富士山登山鉄道構想化検討費について
渡 辺 富士山登山鉄道構想化検討費について何点かお伺いしたいと思います。
今、説明を聞く中で、さきの6月議会で予算計上したばかりのこの富士山登山鉄道構想化検討費を、今回、なぜ増額補正をするのか、改めて初めに伺いたいと思います。
知事政策局次長 近く立ち上がります事業化検討委員から、技術的課題の調査検討に、車両メーカーや鉄道事業者からのヒアリングを追加するとともに、各課題に対する検討や検証の優先順位を整理し、課題解決に向けたロードマップを策定すべきとの御意見をいただいたところでございます。
また、世界でオーバーツーリズムによる危機遺産勧告がなされる中、オーバーツーリズム解消に向けた地元との議論の素材として、エビデンスに基づいた説明資料を提供する必要があり、調査検討を加速化する必要があるためでございます。
渡 辺 今回増額する補正の内容について、今、いろいろと説明をしていただきましたが、6月の議会のときにお示しになられた、この構想化検討費の既定予算の6,204万2,000円で、かなり網羅的に検討委員会の開催ですとか、技術課題あるいは官民連携の検討会等の内容を御説明されていたと思うんですけれども、その既定予算とどのように異なるかも含めて、今回の補正増額される部分の事業がどのようなものなのか、具体的にお伺いしたいと思います。
知事政策局次長 今回計上いたしますのは、6月補正でお認めいただきました技術的課題の調査検討費553万8,000円に追加するものでございます。6月補正事業におきましては、技術的課題の検討としまして、軌道に関しては、急カーブや急勾配への対応、車両に関しましては、厳冬期を含む登坂性能や制動性能の検証、電力供給に関しまして、架線レスを前提にバッテリー方式の検討をするなどの調査検討を行っているところでございます。
今回お願いいたしますのは、これらの調査検討の精度を上げるため、鉄道事業者や車両メーカーへのヒアリングに要する経費及び課題解決に向けたスケジュール、想定費用などのロードマップの作成などに要する経費であります。
6月補正事業との違いは、調査・検討の精度を上げる点、それからロードマップを作成することで、より具体的な説明議論が可能となる点でございます。
渡 辺 6月補正のときに想定していたものに加えて、検討委員の先生方からの御指摘等もあった中で、必要性が新たに生じ、またこういった検討の精度を上げるための補正ということで理解させていただきました。
その上で、この富士山登山鉄道構想については、さまざまな意見や考え方等もある中で、私は、本年度8月に開業した宇都宮のLRTの実験線に、昨年、自民党青年局の視察の中で試乗する機会を得ました。 あちらは街中を走る路面電車ということで、単純比較はできないのかもしれませんが、乗ってみて、快適な列車であったという感想を得ました。
ただ一方で、今、これから技術的な課題を検討されるというお話もありましたが、やはり私の中で、麓から五合目までの新たなアクセスの手段としての鉄道ということで、その技術的課題は本当に多かろうかと思います。当然、大体1,000メーターぐらい麓から2,000メーター以上のところまで列車を走らせることが果たして可能なのか。
いまだ、既存のバスシステムのほうがよいのではないかという声も聞く中で、そういった観点も踏まえて、丁寧な説明がより一層必要になってくるのだと考えておりますが、今後どのように地元を含めた県民に対して説明を行っていくのか、お伺いしたいと思います。
知事政策局次長 これまでにも知事みずからら山小屋の皆さんに御説明申し上げたほか、私どもとしましては、地元市町村長の皆様に6月補正事業の説明を行ってきたところでございますが、現時点の構想の内容につきましても、随時御説明していきたいと考えております。
また、この調査検討の後、地元で懸念されている災害時への対応や、架線レスシステムの実効性などにつきまして、調査検討結果に基づいた説明を丁寧に行ってまいりたいと考えております。
11月から富士吉田市をはじめ全圏域で説明を行っていく予定でございます。
渡 辺 委員 ぜひ丁寧な説明を行っていっていただきたい。また本日、新聞を拝見させていただきますと、富士河口湖町で直接県の方が行って説明会をしていただいたという記事も拝見させていただきました。大きな誤解だとか、あるいは今までの県の進め方に対する御意見とかあろうかと思います。
そんな中で、この検討結果を待ってからの説明では、地元が置き去りにされているという方もいらっしゃるわけですから、まずは原点に立ち返る必要があろうかと思っております。
世界遺産となった富士山を守っていく。その前段階として、富士山から大きな富を得ている地元、そして本県というものが、その環境をしっかり守っていく、保全していく、これは大事なことであろうかと思います。
その点で、ユネスコ・イコモスから指摘されている大きく3つのポイント、来訪者のコントロール、そして、排ガス規制等の環境、そして、人工構造物が多いという五合目の問題、そういったことの現状と、そして今、多くの観光客の方、登山者の方が来てくださっている反面で、オーバーツーリズムという問題も起きてきている。世界では御説明されているように、ベネツィア等で危機遺産に勧告されているという状況もある中、なぜ、現状の富士山の麓から五合目までのアクセスを見直していかなければならないのか、そういった必要性を丁寧に説明していき、ここは現状を変えていって、保全のためにしっかり後世に富士山を継承していく、この必要性を理解していただいて機運を醸成していく。そこから初めて、そのための手段として、既存のバス交通システムを改善したものがいいのか、それとも、登山鉄道構想がいいのか、そういったこの計画の妥当性を説明していくということが、丁寧な説明になっていくのだろうと私は思っております。
