平成30年9月 議会定例会 総務委員会(2018年10月2日)

◆富士山保全協力金について

●渡 辺 6月議会の一般質問や委員会でも、富士山保全協力金の協力率の向上と使い道の拡充について質問させていただきましたけれども、ことしも富士山の登山シーズンが終了いたしましたので、改めてここで富士山保全協力金について何点かお伺いさせていただきたいと思います。

 新聞報道によりますと、今シーズンの吉田口登山道の六合目を通過した登山者数、富士山保全協力金の総額、協力者数は、昨年に比べて全体的に約1割減ということでした。また、本県の富士山協力金の協力率が先週末に発表されまして、本県の協力率は58.6%ということで、昨年よりは若干上がってはいるのですけれども、登山者に公平に負担してもらうという観点から言えば、依然として厳しい状況にあると。目標も達成できていない状況にあると言わざるを得ません。

 そのような中で、一方で静岡県の協力率なのですけれども、環境省の登山者数カウンターが不調によって、本年度の公式数字が出ないとの発表がありました。しかし、協力率が出ないということではありますが、静岡県側の富士宮口の協力金の総額及び協力者数は、昨年に比べて10%以上伸びているということでございます。吉田口のほうは約1割減ということと比べて、富士宮口が10%以上伸びていると。大分差が出ていて、ちょっと驚くべき伸び率だなというふうに考えているのですけれども、その理由をどのようにお考えか、まずお伺いしたいと思います。

●世界遺産富士山課長 富士宮口につきましては、ことしから受付場所を、昨年までは1カ所だったのですけれども、2カ所にふやしました。その新たに受付を設置した場所といいますのは、観光客が登山者と混ざらないで、登山者だけが受付のすぐ目の前を、遠くを通過するのではなくて、すぐ目の前を通過する場所に設置をいたしたというところでございます。主に登山者の心理として、そういう場合に払わずに通り過ぎることがかなりプレッシャーになって、心理的なプレッシャーが与えられるということで、その結果、富士宮口の協力者数が伸びた原因ではないかと考えているところでございます。以上でございます。

 

●渡 辺 本年度、山梨県側は、以前と比べますと目立つところに協力場所を設置して、その結果、ちょっと脇を通ってしまったりだとか、観光客と混ざってしまったりだとかという部分も最初のうちはあったかに思います。それに比べて静岡県のほうは、今、御説明のとおり、集約しているところに協力金の受付窓口を設置したということで、それが全てではないと思いますけれども、そういうことによって協力率もおそらく伸びていると、協力者数もふえているということだと思います。

 ぜひとも、私も以前に協力金の受付場所を見させていただく中で、混雑しているときはその脇を通っていってしまう人も何人かお見かけしましたので、ぜひ、協力金が山頂を目指す登山者から協力をいただくという趣旨であるのであれば、なるべく観光客に混ざらず、なおかつ受付から脇を通ったり、離れた場所を通ったりできないような場所に協力金の受付場所を設置する工夫をさらに検討していっていただきたいと、そんなふうに思います。

 次に、前回の委員会で協力金の徴収率といいますか、協力率を向上させるためには、何よりも登山者の理解を得ていくことがやっぱり必要だなと考えて発言させていただきました。一例として、六合目の臨時公衆トイレを快適なものにすることによって、ぜひそれをアピールすることによって登山者の理解を得ていただきたいと思う中で、ことし改善もしていただいたところなのですけれども、今回、登山者に対して協力金についての登山者アンケートを行ったというふうにお聞きしておりますけれども、そのアンケートの概要と、使い道に関連した回答状況について、次にお伺いいたします。

 

●世界遺産富士山課長 今年度行ったアンケート調査につきましては、山梨、静岡両県の4つの登山道におきまして、海の日やお盆の混雑期と、あとは平日でございますけれども、延べ6日間行いまして、約1,000名の登山者に回答協力をいただきました。その結果、吉田口のデータでございますけれども、協力金の使い道として望むものとして、登山道の点検、維持、補修と公衆トイレの整備、維持管理が大体7割強で並んでおりまして、ごみ処理などの美化活動の強化が6割弱で続きまして、以下、噴火対策、混雑情報の提供などと続く状況でございます。

 また、多くの人に協力してもらうための制度の改正を聞いているのですけれども、それに対しましては、納得できる使い道と明確な収支報告を望む登山者が5割強、協力金にトイレチップを含むようにするというのが4割強、金額を下げるというものが4割弱でございまして、この3つが回答のほとんどを占めたという状況でございます。以上でございます。

 

●渡 辺 今、御説明をお伺いしますと、やはり多くの人たちが公衆トイレだとか登山道の整備、維持管理について、さらに向上を望んでいるということと、また、4割以上の方がトイレチップを協力金の中に含めてもらいたいという声も多くあるということでございます。協力金とトイレのチップの問題は、制度発足当時から問題があったようにお伺いしておりますけれども、私としては、山小屋さんのトイレはともかくとして、公共のトイレは今後少し検討していったほうがいいのかなというふうに考えております。

