平成28年3月16日 予算特別委員会 会議録

◆富士山世界遺産センター費について

●渡辺 自由民主党山親会の渡辺淳也です。よろしくお願いします。私は、平成28年度予算のうち、富士北麓地域に関する事業や子育て支援関係の事業について、新規事業を中心にお伺いいたします。

 まず初めに、当初予算概要33ページの富士山世界遺産センター費について伺います。

 富士山が世界遺産に登録されてから、2年9ヵ月となりました。この間、県においては、多岐にわたるユネスコからの要請に対し、国や静岡県、関係市町村等と、総力を挙げて取り組み、1月下旬には、保全状況報告書が提出されたところであります。

 私は、富士山保全促進山梨県議会議員連盟研究委員会の一員として、また地元選出の議員として、今後は、この保全状況報告書に記載された施策の着実な推進こそが重要であると考えており、中でも、情報発信の拠点として整備が進められている富士山世界遺産センターには、大いに期待するものであります。

 そこでまず、6月22日に開館するセンターの運営費の内訳についてお伺いいたします。

 

●知事政策局長 運営費の内訳でございますが、センターの運営体制を確保するための非常勤嘱託の職員6名分の報酬や、情報システム運用等の経費といたしまして2,308万8,000円を、また、指定管理委託料等の管理費といたしまして2,408万3,000円を計上しておるところでございます。

 さらに、それに加えまして、いわゆる企画の展示でございます企画展の開催費や富士山総合学術調査研究のための事業費646万9,000円などを計上しておるところでございまして、その合計が33ページにございますような、5,602万8,000円というふうになっておるところでございます。

 

●渡辺 センターの管理運営費といったいわば義務的な経費が、約4,000万を超える金額であるのに対し、企画展や富士山総合学術調査研究など、本来、センターの事業活動の肝となるべき経費の予算額が約600円程度というような御答弁でしたけれども、立派なハード整備がされているだけに、中身であるソフト面で物足りなさも感じるところであります。センターが普及・啓発を行う活動を十分に行っていけるのかお伺いいたします。

●知事政策局長 センターの役割の柱となりますソフト面でございますが、これまで県立博物館が中心となって推進をしておりました富士山総合学術調査研究というものを、このたび、富士山世界遺産センターに移しまして、富士山の文化的価値を明らかにする調査研究を充実強化していくこととしております。

 また、その最新の研究成果等を生かしながら、富士山の個別のテーマに焦点を絞り込んだ企画展を年2回、各2ヵ月程度開催することとしておりますが、その際には映像やグラフィックを駆使したわかりやすい内容とすることによりまして、多くの来館者の皆様に富士山の保全への理解を深めていただけるものというふうに考えております。

 さらに、世界遺産の構成資産をめぐり、その価値の理解を促進するリバース富士講プロジェクトの一拠点としてセンターを活用するほか、センター内の展示等を説明いたしますボランティアガイドを育成するなど、さまざまな施策に取り組むことによりまして、幅広く啓発活動を展開してまいりたいと考えております。以上でございます。

 

●渡辺 限られた予算の中で、さまざまな事業を今後展開されると聞いて少し安心いたしました。しかし、日本の宝・富士山の世界遺産センターであるので世界に向けて発信する必要があると考えております。そのためには、富士山科学研究所などのような施設とのネットワークを構築することが効果的と考えますが、開館後どのように取り組まれているのかお伺いいたします。

 

●知事政策局長 他の施設とネットワークの構築をどう取り組むべきかというお尋ねでございますが、富士山世界遺産センターにおきましては、7カ国語対応のホームページや展示案内アプリを整備するほか、ツイッターやフェイスブックなどのツールを活用いたしまして、世界に向けて情報発信を行っていくこととしております。

 また、世界遺産センターは基本的には信仰の対象と芸術の源泉という文化的価値の普及をメーンとしているところでございますが、それに加えて自然などを含めた富士山と人との関係の全体像を、国内外からの来訪者の皆様に理解をしていただくこともあわせて重要な役割であるというふうに考えております。