そういった原点からの説明を、なかなかコロナ禍の中で説明の機会が少なかったこともあったと思います。ここで改めて原点に立ち返って、地元を含めた県民全体への説明をより一層推進していくべきだと私は考えますけれども、最後に御所見をお伺いします。
知事政策局次長 私どもとしても、富士山とともに生きてこられました皆様方の歴史・文化などを最大限尊重する中で、丁寧に説明を行い、コンセンサス形成に努めてまいりたいと考えております。
渡 辺 富士山を後世に伝えていくという観点では、私たちと、地元と県とは共通の認識を持っていると信じておりますので、これについてはぜひとも御期待しますので、丁寧な説明を心がけるようにお願いしたいと思います。
富士五湖自然首都圏フォーラム事業費について
渡 辺 富士五湖自然首都圏フォーラム事業費1,500万円について、何点かお伺いしたいと思います。
この富士五湖自然首都圏フォーラムについては、モビリティー部門で登山鉄道のことも入っていますので、そこはいろいろな意見があることはともかくとして、それ以外のアートシティの部分やアカデメイアの部分ですとか、そういった部分については、多くの地元の方も期待しているところであります。
そんな中で、このフォーラムの現在の取り組み状況について、まずお伺いします。
知事政策局次長 現在、富士五湖自然首都圏フォーラムの取り組みに関し、協定等を締結している団体は9団体、参画を希望している団体は23団体でございます。
現状の取り組みといたしましては、アートシティ富士五湖ワーキングにおきまして、日本最大の美術展開催団体である日展と富士河口湖町とともに、日展の作家の巡回展覧会の開催に向け取り組んでいるところでございます。
また、国際会議場などの誘致により、富士五湖地域を発展させていくアカデミアワーキングにおきましては、7月に全国から集まった学生が日本の未来ビジョンを描く富士五湖サミットを開催いたしました。
なお、グローバルワーキングにおきましては、新たに富士五湖地域に海外の大学等の教育研究機関や国際的な人的交流組織などが集まるグローバルコミュニティーを創出すべく、現在必要な調査を行っているところでございます。
渡 辺 国内外問わず、多くの観光客が来ているこの富士五湖地域に、さらに意欲的な取り組みをさまざま企画してくださっていることについては、大変頼もしく思っているところであります。
ぜひとも、この山梨県という地域を、この点において牽引していく富士五湖地域となっていって、その効果を全県に波及させられるようしっかり取り組んでいただきたいと思いますけれども、今回この課別説明書を見させていただく上で、マル新富士五湖自然首都圏フォーラムワーキンググループ活動支援事業費補助金として1,500万円増額補正されておりますが、その財源は寄附金とあります。そもそもこの寄附金というのはどのようなものなのか。
また、この事業にこの寄附金が充当される理由についてお伺いいたします。
知事政策局次長 まち・ひと・しごと創生寄附活用事業に対する、いわゆる企業版ふるさと納税でございます。
本事業に充当される理由でございますが、いわゆる企業版ふるさと納税は、寄附を行った企業があらかじめ指定する事業に充当されることとなっております。
本件では、寄附者であるデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社から、富士五湖自然首都圏フォーラムに関する事業にということで寄附の申し出を受けたためでございます。
渡 辺 たしか企業版ふるさと納税は、県外の企業の方からお受けするものだと伺っている中で、その県外の企業の方が、こういった県の進めるこのフォーラムに、それを目的として寄附をしていただけるということは、大変関心の深い、そして、ありがたいことだなと思っております。
ぜひとも、いただいた寄附金を使って、しっかり事業をしていただきたいと思うんですけれども、同じく、この課別説明書の補助先に、フォーラム参画団体等と記載をされておりますが、補助先として、具体的にどのようなところを想定されているのか、最後にお伺いいたします。
知事政策局次長 現在、富士五湖地域の高付加価値化を図る先進的な取り組みを行おうとしております公益社団法人日展、これは河口湖美術館を母体に巡回展を予定しております。
それから、21世紀アカデメイヤ、これは全国に18個ある専門学校の1万人の生徒による芸術祭を予定しております。それから、一般財団法人100万人のクラシックライブ、これは音楽に触れる機会が少ない方々を対象としたクラシックコンサートを開催する予定となっております。こういった団体に助成をすることを想定しております。
企業版ふるさと納税促進対策事業費について
渡 辺 企業版ふるさと納税促進対策事業費について、何点かお伺いいたします。
先の知事政策局の審査のときに、この企業版ふるさと納税を活用して、富士五湖首都圏構想フォーラム、補助金制度を創設するのに充当されていたわけですけれども、そういった観点も含めて自主財源の確保というのは、本県にとっては大変重要なことだと考えております。
