決算特別委員会の審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
認第1号議案、令和4年度山梨県一般会計及び各特別会計歳入歳出決算認定の件、並びに認第2号議案、令和4年度山梨県公営企業会計決算認定の件は、去る9月定例会において、本委員会に付託されたところ、会期中に審査を議了することができなかったため、閉会中の継続審査案件として、付議されたものであります。
以来、決算書を中心に、主要施策成果説明書、決算審査意見書等を参考として、収支の状況、予算執行上の適否等、議決された予算がその目的や趣旨に沿そって、適切かつ効果的に執行され、県民福祉の向上に、どのように反映されたかなど、さまざまな角度から検討を加え、事業の執行状況、経過なども含めて詳細な調査を行ってきました。
採決の結果、お手元に配付の委員会報告書のとおり、いずれの議案も認定すべきものと決定いたしました。
次に、審査の経過から主なるものについて、その概要を申し上げます。
はじめに、認第1号議案のうち、まず、財政運営についてであります。
「一般会計における令和4年度末の県債残高が、令和3年度から199億2,100万円余減少していることは、評価に値する。
一方、今後も自然災害への対応や公共施設の老朽化対策等の重要課題への取り組みが不可欠であり、多額の費用負担が伴うと考えられるが、県債の発行をどのように管理していくのか」とただしたのに対し、「県では、総合計画において、県債残高などから、後年度に地方交付税により措置される額を除いた、実質的な県負担を伴う県債等残高の抑制を図ることを目標としている。
このため、自然災害への対応や公共施設の老朽化対策においては、国が時限的に措置している、有利な交付税措置のある地方債を積極的に活用しながら、着実に実施していくこととしている。
一方、通常の公共事業などは、重点化・効率化を図るとともに、交付税措置のない県債の発行は極力抑制する方針で管理している。
この結果、実質的県負担を伴う県債等残高は4,904億円と、前年度から65億円減少させるなど、財政健全化の取り組みを進めた。
引き続き、適切に県債発行をコントロールすることで、必要な事業量を確保しつつ、県負担額の抑制に努めていく」との答弁がありました。
次に、リニア中央新幹線の開業に向けた 取り組みの推進についてであります。
「テストベッドの聖地化に向け、最先端技術を活用した実証実験を支援したとのことだが、具体的にはどのような内容なのか。また、その成果はどうか」とただしたのに対し、「令和4年度末までに、124件の応募があり、その中から21件を採択し、本県での実証実験を支援した。
具体的な内容は、ドローンを活用した過疎地域での新たな物流システムの構築や、公共インフラに頼らないオフグリッド環境での最適設備運用モデルの検証、インフルエンザの診断支援を行う日本初のAI医療機器の医療現場における実証など、社会課題の解決を目指す、さまざまなプロジェクトを支援した。
成果としては、国のデジタル田園都市国家構想の優良事例として全国展開される事案や、実証実験をきっかけに山梨県に拠点を設置する事例が出ている。支援した企業からは、医療機関やフィールドとなる市町村への仲介・連携がスムーズに進んだとの声があり、着実に成果を上げている」との答弁がありました。
次に、技術系人材の育成・確保についてであります。
「企業が求める人材を育成するためには、産業技術短期大学校においても、これまでの技術習得に加え、デジタル化に対応した取り組みが必要と考えるが、どのようなカリキュラムとしたのか。また、卒業生の県内企業への就職を促うながすため、どのような取り組みを行い、成果につなげたのか」と、ただしたのに対し、「時代の要請に応え、企業の求める人材を育成するため、AIに関するカリキュラムを導入した。具体的には、令和4年度から全学科の1年生を対象に、AIと各種データとの関連や、AIの活用事例・可能性を学ぶAIリテラシーの導入である。さらに、令和5年度からは、電子技術科及び情報技術科の2年生を対象に、AIに用いられている理論を学び、実際にプログラムを開発するなど、実践的な技術を学ぶAI応用を実施している。
また、卒業生の県内企業への就職を促すため、企業実習や現場体験など、さまざまなインターンシップを体験するカリキュラムを導入し、在学中から県内の業界や関連企業について理解を深める教育や、校内就職ガイダンスの開催などの取り組みを実施し、令和4年度の卒業生の就職率は100%、うち県内企業への就職率は86.7%、といった成果につなげることができた」との答弁がありました。
次に、ICTを活用した人材育成についてであります。
「ICT教育環境を十分に生かすためには、教える側である教員の資質向上が欠かせないと考えるが、教員のICT活用指導力の向上に向け、どのような研修を行っているのか」と、ただしたのに対し、「教員の研修については、総合教育センターが中心的役割を担っており、児童・生徒に対するICT活用のための指導力向上に向け、ICTの効果的な活用方法を学ぶ、ICT活用指導力研修を実施している。
また、数学や社会などの教科別研修においても、参加教員みずからがICTを活用した実践指導事例を披露し、改善点などについて参加者全員で議論するといった、授業等で参考となる実践的な研修も行っている。さらに、各県立学校においても、ICT教育を推進する教員や、ICT支援員などが中心となって、授業改善研究や校内研修を実施し、指導力向上を図っている」との答弁がありました。
最後に、認第2号議案のうち、公営企業会計 電気事業会計についてであります。
「電気事業における資本的収支の支出について、令和3年度と比較して増額となっている主おもな理由は、次世代エネルギーシステム研究開発拠点整備事業費が増加したとのことだが、具体的な内容はどのようなものか」とただしたのに対し、「増額の主おもな要因である、米倉山に建設した次世代エネルギーシステム研究開発ビレッジについては、世界最先端の水素・燃料電池等に関する技術者が交流する研究開発拠点を目指し、令和3年度から4年度までの継続事業として整備したものである。建物のほか、高圧受電設備を含ふくむ電気工事や、特殊ガスを取り扱う機械設備等の工事を執行し、令和4年度には精算に伴い、18億5,728万3千円を支出したため、令和3年度に比べ大幅な増額となったものである」との答弁がありました。
以上をもちまして、決算特別委員長の報告といたします。