく行政からの助成金が活動資金の大半を占めているいのちを守る山梨県民運動推進会議が、みずから活動の原資を得ていただくための事業でもございまして、この事業を通じまして、推進会議の財政的基盤の安定化を図ることによりまして、自立的でかつ継続的な活動を行っていっていただくことを意図したものでもございます。この補助金は、こうした取り組みが軌道に乗るまでの間、初期費用の一部を助成するものでございまして、こうした民間主導の取り組みが、年々、拡大されることによりまして、よい循環に入っていくものと考えておりまして、その時点において行政の財政支援は不要になるものと考えております。

 渡 辺 まさに民間団体というものは、やはり財政基盤が弱くて、活動したくてもなかなかその原資になる資金不足によって望むような活動ができていないということが自殺対策の検討委員会でも話題に上っておりましたので、ぜひその部分を県として積極的に支援していただいて、行く行くは行政と民間との両輪によって自殺防止対策に取り組んでいっていただけるように、民間団体の方々にも安定した財政基盤をつくっていけるようになっていただければと思います。

高齢者見守り体制整備事業費について

 渡 辺 自殺対策推進計画の中では、例えば若年層だとか中間年齢層、そして高齢者層、それぞれの世代に対していろいろな課題があるということを計画の中に書かれていると思うんですけれども、なぜ今回、高齢者というものに着目して、こういった事業を行うのか、お伺いいたします。

 障害福祉課長 委員御指摘のとおり、近年、本県における自殺者数及び自殺死亡率は、全体としては減少しているものの、若年層と高齢者層、この2つの年代について、自殺死亡率が上昇しているという状況にございます。他方、本年度実施いたしました高齢者を対象とした自殺予防対策に関するアンケート調査におきまして、外出頻度が少ない高齢者の方や、単身世帯の高齢者の方が鬱傾向に陥りやすいということが確認されたところでございます。このため、県といたしましては、県内で最も高齢化が進んでいる峡南地域の1町村を対象といたしまして、明年度、高齢者の見守りを目的としたモデル事業を実施することとしたものでございます。

 渡 辺 県全体としては、自殺の率が減っていっている中で、また、高齢化が進む中で、高齢者の自殺対策というものが大変重要な課題になってきて、特にひとり暮らしの高齢者もふえてきておりますし、いろいろな病気を抱えたりだとか、財政的な問題を抱えたりする可能性が高い高齢者層に対して、地域で見守っていって自殺防止を図っていくということなんですけれども、その中でこの事業を見させていただきますと、民生委員等を対象とした研修会の開催という形になっているんですが、民生委員はわかるんですけれども、当の民生委員以外にほかにどんな方がいらっしゃるのかとともに、この研修会を行っていく目的について、お伺いいたします。

 障害福祉課長 地域における高齢者の見守りを目的としたこの事業の実施に当たりましては、日ごろから高齢者と接する機会が多い団体を対象とすることが適切であると考えております。そこで、民生委員、児童委員のほか、地域の愛育会の役員さん、あるいは地域で活動しているNPO法人などを対象に、研修会を実施することといたしております。民生委員等が、閉じこもり傾向にある高齢者とのコミュニケーションを図るためには、高齢者に向かい合うためのアプローチの手法でありますとか、耳を傾ける傾聴の方法などのスキルが必要とされております。このため、精神科医あるいは臨床心理士を講師に招きまして、研修会を実施することとしたものでございます。

 渡 辺 高齢者を見守るという中で、高齢者の相談を受ける等の活動をする中で、やはり地域のこと、実情をよく知っている方、あるいは高齢者と世代的に近い方、あるいは専門的な知識を有する方でないと、なかなか高齢者の方々も、警戒心もあったりだとか、心を開いてくれないということもあろうかと思いますので、ぜひ、そんなさまざまな方と意見交換をするなり、また、専門家から研修会を通じて専門的な知識を得るなりして、高齢者に寄り添うような形で、こういった研修を実りあるものにしていただければと思うんですけれども、その前の質問で、この事業は、今回、峡南地域を対象に行って、モデル事業として行っていくという御説明でしたけれども、私の住む富士北麓地域も高齢化率は進んでおりまして、ぜひそういったこの事業をモデル事業として成功させて、そのほかの地域にも波及させていっていただきたいと思うんですが、今後の展開について、どのようにお考えなのか、御所見をお伺いいたします。

 障害福祉課長 この事業は、明年度、峡南地域で行うこととさせていただきますが、今後、高齢化が進展する中、高齢者を対象とした自殺対策は、全ての地域、市町村において喫緊の課題となってくるものと考えております。このため、明年度、モデル事業として実施したその成果を他の市町村にも紹介し、国の交付金等を活用して実施することができる市町村事業としての実施を促し、全ての市町村で地域の実情に応じた高齢者の自殺対策の展開につなげてまいりたいと考えております。