 このため、自然科学分野を所管いたします富士山科学研究所、歴史や文化の実物展示等を所管する県立博物館、また、今後建設される静岡の世界遺産センター等と連携を深めまして、富士山の周辺地域全体で富士山の総合的な価値を高める活動にも取り組んでまいりたいと考えております。

 

●渡辺 今の御答弁を聞いて、関係する施設と連携を深めていただいて、富士山の普遍的な価値について世界に発信できるような総合センターになるように御期待申し上げます。

 

◆富士山噴火避難ルートマップ作成事業について

●渡辺 次の質問に移らせていただきます。当初予算概要の104ページの富士山噴火避難ルートマップ作成事業について伺います。

 県においては、本年度、御嶽山での突発的な噴火災害を踏まえ、富士山での噴火に備え、昨年夏の山開き前に、富士山噴火避難ルートマップを作成したことは承知しておりますが、このような中、明年度においては、静岡県と連携して多言語化に対応した避難ルートマップを作成するとしています。かねてより、富士山については、山梨県と静岡県がともに協力していくことが大切であると考えていましたので、このマップの作成についても、静岡県と連携することは非常に意義のあることだと考えております。

 そこで、具体的にどのように静岡県と連携するのかお伺いいたします。

 

●防災危機管理監 避難ルートマップの静岡県との連携についてということでございますが、噴火の位置によっては静岡県側への避難も想定されることから、県防災会議の富士山火山部会からも静岡県との連携というのは指摘されているところでございます。

 静岡県については、本年度、本県と同様に、静岡県側のマップを作成しているところでございます。したがいまして、静岡県と連携を図りながら、明年度はデザインや凡例等を統一するとともに、山梨県側と静岡県側を一体化した富士山全体を見ることができるマップを作成したいと考えております。以上でございます。

 

●渡辺 静岡県と連携して富士山全体を見ることができるマップを作成するということは理解しました。

 富士山には、毎年、多くの観光客や登山者が訪れますが、外国人も数多く見受けられます。これらの方々への対応も今後必要になってくると考えております。この意味から富士山全体を見ることができる新たな避難ルートマップを多言語化することは非常に有意義だと考えております。

 そこで、多言語化とは、どのような言語とするのかお伺いいたします。

 

●防災危機管理監 本年度から配布を開始しております富士登山アドバイスブックというのがございます。それが一応、英語版と中国語版を作成したことを踏まえまして、静岡県と協議した中で、英語と中国語に対応したマップを作成をするということにしております。

 

●渡辺 英語と中国語に対応したマップを作成するとのことですけれども、静岡県との連携や多言語化など、充実を図っているということは今の御答弁で理解することができましたけれども、昨今、タイなどの東南アジアや、また、韓国からの来訪者も多数、富士山周辺には来ております。今後、多言語化を拡大するなど、さらにこのマップを充実していく必要があると思いますが、県の御所見をお伺いいたします。

 

●防災危機管理監 マップの充実ということでございますが、県防災会議の富士山火山部会からも英語、中国語をはじめとした多言語化ということの検討を指摘されておりまして、英語版、中国版を作成するということでございますが、今後、静岡県と協議をする中で、多言語化の拡大など、より一層わかりやすいマップの作成に努めてまいりたいと思っております。以上でございます。

 

●渡辺 将来的に多言語化に対応した充実したマップを作成されることを御期待申し上げます。

 この質問の最後に、観光客や登山客への周知が大変重要になってくると考えておりますけれども、どのように周知していくのかについてお伺いいたします。

 

●防災危機管理監 周知方法ということでございますが、富士山五合目の総合管理センターなど、多くの登山客、観光客が集まる施設の目につきやすい場所に掲示をするというようなこともありますが、あと、県のホームページ、あるいは富士登山のオフィシャルサイトなどの掲載によって周知を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。