 前の委員会でもお話しさせていただきましたけれども、制度発足したときから、協力金の使い道として、新規の事業、あるいは拡充事業のみに充てるという考え方がずっと継続されてきていると思うのですけれども、それを考えると、今のアンケートの調査の結果を見ますと、やっぱり登山者の協力金を協力してくれた方が望んでいる使い道と、ミスマッチがやっぱり生じているのかなと。既存の登山道の整備だとか、トイレの全般的な整備、維持管理に使っていただきたいという声が多くあると思いますので、ぜひとも協力金の使い道の拡充について、改めて是正して、あるいは検討していただきたいなと、そんなふうに考えております。

 次に、アンケートの中で、協力金の公平な負担について質問があったというふうにお伺いしていますけれども、その結果についてお尋ねいたします。

 

●世界遺産富士山課長 質問といたしましては、今後、富士山の利用者負担制度はどのようになればよいと思いますかという質問に対しまして、吉田口の調査結果でございますけれども、原則として登山者全員が払う制度を望む登山者が8割強でございました。以上でございます。

 

●渡 辺 8割以上の人が、原則として山頂を目指す登山者の皆さんに協力してもらうような制度にしてもらいたいというお話でしたけれども、一方で、だからといってすぐに強制化、義務化というのも、またさまざまな法令上の整合性としてクリアすべき問題だとか、そもそもの協力金のあり方についての問題もありますので、一概には何とも言えないところではありますけれども、ただ、本年、協力金が発足して5年目の節目を迎えたわけでございますので、アンケート調査の結果からも現状の制度のままでいいとは私も思っておりません。さまざまな問題がある中で、協力金の対象者を、先ほども申しましたように、山頂を目指す登山者に限るのでよいのかどうか。

 また、協力金の金額が1,000円で妥当なのか。あるいは、先ほど話させていただきましたように、協力金の使い道を既存の事業にも含めるべきではないか。新規の事業や拡充事業だけに限るべきではないと思う。また、そもそも名称が富士山保全協力金という、協力をお願いしますと呼びかける以上、寄附行為だと思うのですけれども、ただ、登山者の方々は全員に公平に負担してもらいたいという気持ちがあることも考えると、今後議論して、検討していかなければいけない課題はたくさんあると思います。これら多くの問題を含める中で、今後、静岡との連携等もあると思いますので、どのような形で富士山協力金のあり方について検討されていくのか、最後にお伺いいたします。

 

●世界遺産富士山課長 この後、今後でございますけれども、協力金のさまざまなあり方につきましては、先ほどのアンケート結果などをしっかり踏まえまして、静岡、山梨両県の関係者で構成いたします富士山世界文化遺産協議会や有識者で構成いたします富士山利用者負担専門委員会などを開催してまいりまして、幅広い御意見をいただく中で、山梨、静岡両県で足並みをそろえてしっかり検討してまいりたいと思います。以上でございます。

 

 

審査請求に関する諮問の件

●渡 辺 この諮第2号議案は、その前の諮第1号議案と違って、審査請求人には贈賄罪で懲役1年執行猶予3年の有罪判決が下って、それが確定しているわけでありますので、より一層、この取り消し処分は棄却すべきものであると思うわけなんですけれども、ただ、この資料の8ページの4番、審査請求人の主張、概要の中の(2)のところで、審査請求人の主張として、刑事事件の判決においても共犯者が主導し、積極的に関与したと認定されているとともに、息子の採用試験合格との間には何ら因果関係もないというような主張をこの審査請求人はされているわけなんですけれども、まあ、裁判上はもう贈賄罪が成立しているということなんですけれども、ただ、若干気になりますので、判決の内容についてわかる範囲でお伺いいたします。

●総務部次長 ただいまの御質問についてでございますけれども、刑事事件の裁判におきましては、審査請求人の息子が市職員として早期に採用されるよう、前市長に審査請求人が依頼をして、謝礼として現金を賄賂として渡したということにつきまして、まず1点目としましては、審査請求人がみずから賄賂の原資を用意して供与したということでございまして、この事案全体の中で重要かつ不可欠な役割を果たしているということ。それから、個別具体的な補欠合格者の早期採用に関して、現金が授受されること自体が、公正かつ公平であるべき地方公務員の任用制度に関する信頼を揺るがす悪質なものだというような判決がなされておりまして、その結果、懲役1年執行猶予3年の刑が言い渡されまして、検察、弁護側は双方控訴をしなかったということで、本年1月に懲役刑が確定しているところでございます。以上でございます。

 

●渡 辺  裁判上では採用試験の因果関係とは関係なく、犯罪を構成する重要な行為を行ったとして贈賄罪が確定したということでございますので、この審査請求人の主張は何ら正当性がないというような形だと理解いたしました。

 最後になりますけれども、今回は退職金の不支給の取り消し処分を求めてのものですけれども、もともとは職員の犯罪行為がもととなっていますので、今後、こういった不祥事が起こらないように、文書の中でも、さらなる取り組みを行っていくと記載されていますので、どのような取り組みを行っていくのかお伺いして終わります。