 渡 辺 ぜひ峡南地域で受ける平成29年度のモデル事業を実りあるものにしていただいて、さまざまな検証をもとに、今後、各市町村とよく連携をとりながら、山梨県全体に波及していっていただければとお願いします。

ハイリスク地イメージアップ事業費について

 渡 辺 事業内容を見ますと、青木ヶ原のふれあいウォーキングを実施するということですけれども、私が知る限り、青木ヶ原のふれあいウォーキングは、もう既に富士河口湖町と共同で年何回か行っていると思うんですけれども、それとの違いというものは何になるのか、お伺いいたします。

 障害福祉課長 現在、実施しておりますウォーキングイベントは、主に富士河口湖町、あるいはその周辺の自治体の住民を対象といたしまして、住民の健康増進を目的に実施されているものでございます。一方、新しく実施させていただきたいこの事業は、これまでのイベントを規模的に拡大し、県外からの参加者の増加を図り、ネイチャーガイドによる説明などを通じて、青木ヶ原樹海の本来の魅力をお伝えしていくことに主眼を置くこととしておりまして、この点がこれまでの事業との大きな相違点でございます。これまで、地元の住民の方々を中心に周知を図ってきましたところでございますけれども、明年度は、県外に向けた広報を重点的に行うこととさせていただきたいと考えております。

 渡 辺 今まで年何回かやってきた河口湖町との共同のふれあいウオオーキングは、確かに県内の、特に富士北麓地域の方が多く参加していたという記憶がありますけれども、今回は特に県外の方々の参加を呼びかけてということを、並行して新しくやっていくという御説明ですけれども、そもそも何で県外者の方に広く参加していただく必要があるのかについて、どのようにお考えなのか、お伺いいたします。

 障害福祉課長 本県の自殺死亡率を見ますと、住所地ベース、県内に住所を有する方の自殺死亡率に比べまして、発見地ベース、県内で発見された自殺者の数、この比率が大幅に高くなっているというのが本県の自殺の現状の特徴でございます。特に青木ヶ原樹海があります富士・東部保健所管内ではその傾向が顕著になっているところでございます。
 県外から訪れた方々が、青木ヶ原樹海に関する正しい知識や理解がないまま、自殺を企図しているケースがあるということを認識しておりまして、県外に向けて正しい地域の情報を発信していくことが必要不可欠であると考えているところでございます。このため、青木ヶ原樹海周辺における声かけ運動や、自殺企図者の保護などの水際対策と合わせまして、県外者を対象としたイメージアップ対策を図ることによりまして、発見地ベースの自殺死亡率の引き下げを図りたいと考えたものでございます。

 渡 辺 確かに自殺の現状を見ますと、青木ヶ原樹海においては、県内の方よりも県外の方がほとんど多いという悲しい状況があるわけですけれども、そういったことを今までの青木ヶ原というと自殺のイメージというものを払拭するような、実際、地元にいますと、本当に富士山の裾野で大自然に恵まれて、そんな気分にはならない場所であることを、ぜひ県内のみならず県外の方に地元としても積極的にアピールしていただきたいと、そのように思うんです。今回、このウォーキングイベントを通じて、県として県外から多くの参加者を募る中で、どんなことを伝えて、どのようになっていただき、どのような効果を得たいのかについて、県としての御所見をお伺いいたします。

 障害福祉課長 このウォーキングイベントに参加していただく方々には、ネイチャーガイドの説明を通じまして、樹海の歴史でありますとか動植物の特徴など、青木ヶ原樹海に対しての正しい知識を得ていただくとともに、豊かな自然環境、あるいは命を育む森としての青木ヶ原樹海の意義について、しっかりお伝えしていきたいと考えております。また、参加者の方々には、こうしたイベントへの参加を通して得られた感想でありますとか体験談などを、個人のフェイスブックとか、あるいはツイッターなどを活用して広く全国に拡散していただきたい、そうすることによって青木ヶ原に対する誤解や偏見を払拭するとともに、その魅力を国の内外を問わず発信していっていただくことを期待しているところでございます。

 渡 辺 ぜひこのふれあいウォーキングの事業にさまざまな方が参加して、特に子供だとかその子供を育てている若い世代に積極的に参加していただいて、青木ヶ原樹海を歩いていただいて、本当に日本有数の大自然、ほとんど開発行為も進んでいない自然のままのものを見ていただいて、すばらしいところだ、水も空気もきれいだしという感想を持っていただきたい。それを、今、説明していただいたように、いろいろな媒体を通じて発信していっていただければと、そのように願っております。
 また、この自殺対策総合事業を通じて、県としても、また市とそして民間と三者が三様、協力していただいて、全体的に進めていっていただくよう、富士北麓地域はともかくとして、山梨県全体における市町村への全体の意識というものはまだまだ低いものがあると感じておりますので、ぜひ市町村にそういった自殺対策の積極的な施策を実施するような、まず計画を立てて、その助言やアドバイス等をしていただいて、また民間団体の財政基盤の弱いところも支援していただいて、三者が本当に一体となって自殺防止に対して進んでいっていただけるよう、お願いします。

