令和5年度

令和5年10月6日 定例会総務委員会会議録

(富士山登山鉄道構想化検討費について)

 

渡 辺 富士山登山鉄道構想化検討費について何点かお伺いしたいと思います。

今、説明を聞く中で、さきの6月議会で予算計上したばかりのこの富士山登山鉄道構想化検討費を、今回、なぜ増額補正をするのか、改めて初めに伺いたいと思います。

 

知事政策局次長 近く立ち上がります事業化検討委員から、技術的課題の調査検討に、車両メーカーや鉄道事業者からのヒアリングを追加するとともに、各課題に対する検討や検証の優先順位を整理し、課題解決に向けたロードマップを策定すべきとの御意見をいただいたところでございます。

また、世界でオーバーツーリズムによる危機遺産勧告がなされる中、オーバーツーリズム解消に向けた地元との議論の素材として、エビデンスに基づいた説明資料を提供する必要があり、調査検討を加速化する必要があるためでございます。

 

渡 辺 今回増額する補正の内容について、今、いろいろと説明をしていただきましたが、6月の議会のときにお示しになられた、この構想化検討費の既定予算の6,204万2,000円で、かなり網羅的に検討委員会の開催ですとか、技術課題あるいは官民連携の検討会等の内容を御説明されていたと思うんですけれども、その既定予算とどのように異なるかも含めて、今回の補正増額される部分の事業がどのようなものなのか、具体的にお伺いしたいと思います。

 

知事政策局次長 今回計上いたしますのは、6月補正でお認めいただきました技術的課題の調査検討費553万8,000円に追加するものでございます。6月補正事業におきましては、技術的課題の検討としまして、軌道に関しては、急カーブや急勾配への対応、車両に関しましては、厳冬期を含む登坂性能や制動性能の検証、電力供給に関しまして、架線レスを前提にバッテリー方式の検討をするなどの調査検討を行っているところでございます。

今回お願いいたしますのは、これらの調査検討の精度を上げるため、鉄道事業者や車両メーカーへのヒアリングに要する経費及び課題解決に向けたスケジュール、想定費用などのロードマップの作成などに要する経費であります。

6月補正事業との違いは、調査・検討の精度を上げる点、それからロードマップを作成することで、より具体的な説明議論が可能となる点でございます。

 

渡 辺 6月補正のときに想定していたものに加えて、検討委員の先生方からの御指摘等もあった中で、必要性が新たに生じ、またこういった検討の精度を上げるための補正ということで理解させていただきました。

その上で、この富士山登山鉄道構想については、さまざまな意見や考え方等もある中で、私は、本年度8月に開業した宇都宮のLRTの実験線に、昨年、自民党青年局の視察の中で試乗する機会を得ました。  あちらは街中を走る路面電車ということで、単純比較はできないのかもしれませんが、乗ってみて、快適な列車であったという感想を得ました。

ただ一方で、今、これから技術的な課題を検討されるというお話もありましたが、やはり私の中で、麓から五合目までの新たなアクセスの手段としての鉄道ということで、その技術的課題は本当に多かろうかと思います。当然、大体1,000メーターぐらい麓から2,000メーター以上のところまで列車を走らせることが果たして可能なのか。

宇都宮のほうは、平たんなところを基本的には走行しているわけですから、単純比較はできませんが、そういったものが可能なのか。あるいは急勾配を曲がることができるのか。あるいは違った方策があるのか。そして、上りはいいにしても、下りの部分でブレーキシステムは果たして安全か。そして、防災対策の面、あるいは法的に本当に鉄道が可能なのか。そういったことを、この検討費を使って検討されていくのだと考えておりますが、やはり今時点では、本当にこの富士山登山鉄道構想が新たな選択肢たり得るのかというところを、しっかりと丁寧に説明していかなければならないと考えております。

