令和2年2月定例議会 予算特別委員会総括審査

富士山世界遺産センター展示解説検討費について

 渡 辺 富士山世界遺産センターは、富士山の自然などについて紹介してきた既存の北館に、芸術や信仰の歴史等を紹介する南館を加え、平成28年6月に開館して以来、世界遺産富士山の顕著で普遍的な価値を広く普及するための拠点として、多くの来館者に親しまれてまいりました。 しかし、長年にわたりビジターセンターとして多くの観光客に親しまれてきた北館に比べ、新しく整備された南館については入館料等の問題から利用者が伸び悩んでいるという状況がありました。 そこで、より多くの方に富士山の価値を知っていただくため、昨年4月から指定管理者がかわり、南館の入館料を無料としたところでありますが、これにより入館者数、特に外国人入館者数がどのように増加したのか、まずお伺いします。

 県民生活部長 南館と北館を合わせました世界遺産センター全体の本年度の入館者数は、2月末時点で47万9,274人でありまして、前年度と同期比は109%、9%の増加となっております。また、外国人入館者数につきましても、2月末時点で16万1,992人で、過去最高でありました前年度を既に超えておりまして、特に南館におきましては、4万3,226人と約5倍に増加しております。

 渡 辺 入館者が伸び悩んでいた南館について多くの伸びがあり、特に外国人入館者に関しては大変な増加であるということで、まことに喜ばしく思っておるところであります。 富士山世界遺産センターでは、さらにさまざまな工夫を加えて入館者の増加に向けて取り組んでいかなければならないと私は考えておりますが、この南館の入館料の無料化のほかに、入館者数を増加するためにどのような取り組みを行っているのか、次にお伺いします。

 県民生活部長 無料の巡回バスを運行いたしまして、河口湖駅や周辺の観光施設等から誘客を図ってきたほか、十五夜に合わせただんごの無料提供やクリスマスに実施いたしました富士山型オーナメントづくり体験など、季節ごとのイベントを充実させてまいりました。
 また、カフェにおけるSNSで話題の青い富士山カレーの提供や、旅番組やアニメなどのテレビ取材への協力など、話題づくりのためのさまざまな取り組みを行っております。

 渡 辺 指定管理者がかわって、南館のみならず北館と有機的な連携を図ってさまざまな取り組みをされているということで、実に期待が持てるところであります。 そして、ことしの夏は東京オリンピック・パラリンピックが開催される年でもあります。昨今コロナウイルスの問題等でさまざまな懸念がされているところではありますが、オリンピックが開催されることを契機として、富士北麓地域の外国人観光客がより一層増加していくことが期待されているところであります。こうした状況の中で、富士山の魅力を世界に向けて広く発信し、世界遺産としての価値を普及させていく大きな好機であると私は考えております。
 私の12月定例会の一般質問における富士山世界遺産センターについての質問において、南館の展示についてはデービッド・アトキンソン氏に全体の監修をお願いしながら検討を行い、わかりやすい展示解説を目指してまいりますとの答弁をいただきました。
 そこで、現在検討されています世界遺産センター南館の展示解説の見直しについて、今後、具体的にどのように取り組んで行かれるのかお伺いします。

 知 事 現在、世界遺産センターにおきましては、外国人入館者へのアンケートを実施し、外国人にとって説明がわかりにくいところ、あるいは興味、関心のあるところなどの調査を行っております。これを受けまして、来年度からは、今お話がありましたデービッド・アトキンソン氏のもとに外部の専門家を交えた検討委員会を新たに設置し、展示解説のあり方を検討していきたいと考えます。
 さらに、富士山の歴史や文化などの研究者の方々から外国人ライターが聞き取りを行い、外国人にもわかりやすい解説文を作成するなど、展示解説の見直しを進め、世界遺産センターの魅力を高めていきたいと思っております。

 渡 辺 今後の展示解説の再検討に当たってアンケート調査をされているということですけれども、ぜひ外国人の方々のみならず、日本人の方々も含めてどういったニーズがあるのかを的確に捉えていただきまして、そういった意見をより多く反映しながら、世界遺産センターの展示の再整備について、その声に応えられるような整備をお願い申し上げたいと思います。

ナイトタイムエコノミー推進事業費補助金について

 渡 辺 県では、新たなやまなし観光推進計画において、観光地や観光産業の高付加価値化により観光消費額の拡大を図ることとし、その重点的な取り組みの一つとして、地域資源を活用したナイトタイムエコノミーの推進を掲げておられます。
 そこで、まず本県の観光産業において、ナイトタイムエコノミーを推進することにより、どのような効果を狙っているのかお伺いいたします。

