令和3年3月 予算特別委員会 農政産業観光委員長報告

 渡 辺 農政産業観光委員会に調査依頼されました議案の審査の経過及び結果につきまして、御報告申し上げます。
 まず、審査の結果から申し上げますと、いずれも原案に賛成すべきものと決定いたしました。
 次に、審査の経過から、主なるものについて、その概要を申し上げます。
 第十七号議案 令和三年度山梨県一般会計予算のうち、まず、「ワーケーション利用者農作業体験メニュー開発支援事業費」に関してであります。
 「ワーケーション自体は、観光や二地域居住で取り扱うことが多いが、本事業はどのような内容なのか。また、この事業を行うことで山梨県の農業にどのようなメリットがあるのか」との質疑に対し、「市町村が行う企業等の団体を対象とした農作業体験メニューの開発を支援するため、体験を実施する圃場ほじょうの使用料や研修講師謝金等を補助する。当事業で開発されたメニュー等の成果については、モデル事例として取りまとめ、他の市町村が取り組む際の資料として活用していきたい。
 また、魅力ある農作業体験メニューを開発し、広くPRすることにより、本県におけるワーケーションや二拠点居住を推進する企業等の農作業体験の機会を増やし、多くの方に体験してもらうことにより、将来の移住就農しゅうのうや、収穫期などに労働力が不足する農家への労働力の提供などにつながることが期待される」との答弁がありました。
 次に、「戦略的輸出拡大事業費」に関してであります。
「県では、これまでも海外プロモーションに積極的に取り組んでいると承知しているが、本事業は、具体的にどのような内容なの。また、事業の効果をどのように想定しているか」との質疑に対し、「県では、新型コロナウイルスによる行動変容を踏まえ、高品質な果実を安定供給できるよう、本年度、新たな輸出戦略を策定することとしており、来年度はその戦略に基づき本事業を実施する。具体的には、既存の輸出先において、現地の小売店等でPRを行うとともに、SNS等を活用し、効果的な情報発信を行っていく。また、輸出解禁が期待される中国本土に対しては、デジタルプロモーションの実施や国際展示会に出展することにより、本県果実の浸透を図っていく。
 こうした取り組みにより、やまなしの統一ブランドの訴求による「山梨が日本最大・最高品質」というイメージを対象国の方々にも植え付け、これまで以上に本県果実のブランドカの強化を図っていきたい。
 また、本県の果実を更に高品質で安定的に消費者に届ける生産・流通・販売の成功モデルの構築については、成果を生産者や流通事業者等にしっかりフィードバックすることで、より多くの事業者が輸出に取り組むビジネスモデルに発展させ、輸出量の拡大につなげることができると考えている」との答弁がありました。
 次に、「事業承継促進事業費」に関してであります。
 「事業承継について、『相談支援は増加しているものの実際の事業承継にまでなかなか至らない』という課題があるとのことだが、本事業は具体的にどのような内容なのか。
 また、本事業によって、どのような成果が得られるのか」との質疑に対し、「具体的な計画の着手までに至らないことがあることから、事業承継の基となる企業価値の簡易算定や、引継ぎマニュアルの作成等に要する経費を助成することで、承継手続の見える化を図り、事業承継に向けた事業者の決断を後押しする。
 企業の資産価値の簡易算定や引継ぎマニュアル等の成果を支援機関が共有し、企業マッチングの実施や後継候補者への経営資源の継承に効果的に活用することにより、円滑な事業承継が実現し、第三者承継の成約や親族内承継の成立がこれまで以上に増加することが期待できる。
 これにより、県内中小企業の存続と雇用の維持が図られ、本県経済の活性化が図られるものと考えている」との答弁がありました。
 次に、「富士山世界遺産センターリニューアル事業費」に関してであります。
 「今年度予算でデービッドーアトキンソン氏の協力を得て事業を行っているが、本事業の内容と今年度事業との関連性は何か。また、目指すべき効果は、どのように考えているのか」との質疑に対し 「本事業の内容は、南館の展示パネル51箇所の改修及び展示解説アプリ改修、VR機器・映像コンテンツの整備、シンボルオブジェ「冨嶽360」の照明改修、リニューアルに伴う展示案内ガイドブックの作成の5つである。
 なお、今年度、アトキンソン氏監修のもと、外国人ライターが外国人目線での展示解説の文書を作成したが、本事業で、展示パネル等にこの解説文を実装する。
 本事業により、富士山の顕著な普遍的価値の内容が、文化背景の異なる外国人にもより分かりやすく伝わることや、来館者へ世界遺産富士山を擬似的に体験する場の提供が可能となることから、富士山に対する関心や理解を一層高めてもらうことができること、分かりやすい解説や各種機器の整備により観覧時間の短縮や3密の回避など感染防止にも役立つことが考えられる」との答弁がありました。

 次に、「日露交歓コンサート2021開催費」に関してであります。「日露交歓コンサートとは、どのような事業なのか。また、この事業により、どのような効果を期待しているのか」との質疑に対し、「日露交歓コンサートは、公益社団法人国際音楽交流協会が主催する事業で、音楽芸術を通じての文化高揚、国際親善、社会福祉、地方創生に寄与することを目的としており、国際的に活躍するロシアのクラシック演奏家が奏でる質の高い音楽を、山梨にいながらにして、生で聴くことができる貴重な機会を提供できるものと考えている。
 また、学生を対象とした技術指導や地域住民との交流を深めるため、地元合唱団や演奏団体との共演やミニコンサードなどの出張演奏会を予定している。
 こうしたことを通じて、県民が生涯にわたり文化芸術に親しみ、学生などがアーティストとして一層の高みを目指すための原点になることを期待している。また、一流演奏家の指導による技術の向上や国際親善と相互理解につながることを期待している」との答弁がありました。
 最後に、第28号議案 令和3年度山梨県営電気事業会計予算に関してであります。
 「県営電気事業は、山梨県の重要な収入源であり、安定して電力を供給するためには、修繕や整備をすることが重要であるが、今後、どのように取り組んでいくのか。また、工事を行うにあたり、相当の工期が必要になると思われるが、発電所が長期にわたって停止することで収益にどの程度の影響があるのか」との質疑に対し、「安定した電力供給を行うため、発電施設については日常の巡視・点検のほか、3年に1回の定期点検と12年に1回の分解点検を実施し、健全性を維持している。あわせて経年使用で機能低下の著しい機器の更新や、損耗・劣化した施設の改築を行う改良・改修工事を計画的に行っている。
 また、これら改良工事は計画的に行っており、工事期間中の発電停止についても、それを踏まえた収支計画としているため、想定期間どおりの発電停止であれば、収益へ影響を及ぼすことはない」との答弁がありました。
 以上をもちまして、農政産業観光委員長の報告といたします。