平成28年12月定例議会 教育厚生委員会

保育人材確保対策貸付事業費補助金について

 渡 辺 保育人材確保対策貸付事業費補助金について、お伺いいたします。
 東京を中心とした都市部で、待機児童問題と、それに伴う保育士が不足していることを受けて、国の対策として、このようなことを推進していると承知しているわけですけれども、本県においては都市部とは状況が異なっていると承知していまして、待機児童はゼロ。
 また、保育士についても、都市部のような深刻な不足状態にはない、県内で十分育成できて供給できているというような状況は伺っています。今回、潜在保育士の復職等を推進するために、再就職準備金等の貸付事業に対する助成ということですけれども、この貸付事業というものが具体的にどのようなものなのか、その事業の詳細について、まずお伺いいたします。

 子育て支援課長   この貸付事業ですけれども、3つのメニューを用意してございます。まず、保育の現場を離れている保育士、資格を有する者、いわゆる潜在保育士が保育士として再就職を目指す場合に、例えば通勤等の交通用具の購入費、あるいは引っ越し費用等を、40万円以内という金額でお貸しする。これにつきましては、県内の保育所等で、2年間、保育業務に従事した場合に、返還の免除となるというメニューが1つでございます。

 2つ目に、今度は事業者に対して貸し付けるものでありますけれども、新たに保育補助者を事業者が雇い上げた場合に、この雇い上げに要する経費、年間で295万円以内ということで貸し付ける。また、この補助者が1年以内に保育士資格を取得した場合には、この事業者の貸し付けが免除になります。これにつきましては、保育士不足の中で、保育の現場ではいろいろな事務的な仕事もあるということで、保育者が多忙を極めているという現状で、保育士が少しでも子供と接する時間をつくるために、事業者が保育補助者を雇い上げた場合に貸し付けるというメニューでございます。
 3つ目ですけれども、未就学児を持つ保育士で、保育所等に新たに勤務する場合に、自分の子供を保育所等に預けた場合に、月額で2万7,000円以内ということで、1年間、貸し付けをする。これにつきましても、2年間、従事した場合に返還が免除となるという貸付制度でございます。

 渡 辺 貸付制度が、再就職の準備金と、保育補助者の雇用に関するものと、未就学児童を持つお母さん方にその保育料等を助成するもの3つということは、現場を離れている潜在保育士に対して助成して、また保育所に対して再就職していただけるような事業だと、御説明いただきましてわかりました。
 そこで、県内に潜在保育士が一体どれぐらいいらっしゃるのかということとともに、この貸付事業を行った場合にどのような効果があるのかについて、あわせてお伺いいたします。

 子育て支援課長   今年の7月現在、県内で保育資格を登録している方が1万1,569人おります。また、今、保育所等で従事している方々が3,600名ほどおります。したがいまして、いわゆる保育現場にいない資格を持っている方、潜在保育士の方が約8,000人と見込んでいるところであります。また、この貸付制度の創設によりまして、こういった潜在保育士が保育の現場に復帰する動機づけになるのではないかと期待しているところであります。

 渡 辺 潜在保育士の方々が保育の現場に復帰する動機づけになるということですけれども、先ほど1つ目の質問の冒頭で話させていただいたんですが、県内においては、都市部ほど保育士が深刻な状態ではないという話ですけれども、この制度を活用して、本県では潜在保育士の方をどのようなところで充足させていく、タイミングといいますか、どういったところに潜在保育士に入っていただいて、保育の現場についての忙しい時間帯に補助していただくのかということを想定されているのか、次にお伺いいたします。

 子育て支援課長   本県では待機児童ゼロという状況でありますが、最近、年度途中での保育士の確保が難しくなってきたということを、特に公立保育所で聞いているところであります。潜在保育士の復職につきましては、そういった部分で復職の支援をしていければと考えております。

 渡 辺 保育所も忙しくなって、年度途中の入所についての対応にこの潜在保育士の方々に活躍していただければということですので、そういったことであれば、ぜひ積極的にこの制度を活用してもらって、潜在保育士の方々に職場復帰していただければと私も思っているんですけれども、一方、この事業は昨年の国の補正予算で行われているということを承知しているんですけれども、なぜこの12月補正のタイミングで県として貸付制度を創設するのかについて、最後にお伺いいたします。

 子育て支援課長   委員御指摘のとおり、この事業は国補事業でありまして、昨年の国の補正予算にも計上されたところでありますけれども、本県は、先ほど言いましたとおり待機児童ゼロという状況が続いているということで、都市部のような深刻な保育士不足というのがないということで、昨年はこういった措置は講じなかったところでございます。
 ただ、先ほど言いましたように、公立保育所で特に途中での採用が集まりにくいという話が、その後から出てきたということ、それから、本県ではこの4月から、3歳未満児2人目以降の保育料の無料化を始めたということで、保育ニーズがだんだんふえていくのではと考えているところです。
 そういった中で、待機児童ゼロを、今後、継続していくためには、あらゆる手だてを講じていく必要があること、国の補正が講じられたことで、今回、本県としましても、これに呼応する形で貸付制度を創設したところであります。

介護職の確保・定着について

 渡 辺 看護職の確保・定着について、何点かお伺いしようと思います。団塊の世代が後期高齢者を迎えるに当たって、今後ますます、高齢化が進むことが見込まれている中で、医療現場においては医師の確保と同時に、看護師の定着についても、県内における喫緊の課題となっております。そのような中で、夜勤や長時間労働等の厳しい労働環境下にある中の看護師の確保定着についてですけれども、まず、県内においては、看護師というのが一体何名ぐらいいらっしゃって、また毎年、どれぐらい退職者が出ているのかについて、お伺いいたします。

 福祉保健部次長  県内に就業をしております看護職員の数でございますが、平成26年度末の統計によりますと1万447人となっております。これは、その2年前の統計、平成24年度末と比較しまして、379人の増加となっております。
 また、退職者については、県内全体の統計はございませんが、私どもで病院の立入検査を行っている際、県内60病院の退職者数につきまして調査をいたしております。それによりますと、平成26年度1年間の退職者の数は558人ということでございます。このうち、定年退職の退職者が50名、定年以外が508名という状況になっているところでございます。

 渡 辺 1万人強いる看護師の中で、年間に定年退職を除いて500人以上の方が退職されているということで、結構、深刻な状況にあるということを再認識したわけですけれども、そのような中で、看護職、特に病院に勤務されている看護師の方々が、夜勤等もあって、長期間勤務もある中で、500人以上、離職者が出ている現状を踏まえて、離職者を少しでも少なくしていく取り組みというのが大変大事になってくるかと思うんですけれども、県として、離職者を防止するという点でどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

 福祉保健部次長  実際に退職をしている方々の理由などを調査しましたところ、まず、キャリア形成のために転職をするという方も多くおいでになりますが、病気によるもの、あるいは結婚、出産、あるいは家庭との両立が難しいというところが主な理由となっているところであります。こうしたことから、いずれにしましても、就業しやすい環境を整備する必要があるということで、離職防止ということで、専門の看護師・認定看護管理者等をアドバイザーといたしました派遣事業を行ってございます。
 本年度は18病院へ派遣をいたしまして、勤務状況の改善などにつなげていただこうということで行っているとともに、実際に病院の管理者を対象としました研修会も開催しております。特に人材マネジメントということで、勤務環境の改善に向けた研修会ということで、看護職の離職防止、定着に努めているところでございます。また、子育て支援中の看護師が育児との両立を行いやすくするためということで、病院内に保育所を運営している場合につきましても助成を行う形で支援をしているところでございます。

 渡 辺 深刻な看護師不足に陥っている病院について、ぜひさまざまな施策を通じて離職者を少しでも少なくしていく、今の御説明の方策を積極的に進めていただきたいと思っております。
 また、この看護師の定着あるいは確保、質と量の確保については、山梨県の看護連盟、あるいは看護協会からも数々の要望が県に対しても、また自民党山梨県連に対しても寄せられておりますので、ぜひその点を十分認識していただいて、また進めていっていただければと思っております。
 次に、離職者を防止していくことも大変大切なことですけれども、それと同時に、やはり現場は看護職の看護師さんが不足しているという状況もありますので、御説明があったように、一旦、子育てあるいは出産で離職した方、あるいは体調不良や病気等になって離職した方、有資格者でありますので、そういった方々が再就職というか、復帰するような支援策というのも大変大事になってくるかと考えております。そのために、復職に向けた支援として、どのようなことをなさっているのか、お伺いいたします

 福祉保健部次長  復職の支援につきましては、実際に病院の採用者のうち3割程度が復職者といいますか、再就職をしている方でございます。こうしたことから、そういう方々が円滑に復職をできるように、昨年度10月から、努力義務ではありますが、看護職員が離職する際に届け出を行い、復職する際のいろいろな情報提供が受けやすい環境整備をするということを、看護協会の委託事業の中で行っております。県といたしましては、退職時、離職時の届出制度の活用につきまして、呼びかけをまず進めているということがございます。
 次に、実際に県内におります復職を希望する方々を、できるだけマッチングをうまく進めていくために、県内7カ所のハローワークでの巡回相談、ハローワークと協力して行っているものがあります。また、病院へ就業を希望する看護職の皆様が、ある程度ブランクがある場合、実習や研修を受けたいという希望もあります。そういった看護師を対象に、最新の看護技術の習得をしていただけるように、職場復帰を支援するために、3日から5日程度の実務研修を行っているところであります。そういったものへ参加を促すことによりまして、再就業の支援、促進を行っているところでございます。

 渡 辺 看護師の方々にブランクがあって、復職するに当たっては、御説明のとおり、やはり医療技術も日進月歩であります。当時の医療と現在の医療との進歩の差があって復職に二の足を踏むという話も私も伺っておりますので、ぜひ研修プランを各病院にお願いするなりして、現在の技術の習得に努めていただいて、気持ちよく復職していただける取り組みを進めていっていただければ、現場の看護師さんたちの過酷な勤務体制が改善されていくのではないかと思いますので、積極的に進めていっていただければと思います。
 また、看護職を含めた医療従事者の確保定着というものには、働きやすい環境づくりというのが欠かせないということは承知しているんですけれども、これまで本県では未設置であった医療機関の勤務環境改善を支援するための医療勤務環境改善支援センターの設置に向けて、先の9月県議会も補正予算を議決したわけですけれども、この医療勤務環境改善支援センターは、未設置の県が本県を含めてもう3県しかない。ほとんどの県ではもう設置されている状況にあるということを、山梨県の看護協会や看護連盟の方々にお伺いしているわけですけれども、そこで、9月議会において補正予算で議決した医療勤務環境改善支援センターというものが、その後、どういった取り組みがなされて、どういう状況にあるのかということを、お伺いいたします。

 福祉保健部次長  医療勤務環境改善支援センターにつきましては、9月の議会におきまして、勤務環境改善のための周知啓発、あるいは医療機関での勤務環境改善のマネジメントシステムの導入に向けた支援ということでアドバイザーの派遣、また運営協議会の設置という予算を御議決いただいたところでございます。これを受けまして、実際のアドバイザー事業を行っていただく団体、また協力をいただきます
 労働局、並びに協議会の設置をするに当たりまして、御賛同をいただきます各種医療関係の団体等の調整を行いまして、今月26日に改善支援センターの設立を行う予定でございます。設置後につきましては、勤務環境改善のマネジメントシステムということで、研修会の開催、労務管理や医業経営の専門家のアドバイザーの派遣、医療従事者の離職防止、医療安全の確保、医療機関における勤務環境の改善といったことを、進めてまいりたいと考えているところでございます。

富士北麓公園陸上競技場改修工事事業費について

 渡 辺 富士北麓公園陸上競技場改修工事事業費について、何点かお伺いさせていただきます。かねてより東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿等の誘致に向けて、地元からも改修に向けて、長年、要望を続けてきたところ、やっとこの12月の補正予算で予算計上されたことに対しまして、地元の1人として大変うれしく思っておりまして、ぜひしっかりと改修していただいて、ラグビー、陸上競技も含めた団体競技の合宿誘致が進むように頑張ってまいりたいと思います。その中で、まずこの改修事業についてですけれども、どのような改修を行っていくのかという全体の概要について、お伺いいたします。