 

●総務部次長 職員の服務規律の確保につきましては、毎年度当初に知事から各所属長に対する訓示でありますとか、総務部長名の依命通達によりまして、所属長を通じまして全職員に周知徹底をしているところでございます。

 また、職員が行動する際の基本となる考え方でありますとか、行動規範を明らかにいたしました県職員行動基準を活用いたしました職場研修でありますとか、あるいは職員研修所における倫理研修というようなことも行うことによりまして、倫理観の保持、向上に努めているところでございます。

 また、このような不祥事が発生した際には、依命通達の発出でありますとか、緊急の所属長会議、職場研修等を実施いたしまして意識の徹底を図っているところでございまして、今後におきましても不祥事の根絶に向けまして粘り強くしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。以上でございます。

 

●総務部長 職員の不祥事という点では、これまでも飲酒運転事案を初めといたしまして、たび重なる不祥事ということでまことに申しわけなく思っております。この点につきましては、例えば年末ですとか年始とかに綱紀粛正に努めるというだけではなくて、そもそもやはり我々は公のために務めるという精神をより強く持って職務を遂行していくということを日常から強く訴えかけることが必要だと考えていますので、引き続き気を引き締めて粘り強く取り組んでまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

富士山噴火を想定した防災訓練について

●渡 辺 次の質問に移らせていただきます。当初予算概要67ページ、やまなし子育て安心保育推進事業費についてであります。病児・病後児保育は、県内全域での広域利用開始に向け、市町村間の合意形成を進めていると承知しております。

 私が子育て中のお母さん方とお話をすると、広域利用が待ち遠しい、もっと浸透するとよいというような声も聞いております。全県広域利用の開始を前に広域利用の現状を把握しておくことは重要なことでありますので、まず先行した広域利用について利用者からどのような声が寄せられているのかお伺いします。

 

●福祉保健部長 広域利用が開始された市町の保護者の方々からの声でございますけれども、「施設が満員のとき、ほかの町の施設を利用できてよかった」とか、「施設には看護師がいて安心感がある」、あるいは「仕事を休まずに済んだ」といった声が上がっております。また、施設からは、「利用が増加し、運営が安定していく」などといった御意見とか、市町からは、「子育て環境の充実につながる」といった期待が寄せられているところでございます。

 

●渡 辺 今の答弁からも、広域利用はニーズや関心が高いと感じられ、全県広域利用をさらに促進する取り組みが必要であると考えております。当初予算概要には2つの新規事業がありますが、まず病児・病後児保育施設整備事業費補助金について伺います。広域利用が始まれば、保護者の皆さんは、居住地に関係なく県内全ての施設を利用できますが、広域利用体制の構築において施設整備への助成制度を創設する必要性や目的について次にお伺いします。

 

●福祉保健部長 県内全域におけます病児・病後児保育の広域利用の開始後には利用ニーズがさらに増加していくものと考えられるため、特に利用が集中する利便性の高い地域では施設が不足する恐れが生じる懸念が想定されるものでございます。

 こうしたことから、広域利用のメリットを県内全域で十分に享受できますよう施設整備を進めていく必要があると考えておりまして、明年度から施設整備に対する助成制度を創設すること としたものでございます。

 

●渡 辺 増加していく病児・病後児保育のニーズに対応して、ぜひ通勤途中等でも他の市町村でも利用できるような体制を今後、ハード面・ソフト面含めて県で整備していっていただきたいと、そのように思います。

 次に、もう1つの新規事業、やまなし子育てネット機能強化事業費についてであります。この事業は、病児・病後児保育の申し込みなどに子育てネットを活用するものと承知していますが、追加する機能の具体的な内容について伺います。また、強化した機能は保護者の皆さんにわかりやすく利用しやすいものとなるよう運用していくことが重要であります。そこで、強化した機能をどのように運用していくのか、その結果どのような効果が期待されるのかあわせてお伺いします。

 

●福祉保健部長 まず追加する機能についてでございます。現在は、保護者の方が市町の窓口に出向きまして利用に必要な登録を行い、さらには、空き状況は施設ごとに電話で確認をするといった必要がございます。子供が病気で急を要する際の負担が大きいといった実態がございます。

そこで、明年度は、子育てネットを改修いたしまして、スマートフォンなどで利用登録が簡易にできるようにするとともに、県内全施設の空き状況がリアルタイムで確認できる機能を追加することとしております。追加機能の運用でございますけれども、施設におきまして随時空き状況を更新していただくこととしておりまして、機能の追加と適切な運用により、保護者の利便性の向上や広域利用の促進にもつながるものと考えております。

 

●渡 辺 なかなか共働きをしている若い子育て世代は、朝忙しかったりだとか、両親ともにばたばたしたりする中で、子供をどこに預けたらいいのかと大変困惑する場面も多いと聞いておりますので、ぜひスマートフォン等の端末から空き状況等をリアルタイムに知って円滑に子供を預けられるような、そんな体制を今後とも構築していっていただきたいと思っております。