 

●渡辺 いいものをつくっても、やっぱり周知されなくては意味がないと思いますので、ぜひ、いざ災害が起きたときに迅速に行動できるように、いろいろなところに配布なり設置するなりして周知徹底を図っていくようにお願い申し上げます。

 

◆地域子ども・子育て支援事業費補助金について

●渡辺 次の質問に移らせていただきます。当初予算概要の58ページの地域子ども・子育て支援事業費補助金についてお伺いいたします。

 地域子ども・子育て支援事業は、認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の施設型給付の創設とあわせて、子ども・子育て支援新制度において、地域のニーズに応じた多様な子育て支援を行うため、市町村が実施主体となる法定事業として充実されたものと承知しております。子ども・子育て支援事業費補助金の事業内容に、病児・病後児保育事業がありますが、特に、この事業は、共働き家庭やひとり親家庭の子育てと仕事の両立を支援し、子育て中の方々の不安や負担を軽減する大切な事業であり、今後とも普及していくことが重要であると考えます。

 ついては、県内の病児・病後児保育事業の現状についてお伺いいたします。また、59ページには病児・病後児保育普及促進事業費補助金がありますが、病児・病後児育事業との違いについてあわせてお伺いいたします。

 

●福祉保健部長 病児・病後児保育は、現在国補事業によりまして10市1町の12ヵ所で実施をされております。

 59ページの病児・病後児保育普及促進事業費補助金は、病児・病後児保育の普及を図りますために、看護師等の設置基準を緩和した県独自の補助制度でありまして、1市2町の3ヵ所で実施をされております。国補事業とあわせますと、県全体で10市3町の15ヵ所で実施をされている状況でございます。

 

●渡辺 国の補助の事業に加えて、県独自のものでその支援の充実を図ってることは今の御答弁で伺いました。ぜひ積極的に進めていっていただきたいと思いますが、次に、子育てと仕事の両立を進めるためには、現在、実施していない市町村を含め、病児・病後児保育事業を全県に拡充していくことが必要と考えますが、今後、県として、どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。

 

●後藤知事 子育て支援は県政の最重要課題だという認識をしております。子育て世代の皆さん方が安心して子供を生み、育てられるようにするためには、仕事と子育ての両立を支援するなど、女性の皆さん方が働きやすい環境を整備することが必要であります。

 子供さんが病気になっても安心して預けることができる病児・病後児保育については、本年度も新たに国補事業によって富士吉田市と北杜市が、さらに県独自の補助制度によって富士川町が事業を開始したところでございます。子ども・子育て支援プランの計画期間であります平成31年度までに18市町村の19ヵ所に拡充をすることとしており、今後、設置を予定しております1市1町2村の4ヵ所についても、県独自の補助制度を活用して、できるだけ早期の実施を促していきたいと考えています。

 いずれにしましても、今後とも保護者の皆さん方のお声をよく聞きながら、これらのニーズも踏まえながら、市町村と連携をして、病児・病後児保育の県内全域への拡充に努めてまいりたいと考えております。

 

●渡辺 女性の社会進出が進んで、共働き家庭が増えている中で、やっぱりこの病児・病後児保育のニーズというものは大変高まってきていて、最も切実に困っているお母さん方が多数いますので、ぜひ県としても積極的に支援を厚くしていただければと思います。

 

◆放課後児童クラブ支援事業費補助金について

●渡辺 次の質問に進ませていただきます。当初予算概要58ページの放課後児童クラブ支援事業費補助金について伺います。

 放課後児童クラブは、保護者が日中家庭にいない児童に対し、児童館や保育所学校の余裕教室等を利用して遊びや生活の場を提供し、健全な育成を図る取り組みを行っており、昨年4月からは、対象児童も小学校6年生まで拡大するなど、充実が図られております。

 県内でも、受け入れ拡大が進められていると伺っておりますが、補助金の活用など、障害児の受け入れについての現状と、今後の取り組みについて伺います。

 

●福祉保健部長 放課後児童クラブでは、障害児の利用の希望がある場合は、可能な限り受け入れに努めることとされておりまして、県内では25市町村の237カ所の放課後児童クラブがございますが、このうち12市町村の63カ所で107名の障害児が利用しております。

 今後とも、障害児に対する専門的知識等を有する支援員の配置等に対して助成をするとともに、支援を対象とした研修会を通じて、障害の特性、あるいは児童とのかかわりについて理解を深めていただくことによりまして、放課後児童クラブでの障害児の受け入れを促進してまいりたいと考えております。

 

●渡辺 比較的障害の軽い障害児については、ぜひ健常者とともに学習するを充実させていっていただければと思います。

 また、一方で、比較的障害の程度が重いと思われる障害児に対しては、県が指定する放課後等デイサービス事業所において受け入れが行われていると承知しておりますが、その施設の設置及び利用状況についてお伺いいたします。

 また、放課後等デイサービス事業所については、不足していくとの状況も伺っておりますが、今後、県として、これらの施設の確保についてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

 

●福祉保健部長 放課後等デイサービス事業所は、今、現在県内に42施設が設置をされておりまして、受け入れ定員数460人となっており、これらの施設に現在357人が利用されております。

 また、昨年3月に策定をいたしましたやまなし障害者プラン2015では、市町村における調査結果等を踏まえまして、平成29年度には669人が利用すると見込んでいるところでございます。

 このため、今後、市町村や事業者等が参加をしております地域の自立支援協議会とも連携を図りながら、さまざまな機会を通じて事業者に対し施設の開設を働きかけ、国の補助制度も活用しながら施設の確保に積極的に取り組んでまい

ります。

 

●渡辺 障害の程度によらず、全ての障害児の子供たちが社会にあたたかく育まれるような、そんな地域にしていっていただけることをお願い申し上げます。

 

◆子どもの学習支援事業について

●渡辺 次の質問に移らせていただきます。初予算概要の77ページの子どもの学習支援事業について伺います。本年度4月、生活困窮者自立支援法に基づく取り組みが開始され、生活に困窮する方への支援体制が整備されたところでありますが、この事業の対象となる生活困窮者とは一体どのようなものなのか、まず、お伺いいたします。

 

●福祉保健部長 自立支援法に規定をされております生活困窮者の定義、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者を言い、所得による制限はありませんが、生活保護による支援を受けている方は除かれております。

 一方の、子どもの学習支援事業に限りましては、生活保護世帯も対象としてりまして、具体的には学用品費、あるいは給食費などの一部を援助する就学援助制度を利用している生活保護世帯を含む世帯の子供や、生活困窮者自立相談支援窓口に相談に来た世帯の子供などが対象となります。

 

●渡辺 昨今、子供の貧困という問題も社会問題となっております。貧困を連鎖させないためにも、実態を調査して、ケース・バイ・ケースなんですけれども、ぜひ子供たちの困窮に対してあたたかい手を差し伸べていっていただきたいと思うのですけれども、この事業は、高校進学率の向上を目指し、高校受験のための進学支援や、学校の勉強の復習などを中心に、学習支援を行うとともに、子どもが安心して通える居場所の提供や進路相談を行うと聞いていますが、対象となる中学生はどの一体どれぐらいいらっしゃるのでしょうか。

 

●福祉保健部長 現在、町村部では、ただいま説明しました就学援助事業を利用している中学生が、生活保護世帯の子供も含めまして300人程度いらっしゃいます。

 このほかにも、今年度設置をしました自立相談支援窓口での相談を通じ、また、県や市町村の教育委員会と連携を図る中で、支援が必要な子供を把握し、本事業の支援が受けられますように促してまいりたいと考えております。

 

●渡辺 300人程度の中学生の対象者がおられるということなんですけれども、結構な多い数がいるという率直な感想なのですけれども、ぜひ、そのような方々が将来に迷うことなく進んでいけるように、積極的な支援をお願いしたいところであります。

 また、この事業は、高校進学及び中退防止が主な目的であり、中高生が対象とされておりますけれども、生活が困窮する世帯には、小学生も数多くいると思われます。そうした小学生への対応はどのようになっているのかお伺いいたします。

 

●福祉保健部長 小学生に対する学習支援等につきましては、各市町村で放課後子供教室や放課後児童クラブ等で対応しているところでございます。放課後子供教室は現在、15市町村54ヵ所で設置をされておりまして、平成31年度までには20市町村73カ所に拡充することとしております。これに加えまして、学力向上フォローアップ事業等によりまして、土曜日や放課後等に補修的な学習支援を行っているところでございます。

 また、放課後児童クラブは現在、25市町村237ヵ所で設置をされておりまが、このうち放課後子供教室と連携をして学習支援などを行う放課後児童クラブは9市町村41カ所ございます。これについても今後拡充をしてまいる予定でございます。こうした取り組みによりまして、小学生に学習支援、あるいは居場所づくりなどを提供してまいりたいと考えております。

 

●渡辺 将来ある小学生に対して手厚い支援があるということを聞いて大変安心いたしました。

 この質問の最後に、生活困窮者自立支援法に基づく事業は、市において市自らが実施していると承知しておりますが、子供の学習支援事業について、各市の取組状況はどうなっているのかお伺いいたします。

 

●福祉保健部長 初年度であります本年度は、市におきましては山梨のほうで実施をされておりますが、明年度はこの山梨市に加えまして甲府市、笛吹市、上野原市、甲州市の5市が実施をすることとしております。今後も全県的に推進していく必要があると考えておりまして、関係者を対象に研修会を開催して、制度への一層の理解を深め、より多くの市で実施されるよう働きかけてまいります。

 

●渡辺 まだまだ少ない市町村でしか実施されていない様子ですので、ぜひ、各市町村と県とで連携をとったこの事業が実施されるように御期待申し上げます。

◆生活基盤施設耐震化等整備事業費について

●渡辺 次の質問に移らせていただきます。当初予算概要の105ページ、生活基盤施設耐震化等整備事業費についてお伺いいたします。

 近年、公共施設の老朽化が大きな社会問題となっておりますが、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震等が切迫する中で、公共施設の耐震化も大変重要な課題であると考えております。

 特に、電気、ガス、水道等のライフラインの確保は私たちの生活に直結するものであることから、大規模地震が発生しても供給がストップすることのないよう、計画的に耐震化等を進める必要があります。この事業は、「水道施設の耐震化等を推進するため、水道事業者が行う施設整備に対し助成する」と記載されておりますが、この事業についていくつかお伺いいたします。

 まず、本県における水道施設の耐震化率についてであります。耐震化に意欲的に取り組んでいる市町村もあれば、そうでない市町村もあると思いますが、水道の基幹管路の耐震化率は、全国と比較し、本県はどれくらいになっているのかお伺いいたします。

 

●福祉保健部長 水道施設のうち、基幹管路の耐震化率でございますが、平成26年度末時点で、全国の平均が36%であるのに対しまして、本県は32%となっておりまして、全国平均を若干下回っている状況でございますが、年々増加してきております。

 

●渡辺 耐震化率ですけれども、全国的にも大分低い状況で、また、本県も全国平均に比較してもまた低い状況ということで、今後、ぜひ積極的に進めていただきたいと思いますけれども、次に、補助制度の対象となる施設や補助率は、どのようになっているのか、また、平成28年度については、身延町、富士河口湖町、鳴沢村が補助先とされていますが、それぞれの事業は、どのような内容になっているのかお伺いいたします。

 

●福祉保健部長 本事業は、国で新たに創設をされました生活基盤施設耐震化等交付金を受け入れまして、基幹管路や浄水場、配水池の耐震化等を行う事業でございます。補助率は市町村の財政力指数などによりまして3分の1、4分の1となっております。

 また、明年度の事業内容でございますが、身延町、富士河口湖町、鳴沢村、ともに古くなりました管路を耐震性能を有する管路に更新を行うものでございます。

 

●渡辺 今の説明を聞かせていただいて、なかなか補助率が低く、市町村の足もまだ進んでいないのかなという率直な感想を持ちましたけれども、最後に、水道施設の耐震化は、老朽化対策とあわせて今後、ますます重要になってくると考えております。水道事業者が市町村であるとはいえ、大規模災害に備え、県でもしっかり市町村にこの事業の活用を働きかけ、山梨県の強靱化につなげていっていただきたいと思いますが、県のご所見をお伺いいたます。

 

●福祉保健部長 本年度、既に水道事業者であります市町村に対しまして通知の発出ですとか、研修会において新事業の説明を行うなど、周知を図ったところでございますが、明年度当初には改めまして各水道事業者を対象に説明会を開催し、大規模災害等に備えた本事業の積極的な活用を働きかけてまいります。

 また、国に対しましても補助率の引き上げや事業費の確保について要望してまいりたいと考えております。

 

●渡辺 ぜひ水道の耐震化率を向上させて、災害に強い県土をつくっていただきたいと考えております。

 

◆世界文化遺産景観形成支援事業について

●渡辺 次の質問に移らせていただきます。当初予算概要の37ページの世界文化遺産景観形成支援事業についてお伺いいたします。

 本年1月末に、富士山の保全状況報告書がユネスコへ提出されましたことに対しまして、改めて関係者の御努力には敬意を表する次第でございます。提出に当たり知事もコメントされたとおり、報告書は提出が目的ではなく、今後、必要な施策を着実に実施し、富士山の保全管理に万全を期すことが重要であります。

 この支援事業は、構成資産及び周辺地域の適切な保存管理を進めるため、住民及び市町村等が行う修景事業に対して県が費用の一部を助成するものであり、市町村や住民負担の軽減が図れ、景観形成を促進するための有効なツールだと考えております。事業の創設から、約2年が経過いたしましたが、これまで、どのような地域で、どのような取り組みがわれてきたのかお伺いいたします。

 

●県土整備部長 初年度である平成26年度は、忍野村の忍野八海、富士河口湖町の河口浅間神社周辺、山中湖村の山中湖畔など3町村7地区で、地区計画に基づき建物の修景などに着手いたしました。

 本年度は、これらの地区に加え、新たに富士吉田市の御師住宅周辺など4地区で事業に着手し、これまでに4市町村11地区で実施しております。

 

●渡辺 事業創設から2年が経過して、実施箇所も年々増えてきており、住民の景観向上に対する意識も醸成されてきていると地元にいて日々感じております。4市町村で事業を実施しているということですが、これまでどのような成果が見られ、また、どのような課題があったのかについてお伺いいたします。

 

●県土整備部長 これまでの取り組みにより、忍野八海では、建物や看板の除却により富士山の眺望が改善され、河口浅間神社周辺では、沿道沿いの修景が進み、神社前にふさわしい風情のある街並みが形成されました。

 また、西湖・精進湖では、湖畔周りの老朽化した看板の撤去や、桟橋の修景などを進め、湖畔の景色を楽しめる環境に改善いたしました。

この事業を活用して、景観形成に取り組む地域がまだ少ないことから、今後、実施地区を増やすことが課題であると考えております。

 

●渡辺 今、答弁いただいたように、この支援事業は景観の改善のみならず、景観をはじめとした環境の保全のみならず、富士山の眺望と、また観光客の誘致等、観光振興や地域の活性化にもつながる、今後にとっても大変大切な事業であり、地元にとっても重要な事業だと考えております。

