平成30年12月定例会 総務委員会 (平成30年12月13日)

 

◆山梨県文化芸術基本条例制定の件

●渡 辺 このたび文化芸術基本条例を策定するに当たり、この背景等を見させていただきますと、国の文化芸術基本法が改正されたということで、本県においても条例が制定されると承知しておりますが、他県におきますと、文化芸術基本法が策定されたときに、多くが条例等を制定していると伺っております。

 このような中で、本県においては、文化芸術といいますと、生け花やお茶、絵画など、そういったさまざまなものもさることながら、地域に特有の伝統芸能等の文化も大変多くあるということと、それを継承して保存して次世代に伝えていかなければならないという、本当に大切な条例になってくると考えております。有形無形の文化財や歴史、自然、環境、風土に培われた食文化などもしっかりと保全、継承していくために、本条例の中に、本県特有のそういったことに対応するような形で反映していただきたいと考えています。そこで、本県の文化芸術基本条例で本県独自というか、他県や基本法と比較して特徴的なところはどこにあるのか、まずお伺いいたします。

 

●生涯学習文化課長 本条例の主な特徴につきまして、御説明いたします。本条例の主な特徴につきましては、この条例では、国の法律を勘案する中で、基本理念の1つに観光や福祉、教育、また産業など、文化芸術に関連するさまざまな分野と連携して振興を図っていくことを規定しておりますが、本県では、県土面積の約8割を森林が占めている全国有数の森林県であるという特徴を踏まえて、その連携分野に、本県では特別に環境を明記しております。

 また、グローバル化のさらなる進行、進展等を見据えまして、都道府県では初めてになりますが、県民の方々が外国など、他の地域の文化芸術についても尊重できる心を涵養していくということを基本理念に規定いたしました。以上でございます。

 

●渡 辺 基本理念の2条のところの第5項と第8項が該当するのかなという御説明でしたけれども、この基本理念のほかの9項目も全て含める中で、第2章の基本的施策が規定されていると思います。基本的施策の中での本県の独自といいますか、特徴的なものは何かあるのか、次にお伺いいたします。

 

●生涯学習文化課長 基本的施策における特徴でございますが、基本的施策におきましても、これも都道府県では初めてでありますが、文化芸術の担い手の育成の中で、今後、生きがいと社会参加の促進を図っていくためにも、県民の皆様に生涯にわたりまして文化芸術に関する学習の機会を提供していくことを規定しております。また、県民の文化芸術活動の機会の充実という第18条の中で、本年6月に障害者による文化芸術活動の推進に関する法律が施行され、そうしたところも考慮いたしまして、障害者等の文化芸術活動の充実等についても規定いたしました。

そのほか、県民の皆様が文化芸術に対して関心と理解を深めていただくためにも、11月を文化芸術推進月間として、その趣旨にふさわしい事業や行事を実施することを規定いたしました。以上でございます。

 

●渡 辺 ぜひ、障害者、高齢者の方を問わず、県民に広く文化芸術等に触れ合っていただいて、方々に対する意識の醸成を図っていただけるよう推進していただきたいと思います。

また、4条で県民の役割として、自主的かつ主体的に活動していくという役割も規定されている中で、この条例が制定された後に、この条例の趣旨や基本的理念について、広く県民一般の方に知っていただかなくてはならない、今後の活動等も含めて知っていただいて、山梨県の芸術文化というものに対して関心をより深く持っていただき、そして今後の文化芸術活動の担い手となっていただく、あるいは担い手を育てていただくことが大変重要になってくるかと思います。そこで、制定された後、この条例の周知についてどのようにお考えになっているのか、次にお伺いいたします。

 

●生涯学習文化課長 この条例の周知についてでございますが、まず、県のホームページや「ふれあい」などの広報誌、また、テレビやラジオ等の広報番組などを通じまして周知をさせていただくほか、県民文化祭や県民文化ホール等におけるイベントなど、文化芸術のあらゆるイベント等の機会を捉えまして、幅広く周知をさせていただきたいと考えております。

また、あわせまして、文化芸術団体の総会や研修会等に伺う中で、条例を説明する機会をいただきまして、文化芸術活動の充実など、今後、文化芸術団体と連携していく取り組みにつなげてまいりたいと考えております。以上でございます。

 

●渡 辺 もちろんホームページや紙媒体等で広報していくことも大変大事だとは思うんですけれども、それよりも後段にありましたように、実際に文化芸術活動を行っている方々に対して、直接、お話をして、御意見を伺いながら、この条例の趣旨について知っていただくことが、より大切になっていくと思います。ぜひそちらのほうも積極的に、制定された後に周知、広報活動を行っていただきたいと思います。

また、この条例を制定して芸術文化の振興等を図っていくということですけれども、この条例は基本理念と基本的施策が規定されているのみで、実際の理念にのっとった施策というものを、今後、やはり講じていかなければならない。そうでなければ、この条例の趣旨を果たしていけないと思いますので、今後の条例の実効性を担保していくために、どのような体制で、またどのような方針で取り組まれていくのか、お伺いしたいと思います。

●生涯学習文化課長 この条例の実効性ある今後の取り組みでございますが、今後につきましては、まず明年度でございますが、本県の文化芸術の振興等に関する施策を総合的かつ計画的に推進していくために、具体的な施策と、その施策の方向性をお示しする基本計画の策定について検討していまいりたいと考えております。

また、その施策の効果的な推進を図っていくためにも、福祉保健部や観光部、また産業労働部や教育委員会など、関係部局と全庁横断的に連携した取り組みなどを進めてまいりたいと考えております。以上でございます。

 

●渡 辺 計画こそが施策を実施するにあたって、大変大切な位置づけになろうかと思います。この基本理念の2条の8項にもあるとおり、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業、環境その他の分野というように、本県は独自に書かれておりますので、全庁的な取り組みの中で基本的計画を作成していただいて、またその推進体制についても、全庁的に取り組むことはもちろん、先ほど申しましたように、それぞれの地域固有の伝統芸能等もございますので、市町村との連携も密にしながら、また伝統芸能を担っていただいている方とも連携を密にしながら、ぜひ進めていっていただきたいとお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきます。