令和5年3月定例議会 土木森林環境委員会

富士山有料道路管理費補助金について

 渡 辺 富士山有料道路管理費補助金、9,496万6,000円について何点かお伺いします。
説明では、ここに書いてあるとおり、富士山有料道路の通行を確保するため、道路公社に対して費用を助成するとのことですが、まず、この事業の目的と支援対象について詳細にお伺いしたいと思います。

 道路整備課長 本年、世界文化遺産登録10周年を迎える富士山を訪れる観光客の多くは、麓と五合目を結ぶスバルラインを利用することから、適切に道路の維持管理を行うことは必要不可欠だと考えております。
一方で、近年新型コロナウイルス感染症の影響を受け、料金収入が著しく減少しており、利用者の安全を確保するために必要となる道路修繕費等の管理費の確保は非常に困難な状況でございます。県では、道路を管理する県道路公社に対して、除雪などの路面管理や道路施設の管理に必要な経費に限定した費用の助成を、昨年、一昨年と行っているところでございます。支援対象は、必要最低限の経費から料金収入を差し引いた額としているところでございます。

 渡 辺 コロナ禍に突入した時は不要不急の外出を控えるようにという行動規制がかけられましたので、利用者数が激減し、道路公社にとっても大変な状況にあるということで、当時の出資法人の委員会の調査対象になっていましたので、私の方から通行台数が減っても、除雪や道路の損耗に対する修繕などにかかる経費はありますし、それを放置するわけにもいきませんので、ぜひ県土整備部から道路公社に対して支援をという質問をさせていただいた記憶もあります。それを受けて、当時、確か2億円を超えるような支援金が予算計上されたことを記憶しております。そんなこともありまして、答弁にもありましたように今年は富士山世界文化遺産登録10周年です。しっかりと道路公社を県土整備部としても支援していただいて適切な道路の維持管理に努めていただきたいと思っております。
 一方で、いよいよコロナから3年が経過して、ワクチン接種、国や県の観光支援施策なども含めて、限定的ではあるものの、観光客が戻りつつあり、スバルラインの通行台数がふえてきていることは地元としても認識しています。そこで、地域の重要な観光道路である富士スバルラインの通行台数及び料金収入について、コロナ前と比較して、現在どの程度回復しているのか、お伺いしたいと思います。

 道路整備課長 前年度と比べ、確かに回復傾向にはあります。今年の4月から12月の通行台数と料金収入は、コロナ前の令和元年度と比較すると、通行台数は約6割、また、料金収入は約3割程度の回復状況であり、依然厳しい経営状況になっているところです。通行台数に比べ料金収入が伸びていない最大の要因は、インバウンド観光需要の回復の遅れにより、比較的通行料金の高い大型観光バスの利用がふえていないことが要因の一つではないかと考えております。通行台数を車種別に見ますと、コロナ前の令和元年度に対して、普通車が約9割まで回復したのに対し、大型観光バスは特大車区分になりますが、8%程度にとどまっている状況でございます。

 渡 辺 地元の感覚でも、コロナが大分収まってきて第8波も収束傾向にあるという中で、国内観光客はコロナ前に戻ってきていると感じている一方で、答弁にもあるように、インバウンドの、特に団体の観光客の戻りはまだまだコロナ前に比べて戻っていないと感じています。特に中国系の観光客がコロナ前は特大バスを何台も連ねて富士山に来ていたので、そういった方々がまだ戻ってこないという中で、通行料金の収入は厳しい現状にあると思いますので、ぜひ引き続きの支援策をお願いしたいと思っております。
 一方で、国の全国旅行支援などの観光支援策や、県でも山梨割というような観光支援策を打ち出していただいていますが、道路公社としても、そういった観光施策を基礎としながら、みずから通行台数、料金収入をふやしていく努力も必要になってくると思っております。
 そこで最後に、富士スバルラインにおいて、ポストコロナに向けた反転攻勢に資するような利用促進施策を今後どのように考えていくのか、お伺いしたいと思います。