 富士北麓地域には、景観形成が必要な地域がまだまだ多くあるため、この事業をぜひ継続していただく必要があると思っております。そこで、県ではこの支援事業を含めて、今後、どのように景観形成の取り組みを進めていくのかお伺いいたします。

 

●県土整備部長 支援事業がより多くの地域で実施できるよう、市町村と連携し、景観に関する勉強会やセミナーを開催することにより、事業に取り組むためのきっかけづくりを行ってまいります。さらに、地域で中心的な活動を行う地域景観リーダーの育成や、景観の専門家である景観アドバイザーの派遣を通じて、地域における景観形成の取り組みを支援してまいります。

 

●渡辺 地元のことを一番よくわかっている市町村との連携を今後も深めていただいて、この地域の景観の保全に努めていただき、また、それをもって地域の観光振興にもつなげていっていただくことを御期待申し上げます。

◆空き家対策総合事業費について

●渡辺 それでは、次の質問に移らせていただきます。当初予算概要の86ページ、空き家対策総合事業費についてお伺いいたします。平成25年の住宅・土地統計調査による本県の空き家率は22パーセントで全国第1位であることは御承知のとおりであります。私の地元の富士吉田市域におきましても、昨今空き家が大分目立つ状況となってきており、これから先、我々が住む街並みはどのようになってしまうのかと地域の方々も心配なさっております。

 空き家は全国的に社会問題化しており、昨年五月には、空き家対策特別措置法が完全施行となりましたが、県は、これまでどのように空き家対策に取り組んでこられましたのかまずお伺いいたします。

 

●県土整備部長 県では、空き家問題に対応するため、昨年1月に庁内関係課室で構成する連絡会議を組織するとともに、4月にはこれに市町村を加えた空き家対策市町村連絡調整会議を立ち上げ、空き家対策に関する全国の先進事例の紹介や、国の補助制度への情報提供などを行ってまいりました。

 さらに、空き家対策に取り組むためには実態を把握することが重要であることから、空き家実態調査マニュアルを作成し、全市町村に配布するとともに、技術的助言を行うことなどにより、空き家対策に取り組む市町村を支援しております。

 

●渡辺 空き家対策特別措置法の完全施行日より前に、市町村と連携した連絡調整会議を立ち上げるなど、空き家対策に取り組む態勢を、速やかに整えてこられたことは分かりました。特別措置法では、空き家対策の実施は市町村の責務とし、市町村の権限を強化するとともに、県には空き家対策に取り組む市町村を援助することを求めております。今回の予算は、市町村が行う空き家対策を支援するための、空き家実態調査の補助とのことですが、実態調査とは具体的にどのようなものなのかお伺いいたします。

 

●県土整備部長 調査の実施主体である市町村は、まず水道や電気の使用状況や、自治会からの情報などから、空き家と推測される物件を抽出し、その全てについて安全や衛生などさまざまな面から、建物や敷地の管理状況を、敷地外からの目視により把握いたします。

 また、固定資産税台帳により所有者を特定した上で、所有者に対し、建物の利用実態や今後の活用方針などについてアンケート調査を行います。こうした調査を進めることで、空き家の具体的な状況が把握できるものと考えております。

 

●渡辺 空き家対策を行う上で、御説明のとおり、その建物が空き家なのか空き家ではないのか、また、空き家だとしても、その状態がどのような状態にあるのかという実態を市町村と県が連携して把握していくことがまず大切になっていくのだと私も考えております。

 このため、今回の補助制度を活用して、県内の全市町村が、空き家対策を積極的に進めていくことを期待していますが、県は、今後、市町村に対し、どのような支援をしていくのかお伺いいたします。

 

●県土整備部長 市町村が地域の実情に応じた空き家対策に取り組んでいくためには、空き家の実態調査結果を反映した空き家対策計画を策定することが重要である。このため、まだ実態調査に取り組んでいない市町村に対しては補助制度を活用して、早期に調査に取り組むよう促してまいります。