いまだ、既存のバスシステムのほうがよいのではないかという声も聞く中で、そういった観点も踏まえて、丁寧な説明がより一層必要になってくるのだと考えておりますが、今後どのように地元を含めた県民に対して説明を行っていくのか、お伺いしたいと思います。

 

知事政策局次長 これまでにも知事みずからら山小屋の皆さんに御説明申し上げたほか、私どもとしましては、地元市町村長の皆様に6月補正事業の説明を行ってきたところでございますが、現時点の構想の内容につきましても、随時御説明していきたいと考えております。

また、この調査検討の後、地元で懸念されている災害時への対応や、架線レスシステムの実効性などにつきまして、調査検討結果に基づいた説明を丁寧に行ってまいりたいと考えております。

11月から富士吉田市をはじめ全圏域で説明を行っていく予定でございます。

 

渡 辺 委員 ぜひ丁寧な説明を行っていっていただきたい。また本日、新聞を拝見させていただきますと、富士河口湖町で直接県の方が行って説明会をしていただいたという記事も拝見させていただきました。大きな誤解だとか、あるいは今までの県の進め方に対する御意見とかあろうかと思います。

そんな中で、この検討結果を待ってからの説明では、地元が置き去りにされているという方もいらっしゃるわけですから、まずは原点に立ち返る必要があろうかと思っております。

世界遺産となった富士山を守っていく。その前段階として、富士山から大きな富を得ている地元、そして本県というものが、その環境をしっかり守っていく、保全していく、これは大事なことであろうかと思います。

その点で、ユネスコ・イコモスから指摘されている大きく3つのポイント、来訪者のコントロール、そして、排ガス規制等の環境、そして、人工構造物が多いという五合目の問題、そういったことの現状と、そして今、多くの観光客の方、登山者の方が来てくださっている反面で、オーバーツーリズムという問題も起きてきている。世界では御説明されているように、ベネツィア等で危機遺産に勧告されているという状況もある中、なぜ、現状の富士山の麓から五合目までのアクセスを見直していかなければならないのか、そういった必要性を丁寧に説明していき、ここは現状を変えていって、保全のためにしっかり後世に富士山を継承していく、この必要性を理解していただいて機運を醸成していく。そこから初めて、そのための手段として、既存のバス交通システムを改善したものがいいのか、それとも、登山鉄道構想がいいのか、そういったこの計画の妥当性を説明していくということが、丁寧な説明になっていくのだろうと私は思っております。

そういった原点からの説明を、なかなかコロナ禍の中で説明の機会が少なかったこともあったと思います。ここで改めて原点に立ち返って、地元を含めた県民全体への説明をより一層推進していくべきだと私は考えますけれども、最後に御所見をお伺いします。

 

知事政策局次長 私どもとしても、富士山とともに生きてこられました皆様方の歴史・文化などを最大限尊重する中で、丁寧に説明を行い、コンセンサス形成に努めてまいりたいと考えております。

 

渡 辺 富士山を後世に伝えていくという観点では、私たちと、地元と県とは共通の認識を持っていると信じておりますので、これについてはぜひとも御期待しますので、丁寧な説明を心がけるようにお願いしたいと思います。

 

 

 (富士五湖自然首都圏フォーラム事業費について)

 

渡 辺 富士五湖自然首都圏フォーラム事業費1,500万円について、何点かお伺いしたいと思います。

 この富士五湖自然首都圏フォーラムについては、モビリティー部門で登山鉄道のことも入っていますので、そこはいろいろな意見があることはともかくとして、それ以外のアートシティの部分やアカデメイアの部分ですとか、そういった部分については、多くの地元の方も期待しているところであります。

そんな中で、このフォーラムの現在の取り組み状況について、まずお伺いします。

 

知事政策局次長 現在、富士五湖自然首都圏フォーラムの取り組みに関し、協定等を締結している団体は9団体、参画を希望している団体は23団体でございます。

現状の取り組みといたしましては、アートシティ富士五湖ワーキングにおきまして、日本最大の美術展開催団体である日展と富士河口湖町とともに、日展の作家の巡回展覧会の開催に向け取り組んでいるところでございます。