 観光部長 ナイトタイムエコノミーは、日中の活動が中心でありました本県観光において大きな伸びしろがある領域であり、観光消費額の増大効果が大いに期待されるところでございます。 また、その推進に当たりましては、中心街の飲食店のみならず、郷土芸能をはじめとします地域文化など、既存の資源を観光の視点で再発掘し、付加価値の高い形で事業化することで観光産業のみならず、地域経済にプラス効果をもたらすことを期待しております。

 渡 辺 夜の観光消費額は昼間に比べて多い傾向にあるとお伺いしており、また、私の地元でもそういったことを実感しているところであります。しかしながら、夜にさまざまなところを観光していただくということは、今まで取り組んでこられなかったことはないんでしょうけれども、昼間の観光地の工夫に比べてなかなか進んでこなかったところで、国を中心に、県も積極的に取り組んでおられているということで、大変期待をしているところであります。 私の地元である富士吉田市では、本年度、市と観光団体が周辺エリアで素泊まりする旅行客を、レトロな飲食店が立ち並ぶ西裏地区に誘客する先進的な取り組みをまさに行っているところであります。 その中で、今後の課題として、初めて訪れる旅行者も目的地まで迷わず到達できるよう、案内を充実させていくことや、さらなる誘客促進に向け、複数の関係者による連携を進めていくことなどが、地元から挙げられているところであります。
 こうした課題を踏まえて、来年度、ナイトタイムエコノミーの推進に当たり、県ではどのような助成を行っていくのかお伺いいたします。

 観光部長 具体的な補助対象事業につきましては、委員御指摘のとおり、旅行者に円滑な地域周遊を促すコンテンツづくりや、ナイトタイムにおける観光資源を情報発信していくための体制づくりなどに対応していくため、多言語によるナイトマップの作成やアドバイザーの招聘などを想定してございます。 また、ナイトタイムエコノミーは、観光産業のみならず、商店街、交通、地域文化などに携わる地域の関係者が一体となって取り組む必要があることから、この助成制度におきましては、これらの連携が図りやすい地域の観光協会等を対象としております。
 なお、市町村が実施する案内看板の設置についても支援することとしておりまして、富士吉田市が行う西裏地区などの事業につきましても来年度支援してまいる予定でございます。

 渡 辺 特に私の地元の富士吉田市の西裏地区はレトロな町並みで、複雑に入り組んでおりまして、観光客の方がマップを見ても、なかなか目的地にたどり着けなかったりするような状況があります。ぜひ、地元をよく知る観光業、観光協会の方々と連携しながら、そういった方々にナイトタイムの観光地を満喫していただいて、それが地域の、そして本県の観光産業の発展につながることを強く願っております。

自然保育導入推進事業費について

 渡 辺 県では、昨年末に、子供たちが安全に自然の中での体験活動ができるよう、「やまなし自然保育導入支援の手引き」を全ての保育所等に配布し、本年度はさらに本県の豊かな自然を生かした自然保育を推進するため、自然保育導入推進事業を実施しております。 子供たちが元気で健やかに成長していくためには、幼児期から自然に触れながら育つことが非常に重要であると考えておりますので、県内全ての子供たちが安心して自然体験ができるよう、今後も自然保育の推進を行ってほしいと強く願っております。
 そこで、まず県はこれまでどのような事業に取り組んでこられたのか、そして今後、事業をより一層推進するために、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

 子育て支援局長 自然保育導入推進事業の取り組みについてでございますが、まず、これまでの取り組みにつきましては、保育所等における自然保育の導入の促進を図るために、専門的知識を有するアドバイザーの派遣ですとか、先進的な保育所等の活動内容を掲載しました事例集の作成などを行っているところでございます。
 また、保育教育関係者などを対象にしまして、やまなし自然保育シンポジウムを開催し、幼児期の自然体験活動の重要性に関する講演や、自然保育に積極的に取り組み、表彰を受けました保育所等の事例発表を行うなど、自然保育の質の向上に向けた取り組みも行いました。 今後も引き続き、現場のニーズをしっかり把握しながら、研修会やアドバイザー派遣の充実を図るとともに、県内の保育所等の活動内容を県のホームページに掲載しまして、広く発信していきたいと考えております。

 渡 辺 県や市町村において、自然保育についてさまざまな啓発活動をしていただいた結果、その保護者の方々にも自然保育の大事さというものを大分理解していただいてきていると思っております。しかしながら、保護者の方の不安としては、自然保育の中での安全の問題であるとか、どのようにやったらいいのかわからないといった問題が挙げられているところです。 また、自然保育を指導する保育士さん方についても、どのような自然保育をしていったらいいのかという経験や知識が不足しているというのが現状だと思います。そういったことで、今後も県においてそういった御指導をいただきながら育成をしていっていただければと思っております。 