そこで、その地方公共団体が行う地方創生の取り組みに対する企業の寄附金について、法人関係税を税額控除するという、この企業版ふるさと納税の活用を進める理由を、まず、お伺いしたいと思います。
資産活用課長 企業版ふるさと納税は、寄附額によって返礼品を受け取れる、いわゆる個人版のふるさと納税とは異なる制度になっております。
先ほど委員御指摘のように企業が地方公共団体に寄附を行った場合には、通常の寄附における損金算入に加えまして、税額控除により法人関係税から寄附額の最大9割が軽減される制度になっております。
これに加えまして、地域貢献活動を企業がPRすることで、企業のイメージアップ、また、寄附企業と地方公共団体とのパートナーシップの構築や、寄附事業分野での企業ノウハウの活用ができるなど、企業にとっても、県にとっても相互にメリットがある制度ということができます。
ただし、本県に寄附する企業については、県外に本社があるという制限がございます。
今年度は、個人版のふるさと納税に加えまして、企業版ふるさと納税につきましても、庁内関係課でプロジェクトチームを設置して、活用の検討を進めているところでございます。
また、全国的にも企業版ふるさと納税の納付実績は増加の傾向にございますので、本県としても活用を進めまして、積極的に企業からの寄附拡大を図ることで、自主財源の確保に努めてまいりたいと思っております。
渡 辺 単純比較していいものかわかりませんけれども、いわゆる個人のふるさと納税は、県も含め各市町村全国的に一生懸命取り組んでいて大きな実績を残している一方で、企業版ふるさと納税は、まだまだ周知や認知等進んでいないという印象を受けております。
ましてや本県にある企業からではなく、県外の企業から寄附をわざわざ47都道府県の中で山梨県を選んでいただけるというような形に持っていかなければなりませんので、さまざまな工夫が必要になってくると考えておりますが、そこで、まず企業版ふるさと納税の現状といいますか、昨年度の実績についてお伺いしたいと思います。
資産活用課長 確かに年度ごとに多少バラつきはございます。昨年度は5件で750万円余りの寄附をいただいてございます。全国順位としましては37位という状況です。参考までにですが、令和3年度は3件で1,500万円余り、こちらも同じく29位と、いずれにしましても全国に比べると少し低い水準にあるという状況でございます。
渡 辺 昨年5件750万円、一昨年3件1,500万円、この数字が多いのか少ないのかというのは、全国順位に照らすと、やはりやや少ないのかなということだと思います。ゆえに、今回マル新として企業版ふるさと納税促進対策事業費という形で増額補正されているということとは思いますが、改めてこの事業費の具体的な内容をさらに詳しくお伺いしたいと思います。
資産活用課長 寄附金額の増加を図るために、企業版ふるさと納税に係る寄附募集のノウハウを持つコンサルティング事業者に、県外企業の寄附の働きかけ、企業の仲介、県がみずから企業訪問をする場合のコンサルティングを依頼するものでございます。
これまでも国のポータルサイトの活用ですとか、国が実施しているマッチング会というイベントがございまして、そういったものに参加するなど、また事業等で本県のゆかりのある企業に働きかけを個別に行ってまいりましたが、これまでに加えて、新たに委託事業者による寄附募集を実施することで、寄附金の増加に努めてまいりたいと思います。
なお、必要経費は委託事業者の仲介によりまして、本県に寄附があった場合に、寄附額の一定割合を支払う成功報酬型を想定しておりまして、寄附を獲得できなかった場合には、経費は生じないということを考えております。
渡 辺 こういったことをやっていく中で、国の制度設計にあるものだけを使っていくと、なかなか他県に先んじることが難しいんだろうということだと思います。その点で、そういったノウハウを持っているところに委託してお願いをしていくことは一つの方法だと思います。その点で、成功報酬型、1件取ってきたら幾らというような形でやっていくというのは、現実的なんだろうと思っております。
この企業版ふるさと納税は、県にとっても企業にとっても、ウイン・ウインの関係あるだけではなく、おそらく企業としては、山梨県で何かPRしたいこと、あるいは今後、山梨県での事業展開を考えているということも含めて、本県を選ぶのであろうということですので、その後の例えば工場誘致ですとか、本社機能の移転だとか、あるいは県内における大規模事業の展開とか、そういった展開も本県にとって経済的な効果を望めると思いますので、ぜひとも積極的に活用して推進していただきたいと考えております。
そこで最後に、改めてコンサルティング会社というものに委託することの理由についてお伺いしたいと思います。
また、先に申し上げましたように、対象企業の本社が県外ということで非常に限られるということがありまして、寄附を働きかける際に非常に課題が多いという形になっております。企業に働きかけを行うについても、大きい企業さんになりますと、どこの窓口にアプローチするか、そういったところからまず課題がございまして、なかなかスムーズにいかないということもあります。
ですので、企業版ふるさと納税のノウハウを持つとともに、企業版ふるさと納税や地方創生の取り組みに関心のある県外企業とネットワークを有しているコンサルティング事業者に対して働きかけを委託することで、納税額のより一層の向上を図っていきたいと思っております。