また、国際会議場などの誘致により、富士五湖地域を発展させていくアカデミアワーキングにおきましては、7月に全国から集まった学生が日本の未来ビジョンを描く富士五湖サミットを開催いたしました。

なお、グローバルワーキングにおきましては、新たに富士五湖地域に海外の大学等の教育研究機関や国際的な人的交流組織などが集まるグローバルコミュニティーを創出すべく、現在必要な調査を行っているところでございます。

 

渡 辺 国内外問わず、多くの観光客が来ているこの富士五湖地域に、さらに意欲的な取り組みをさまざま企画してくださっていることについては、大変頼もしく思っているところであります。

ぜひとも、この山梨県という地域を、この点において牽引していく富士五湖地域となっていって、その効果を全県に波及させられるようしっかり取り組んでいただきたいと思いますけれども、今回この課別説明書を見させていただく上で、マル新富士五湖自然首都圏フォーラムワーキンググループ活動支援事業費補助金として1,500万円増額補正されておりますが、その財源は寄附金とあります。そもそもこの寄附金というのはどのようなものなのか。

また、この事業にこの寄附金が充当される理由についてお伺いいたします。

 

知事政策局次長 まち・ひと・しごと創生寄附活用事業に対する、いわゆる企業版ふるさと納税でございます。

本事業に充当される理由でございますが、いわゆる企業版ふるさと納税は、寄附を行った企業があらかじめ指定する事業に充当されることとなっております。

本件では、寄附者であるデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社から、富士五湖自然首都圏フォーラムに関する事業にということで寄附の申し出を受けたためでございます。

 

渡 辺 たしか企業版ふるさと納税は、県外の企業の方からお受けするものだと伺っている中で、その県外の企業の方が、こういった県の進めるこのフォーラムに、それを目的として寄附をしていただけるということは、大変関心の深い、そして、ありがたいことだなと思っております。

ぜひとも、いただいた寄附金を使って、しっかり事業をしていただきたいと思うんですけれども、同じく、この課別説明書の補助先に、フォーラム参画団体等と記載をされておりますが、補助先として、具体的にどのようなところを想定されているのか、最後にお伺いいたします。

 

知事政策局次長 現在、富士五湖地域の高付加価値化を図る先進的な取り組みを行おうとしております公益社団法人日展、これは河口湖美術館を母体に巡回展を予定しております。

それから、21世紀アカデメイヤ、これは全国に18個ある専門学校の1万人の生徒による芸術祭を予定しております。それから、一般財団法人100万人のクラシックライブ、これは音楽に触れる機会が少ない方々を対象としたクラシックコンサートを開催する予定となっております。こういった団体に助成をすることを想定しております。

 

(企業版ふるさと納税促進対策事業費について)

 

渡 辺 企業版ふるさと納税促進対策事業費について、何点かお伺いいたします。

先の知事政策局の審査のときに、この企業版ふるさと納税を活用して、富士五湖首都圏構想フォーラム、補助金制度を創設するのに充当されていたわけですけれども、そういった観点も含めて自主財源の確保というのは、本県にとっては大変重要なことだと考えております。

そこで、その地方公共団体が行う地方創生の取り組みに対する企業の寄附金について、法人関係税を税額控除するという、この企業版ふるさと納税の活用を進める理由を、まず、お伺いしたいと思います。

 

資産活用課長 企業版ふるさと納税は、寄附額によって返礼品を受け取れる、いわゆる個人版のふるさと納税とは異なる制度になっております。

先ほど委員御指摘のように企業が地方公共団体に寄附を行った場合には、通常の寄附における損金算入に加えまして、税額控除により法人関係税から寄附額の最大9割が軽減される制度になっております。

これに加えまして、地域貢献活動を企業がPRすることで、企業のイメージアップ、また、寄附企業と地方公共団体とのパートナーシップの構築や、寄附事業分野での企業ノウハウの活用ができるなど、企業にとっても、県にとっても相互にメリットがある制度ということができます。