 道路整備課長 県道路公社では昨年度、観光部局の協力も得ながら、富士スバルライン利用促進検討会を設け、スバルラインを利用した観光の魅力発信についての取り組みを始めております。さらに今年度は、富士山五合目の関係団体と一緒に、御来光や雲海などの幻想的な風景やスバルライン沿線の潜在的な魅力についてプロモーションを行うことをしております。その一つの例として、昨年10月にインスタグラムを活用したフォトコンテストを実施しました。多くの作品の応募があり、富士山世界遺産センターで展示会も開催したところです。
 今後もこういったSNSなどを活用した情報発信を積極的に進め、スバルラインの利用促進につながる取り組みを行っていきたいと考えております。

盛土規制法規制区域指定基礎調査事業費について

 渡 辺 盛土規制法規制区域指定基礎調査事業費、5,148万円について何点かお伺いします。
 静岡県熱海市で起きた土砂災害を受けて制定された盛土規制法に基づく基礎調査だと思いますが、たしか12月の議会のときに、林政部で同じような事業をやっていたと思います。盛土規制法に基づく規制区域指定基礎調査事業費ということで、質疑もいくつかあったと思いますが、それと、どのような関係にあって、今回この予算を計上されたのか、初めにお伺いしたいと思います。

 道路整備課長 この盛土規制法は、おっしゃるとおり、熱海市の災害を受けて制定された法律になります。これは、国土交通省と農林水産省の共官法となっており、法の施行にあたっては、宅地や農地、森林等の土地の用途にかかわらず、両者がしっかり連携してやっていくことになっております。この基礎調査におきましても、支援制度も両省に設けられています。そうした中で、林政部と協議・調整して、令和4年度の補正で林政部が基礎的な資料の作成を計上して、令和5年度の当初予算で県土整備部が同じく国から補助を受けて、その基礎的資料の成果をもとに、詳細な区域の設定を行うということで計上しているものです。

 渡 辺 行政の縦割り感を感じるところではありますが、ただ、林政部には林政部の、県土整備部には県土整備部のやることはあると思います。基礎調査の内容について、林政部でこういったことをして、県土整備部で今回の事業費を使って基礎調査はどのようなことをするのか、詳細について改めてお伺いしたいと思います。

 道路整備課長 基礎調査につきまして、内容をまず説明させていただきます。国が示した基礎調査の実施要領に基づき、既存の土地利用情報や地形のデータのほか、災害が発生しやすい地形や地質情報を収集し、これらの情報データを重ね合わせ、危ない区域を抽出します。その上で、抽出された区域から災害の発生のおそれがない区域を除外して、その後、地形的状況等を勘案した上で、規制区域を指定するために必要となる資料の作成を行います。林政部で行う作業としましては、既存の土地利用上のいろいろなデータを重ね合わせて区域を抽出するところまでです。その後、その資料に基づいて、必要のないところを除外するなど、細かい線を決めていくことを県土整備部で引き続きやっていくという役割分担になっております。

 渡 辺 あれだけの被害が起きた熱海市を教訓にして、本県で同様の災害被害が起こらないように、しっかり林政部と県土整備部で協力しながら基礎調査を進めて対応策を検討していただきたいと思います。
 最後に、こういった基礎調査をして、規制区域を特定するために作業を進めていくと思いますが、今後、どういった取り組みを具体的に行っていくのかを最後にお伺いしたいと思います。

 道路整備課長 この基礎調査で作成した資料に基づき、規制区域の指定をします。規制区域の指定に向けては、関係市町村等の意見を聞いた上で、隣接都県との調整を行いながら進めていくことになります。さらに制度の運用にあたっては、新たに規制をかけることになりますので、この法律が有効に機能するように、規制内容について、土地の所有者や事業者はもちろん、地域住民に対しても十分に周知を図っていく必要があると考えております。