 スポーツ健康課長 今回のこの改修事業でございますけれども、オリンピック・パラリンピックの事前合宿、ラグビーのワールドカップのキャンプ地誘致に向けて、ラグビーと陸上競技が誘致の可能性が高いということで、それぞれの競技団体が定める施設基準がございます。それに照らして、不足しているものとして、屋内練習走路、夜間照明、そしてトレーニングルームがありますので、この3つの施設を整備しようとするものであります。

 渡 辺 富士吉田市もラグビーワールドカップに向けてホストタウンになっているとか、また、陸上競技についても、日本代表の選手が合宿している場所でもありますので、ぜひ進めていただきたいところです。今回、今、説明していただいたように、事業内容のところに屋内練習走路と夜間照明の整備となっているんですけれども、この2点について、もう少し詳しく御説明をお願いいたします。

 スポーツ健康課長 まず、屋内練習走路についてでございます。この屋内練習走路、今回の補正予算におきましては、建築場所の整地、それから側溝の設置などの造成工事を予定しておりまして、経費的には3,464万7,000円を見込んでおります。
 それから、夜間照明についてでございます。夜間照明は、高さ30メートルの照明灯をグラウンドの四隅に配置をするということを予定しております。この整備費で4億9,000万円を見込んでおります。

 渡 辺 1つが、この屋内練習走路については、造成工事を今回の補正で行う、大体三千数百万円。そして、夜間照明については4億円強をかけて、陸上競技場の四隅のゲートのところに設置していただけるということです。来年度中に完成というお話でしたけれども、この2点の屋内練習走路の造成工事と夜間照明の整備についての工事のスケジュール、完成予定などをお伺いいたします。

 スポーツ健康課長 まず、屋内練習走路の造成工事でございます。この造成工事、年度内に着工いたしまして、明年度の夏までには完了させるという予定でございます。それから、夜間照明につきましても、今年度に着工いたしまして、明年、年内に完成をさせる予定でございます。

 渡 辺 ぜひ工期を守って早期に完成させていただければと思います。
 次に、知事の所信表明の中で、屋内練習走路にCLTのパネルを使うというお話があったと思うんですけれども、それをどのように使っていくのかということと、実際に県産材のCLTパネルをここで使う目的というものは一体何なのかについて、お伺いいたします。

 スポーツ健康課長 まず、どういうふうに使っていくんだというところでございます。このCLTパネルは、屋内練習走路の壁ですとか、天井の構造材として使うことにしております。壁に使っている部分は、建物の内部からも、建物の外からも、木質、素材の質感が見えるような構造にするということを予定しております。
 目的についてでございます。CLT工法というのは、県を挙げて、今、森林環境部が中心になっているんですけれども、CLT工法、県産材の需要の拡大につながるということで普及に取り組んでいるということでございます。この屋内練習走路に使うということで、これが今回、全国有数の規模になるということも通じまして、県産材利用のモデル的な施設となるということですので、この施設を通じてCLT工法の普及を一層加速させて、県産材の需要拡大につなげるということを目的としております。

 渡 辺 ぜひ、キャンプ、合宿地の誘致がかなった折には、世界のトップアスリートがここに来てくださるという形になって、そういった県産材のCLTパネルのモデルケースとして、本当に世界にアピールできれば大変いいと思っておりますので、どういう形になるのか、まだ具体的には見えてこないんですが、また今後、伺う中で、そういったモデルケースとなればいいと思っております。
 最後に、今回、屋内走路の造成ということで、今後、建屋も建てていったりですとか、ウエイトトレーニングルームの施設の充実もやっていかれると思うんですけれども、今後のスケジュールについてお伺いします。

 スポーツ健康課長 今後のスケジュールでございます。夜間照明は明年中には完成をする予定でございます。
 屋内練習走路でございますけれども、ただいま、実施設計の最中で、これが3月、今年度内には終わりますので、これをもとに実際の建設工事に明年度には着手をして、平成30年の夏までには完成をさせるということで、今後、予算措置をお願いさせていただきたいと考えております。
 それから、トレーニングルームでございますけれども、これも明年度中に着工して年度内に完成をさせるというスケジュールで、こちらのほうも改めて予算措置をお願いさせていただきたいと考えております。