 また、調査が終了した市町村に対しては、空き家対策計画の策定に向けて、技術的助言を行ってまいります。

 

●渡辺 調査が進んでいない市町村に対しては、ぜひ県のほうであたたかい支援をしてくださることを期待するとともに、調査が終わった市町村に対しては今後、空き家対策を行っていく上で、この計画こそがほんとうに大切になってくると思います。なかなか全国的に社会問題になっていて、大変困難な問題だとは思うのですけれども、ぜひ地元市町村との連携のもとに空き家対策を、今後の人口減少問題もにらみながら空き家対策を進めていっていただきますようお願い申し上げます。

 

◆学力向上総合対策事業費における学力向上フォローアップ事業につて

●渡辺 それでは、次の質問に移らせていただきます。当初予算概要の66ページ、学力向上総合対策事業費における学力向上フォローアップ事業についてお伺いいたします。

 全国学力・学習状況調査の児童質問紙調査を見ると、「平日、学校の授業以外で1時間以上勉強する」と回答した割合は、小・中ともに全国平均を下回っております。過疎化や少子化が進行する中、地域を挙げて子供を育んでいくことの重要性が改めて指摘されており、学力向上に向けても、学校と地域が連携し、多くの人がかかわる取り組みを進めていくことが大切であると考えております。

 そこで、地域の人材を有効に活用しながら、児童生徒への補習的な学習を支援しているフォローアップ事業の内容についてまずお伺いいたします。

 

●教育長 学力向上フォローアップ事業は、事業の実施を市町村に委託しております。これは小中学生を対象にして、退職した教員や教職を志望している学生などが講師となりまして、放課後や土曜日等を使った補習的な授業を年間30回程度実施してございます。

 昨年度につきましては、4市町で延べ8,000人、本年度につきましては5市町で延べ1万8,000人の参加がございました。アンケート結果によりますと、学力や学習意欲が向上したとの回答が多かった状況でございますので、明年度につきましては、実施市町村を拡大して、8市町村で実施したいと考えております。

 

●渡辺 今、答弁を聞きながら、大分多くの児童生徒の皆様が活用しているということで、大変ニーズのある事業だと思いました。また、家庭の事情等で塾に通えない子供たちも多数いることから、この事業をぜひもう少し幅広く推進していってくださればと思います。

また、次に、スポーツ少年団の活動や中学校での部活動を考えると、本事業は、土曜日等の休日のみならず、夏休み等の長期休業中に実施するこ とも有効であり、また、児童生徒一人一人の学習到達度に応じた教材を利用することも必要であると考えますが、事業の実施方法についてお伺いいたします。

 

●教育長 御指摘のとおり、本事業は集中的に開催することも有効でありますことから、本年度実施している全ての市町におきましては夏休み等の長期休業中にも実施をしてもらっています。

 また、1人の講師が少人数のグループに対して習熟度に応じた独自のプリントを用意するなど、個に応じたきめ細かな指導を実施しております。以上でございます。

 

●渡辺 ケース・バイ・ケース、個々に応じた指導をしてくださっていることで、また、先ほどのアンケート結果からも、保護者からも児童からも大変好評であるということですけれども、市町村への委託期間が1年間と短いため、継続して実施することが難しいという声も耳にしております。

 ついては、委託期間を複数年にするとともに、29年度以降も、継続して事業を実施していくべきだと考えておりますけれども、今後の計画について、どのように考えているのかを最後にお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。

 

●教育長 この事業は継続して実施することが重要でありますことから、委託期間を終えた後もボランティアを活用するなど、方法を工夫した取り組みを紹介することによりまして事業の継続が図られるように努めております。

 なお、昨年度実施いたしました市町につきましては継続して実施していただいておりますし、本年度実施した市町におきましても、事業を継続していく予定であると聞いております。

 平成29年度以降の事業の実施につきましては、学校、市町村、家庭が連携した総合的な学力向上対策を推進する中で検討していきたいと考えております。以上でございます。