トータルサポートマネジャー養成事業費について

 渡 辺 超高齢化社会を迎えるに当たって、地域包括ケアシステムの構築が喫緊の課題となっているわけですけれども、その中でやはり介護と医療の連携ということが本当に大切になっていく。そんな中で、このトータルサポートマネジャーという新しいことが出てきているわけですけれども、介護保険サービスというものの調整を全体的に行っていくというケアマネジャーというものがあろうかと思うんですけれども、それとはまた別に医療関係のトータルサポートマネジャーを養成するという話だと思いますけれども、そもそもこのトータルサポートマネジャーというのはどういった役割を果たしていくのか、お伺いいたします。

 福祉保健部次長 トータルサポートマネジャーにつきましては、在宅医療を担う訪問看護ステーションの看護師に対しまして、在宅介護と在宅医療のそれぞれの連携を効果的に果たすための職種ということで、位置づけているものでございます。背景といたしまして、今後、県民の5人に1人が75歳を迎えるという2025年問題がございます。そうなりますと、在宅医療、介護の需要が非常にふえてくる、こうした中で、限られた人材を生かして効果的、効率的な在宅医療、介護を推進するために、医療職、介護職との調整役となる人材の養成をしていこうというものでございます。

 渡 辺 介護のケアマネジャーと医療のトータルサポートマネジャーとが、よく連携をとって、全体的に在宅医療についての支援を行っていくと理解しているんですけれども、それでは、この事業を行うことによって、大体、どのぐらいのトータルサポートマネジャーを養成していくおつもりなのか、お伺いいたします。

 福祉保健部次長 トータルサポートマネジャーにつきましては、県内の全ての訪問看護ステーションに配置を目指してまいりたいと考えてございます。実際には、現在、訪問看護ステーションが県内全域で54ございますので、おおむね50カ所程度に配置をするということで、50名程度、養成していきたいと考えております。

 渡 辺 ステーションに1人ずつ配置できるような形で50名を養成していく中で、大きい訪問看護ステーションもあれば小さいところもあるとは思うんですけれども、訪問看護の業務を行いながら研修を受けていく中で、その研修というものがどういった内容になっているのか、お伺いいたします。

 福祉保健部次長 今回のトータルサポートマネジャー養成研修につきましては、在宅医療にかかる多職種の役割を理解をしていただくということと、多職種が共同して専門性を発揮するということが研修のポイントになってまいります。そうした実践能力を高めるための研修ということで、実習もあわせまして27日間程度の研修を予定をしているところでございます。なお、研修の実施に当たりましては、県内の看護職の人材育成を行っております県看護協会に委託をする予定でございます。

 渡 辺 27日間で実習も行いながら研修を行っていくという長期にわたって行う研修という率直な感想を持ちました。さっきの質問の中で言いましたけれども、10人とか数十人以上いるような大きな訪問看護ステーションだったら、ローテーションを組みかえるなりして、その研修に1人派遣するなりすることはできると思うんですけれども、私の地元にもあるように、例えば5人とか4人とかでやっている小規模なステーションなんかは、なかなか27日間、人を割いて研修に出さなきゃならないという負担は大きいものになってくると思います。とは言いながらも、この研修を受けることによって、介護と医療の連携を、お互いの仕事を知ることによってスムーズにさせていくということも大変重要だと思っております。そんな中、やはりより多くの方にこの研修を受けてもらうために、少し受けられるような体制を支援するとか、あるいは整えることによって工夫していかなきゃならないと思うんですけれども、県として、50人という結構な人数を養成していくに当たって、何か工夫していることがあれば教えていただければと思います。

 福祉保健部次長 委員御指摘のとおり、山梨県内の訪問看護ステーションは、5人以下の看護職で実際に運営をしているところがおおむね半分近くあるという状況でございます。このため、受講しやすい環境を整えていく必要があると考えてございまして、研修の日程につきましては、連続しないで間隔をあけていくということ、また半日での研修の実施をしていくというようなこと、比較的施設が休日としております土曜日に実施するというようなことで、従事者の少ない訪問看護ステーションにおきましても、あまり負担がなく参加しやすいようなスケジュールになるように、看護協会と相談をして実施をしてまいりたいと考えてございます。