愛宕山こどもの国再整備事業費等について

 渡 辺 自然体験活動の拠点である愛宕山こどもの国は昭和46年に設置されて以来、県民に広く親しまれている施設でありますが、この1月に私が委員長を務めます教育厚生委員会で現地を視察した折には、遊具や愛宕山少年自然の家は老朽化が著しく、改修などが必要な時期に来ていると改めて実感いたしました。
 県では、愛宕山こどもの国を自然保育の拠点として活用するため再整備を行うとのことですが、県の中心に位置する自然豊かな愛宕山こどもの国は、県内の子供たちが自然体験を行う場所に適しており、再整備の内容については、私も以前から関心を寄せているところであります。
 そこで、愛宕山こどもの国について、自然保育の拠点としてどのような再整備を行っていくのかお伺いいたします。

 子育て支援局長 愛宕山こどもの国再整備の具体的な取り組みについてでございますが、愛宕山こどもの国再整備については、利用者へのアンケート調査結果や外部有識者の意見などを取り入れながら、基本計画の策定を進めてきたところでございまして、来年度は基本設計及び実施設計を行いまして、自然保育の拠点としてふさわしい施設となるよう整備を進めていくこととしております。 具体的には、遊具のある自由広場を含む西側エリアにつきましては、現在の雰囲気を残しつつ斜面地を生かした遊具を設置するとともに、利用者が多目的に使用できる屋根つきスペースなどの整備を考えております。 また、自然の家やキャンプ場があります東側エリアにつきましては、キャンプ場の改修に加えまして、周辺の森林を安全に散策できるよう整備を行うとともに、自然体験活動の中核となる研修棟を整備していきたいと考えております。

 渡 辺 ぜひ、愛宕山が自然保育のモデル的な拠点となって、そのことによって県内、例えば富士東部、峡南、峡北等にそういった自然体験活動ができる場所を今後、全県的に広げていっていただけるよう、お願いを申し上げたいと思います。

官民連携空き家活用促進事業費補助金について

 渡 辺 空き家対策特別措置法が施行されてから、間もなく5年が経過しますが、空き家対策を進めていく上でとても重要になる対策計画については、昨年末までに県内全市町村での策定が完了するなど、取り組みが進んでいると伺っております。計画を策定するにあたっては、市町村ごとに実態調査を行っていると思いますが、空き家の実態について、まずお伺いいたします。

 県土整備部長 別荘やアパートを除いた戸建て住宅につきまして、市町村が周辺住民への聞き取りや水道の使用状況などにより実態調査を行ったところによりますと、1年以上使用していない空き家は昨年9月現在で、県内で約1万3,000件でありました。このうち市町村の判定によりますと、損傷が比較的少なく活用可能な空き家は約8,000件であったとの報告を受けております。

 渡 辺 県はこれまで、空き家対策の実施主体である市町村に対して、補助制度の創設を始め、さまざまな支援を行ってきたと承知しておりますが、今回、県が新たな一歩を踏み出し、みずから相談窓口を設け、商業利用の活用対象となった空き家の改修費に対し助成するとのことですが、制度を創設した目的について次にお伺いします。

 県土整備部長 近年、地域活性化につながる空き家を活用したビジネスが広がりを見せ始めておりまして、こうした民間の取り組みを積極的に取り入れ、民間のノウハウを生かした効果的な空き家対策を進めるため、県庁内に相談窓口を設置いたしまして、県内の空き家所有者と民間事業者とのマッチングを図ることといたしました。
 また、所有者がこうした民間ビジネスに空き家を提供しやすくするために、必要な改修工事費用への補助制度を創設したところでございます。

 渡 辺 空き家対策については、確かに危険な部分の対策も大事だと思っておりますが、やっぱりこういった活用も大切な視点だと思っております。今回の民間と連携した空き家活用ビジネスは、民間事業者には大変魅力的なものだと考えております。こうした県の新たな取り組みにより、民泊など空き家の商業利用としての活用が見込まれ、あわせて地域の活性化が図られるものと期待しております。
 そこで、県は民間事業者に対してどのように周知を図っていくのか、最後にお伺いいたします。

 県土整備部長 今回の制度創設によりまして、空き家を活用したさまざまなビジネスモデルが生まれてくることを期待しているところでございます。そのため、より多くの方に相談窓口を利用していただくことが重要であると考えております。
 このため、県のホームページに掲載するとともに、東京有楽町のやまなし暮らし支援センターでの案内を行う予定であり、あわせて空き家を活用したビジネスに取り組む民間事業者を直接訪問するなど、本制度のPRを積極的に行ってまいります。