国際交流植樹事業費について

 渡 辺 国際交流植樹事業費2,300万円について何点かお伺いしたいと思います。
 富士北麓地域もコロナが大分収束して、外国人観光客もふえてきている状況にあります。そのような中、富士北麓地域の豊かな森林空間を活用し、姉妹・友好地域等との国際交流の推進を図るため、記念植樹を行うとのことですけれども、植樹を通じて国際交流を図って、富士北麓の有する豊かな森林をさらに向上させ、さまざまな地域の外国人観光客を始めとする方々に植樹をしていただくことはいいことだと思っておりますが、まず、この事業の具体的な内容についてお伺いします。

 県有林課長 本事業は、まず、来年度の前半に植樹をするエリアと林内の遊歩道を整備し、秋以降、植樹のイベントを開催することとしております。場所については、富士北麓の県有林を対象に検討を進めており、富士山の眺望や交通アクセス、また、イベント開催に必要となる式典の会場や駐車場との位置関係等から、平成2年に鳴沢村で開催された第14回全国育樹祭の会場記念広場の隣接地がベストではないかと考えています。

 渡 辺 先日、この全国育樹祭記念広場に改めて行ってきました。地元の私でもそんなに何回も行ったことがなくて、子供のころに行ったぐらいの記憶しかなくて、改めて行ってみると、芝生広場がきれいに整備されていて、駐車場やトイレ等も整備していただいたところで、かつ、天候もよかったので、その場所からとてもきれいに富士山を見ることができました。こういった環境的にもすばらしいところで植樹のイベントをして、さらに整備が進めば、富士北麓地域に来る観光客は、文化ももちろんですが、やっぱり自然環境を体験しに来られる観光客が多いと思いますので、そういった方々の新たな観光スポットとして満足していただける場所になるのではないかと思っています。
 次に、今回は骨格予算として編成した中で、この新規の国際交流植樹事業を予算計上していますが、なぜこのタイミングで予算計上されたのか、その理由についてお伺いします。

 県有林課長 知事は、「開の国プロジェクト」を公約の柱の一つに据え、本県が国内、またさらには海外にも開かれることで価値を高め、富を呼びこみ、県民に豊かさをもたらす方針を示したところです。このプロジェクトでは、富士五湖地域を取り上げ、地域の持つポテンシャルをさらに引き出して、国際的なプレゼンスを高め、情報発信を進めることとしております。こうしたことを踏まえ、今回、富士北麓地域の豊かな自然環境を世界に向けてPRする本事業を立ち上げることとし、秋の開催ということで、4月からの着手が必須となるため、このタイミングで立ち上げることとしたものでございます。

 渡 辺 秋の開催ということで、しっかり準備を進めていただき、せっかく植樹をするのであれば、その自然環境に合った、かつ見栄えのいいものを植樹してほしいと思います。
 次に、姉妹・友好地域等との国際交流の推進を図るとのことですが、具体的に、どのようなところを検討されているのかお伺いしたいと思います。

 県有林課長 県の姉妹・友好地域につきましては、アイオワ州、四川省、忠清北道など5つの地域があり、このいずれかを想定していますが、具体的な地域をどこにするかは、現在検討しているところでございます。

 渡 辺 今年は、富士山が世界文化遺産に登録されて10周年の節目の年になります。そのようなときにこの地域に植樹をしていただき、新たな国際交流の拠点を整備していただく中で、キックオフとして、県の姉妹・友好地域等を検討していくことはいいことかと思います。せっかくお金をかけて整備して、今後、維持費もかかっていくと思うので、そうであるならば、この整備効果を最大限活用するためにも、国主催のこういったイベントを誘致するなど、姉妹・友好都市に限らず、さまざまな国に対して情報発信して、ここに来ていただくことを、今後、県として、より一層アピールしていただきたいと思っておりますが、最後に所見をお伺いします。

 県有林課長 委員のおっしゃるとおり、多くの国に使っていただければ知名度も上がり、富士北麓地域の付加価値向上にも寄与できます。今後は、国の国際行事についてもこの場所で植樹のイベントが実施されるように外務省に向けて働きかけていきたいと思っております。