ただし、本県に寄附する企業については、県外に本社があるという制限がございます。

今年度は、個人版のふるさと納税に加えまして、企業版ふるさと納税につきましても、庁内関係課でプロジェクトチームを設置して、活用の検討を進めているところでございます。

また、全国的にも企業版ふるさと納税の納付実績は増加の傾向にございますので、本県としても活用を進めまして、積極的に企業からの寄附拡大を図ることで、自主財源の確保に努めてまいりたいと思っております。

 

渡 辺 単純比較していいものかわかりませんけれども、いわゆる個人のふるさと納税は、県も含め各市町村全国的に一生懸命取り組んでいて大きな実績を残している一方で、企業版ふるさと納税は、まだまだ周知や認知等進んでいないという印象を受けております。

ましてや本県にある企業からではなく、県外の企業から寄附をわざわざ47都道府県の中で山梨県を選んでいただけるというような形に持っていかなければなりませんので、さまざまな工夫が必要になってくると考えておりますが、そこで、まず企業版ふるさと納税の現状といいますか、昨年度の実績についてお伺いしたいと思います。

 

資産活用課長 確かに年度ごとに多少バラつきはございます。昨年度は5件で750万円余りの寄附をいただいてございます。全国順位としましては37位という状況です。参考までにですが、令和3年度は3件で1,500万円余り、こちらも同じく29位と、いずれにしましても全国に比べると少し低い水準にあるという状況でございます。

 

渡 辺 昨年5件750万円、一昨年3件1,500万円、この数字が多いのか少ないのかというのは、全国順位に照らすと、やはりやや少ないのかなということだと思います。ゆえに、今回マル新として企業版ふるさと納税促進対策事業費という形で増額補正されているということとは思いますが、改めてこの事業費の具体的な内容をさらに詳しくお伺いしたいと思います。

 

資産活用課長 寄附金額の増加を図るために、企業版ふるさと納税に係る寄附募集のノウハウを持つコンサルティング事業者に、県外企業の寄附の働きかけ、企業の仲介、県がみずから企業訪問をする場合のコンサルティングを依頼するものでございます。

これまでも国のポータルサイトの活用ですとか、国が実施しているマッチング会というイベントがございまして、そういったものに参加するなど、また事業等で本県のゆかりのある企業に働きかけを個別に行ってまいりましたが、これまでに加えて、新たに委託事業者による寄附募集を実施することで、寄附金の増加に努めてまいりたいと思います。

なお、必要経費は委託事業者の仲介によりまして、本県に寄附があった場合に、寄附額の一定割合を支払う成功報酬型を想定しておりまして、寄附を獲得できなかった場合には、経費は生じないということを考えております。

 

渡 辺 こういったことをやっていく中で、国の制度設計にあるものだけを使っていくと、なかなか他県に先んじることが難しいんだろうということだと思います。その点で、そういったノウハウを持っているところに委託してお願いをしていくことは一つの方法だと思います。その点で、成功報酬型、1件取ってきたら幾らというような形でやっていくというのは、現実的なんだろうと思っております。

この企業版ふるさと納税は、県にとっても企業にとっても、ウイン・ウインの関係あるだけではなく、おそらく企業としては、山梨県で何かPRしたいこと、あるいは今後、山梨県での事業展開を考えているということも含めて、本県を選ぶのであろうということですので、その後の例えば工場誘致ですとか、本社機能の移転だとか、あるいは県内における大規模事業の展開とか、そういった展開も本県にとって経済的な効果を望めると思いますので、ぜひとも積極的に活用して推進していただきたいと考えております。

そこで最後に、改めてコンサルティング会社というものに委託することの理由についてお伺いしたいと思います。

 

資産活用課長 委員御指摘のように、いい制度ではございますが、なかなか企業の方々に周知が図れていないという問題がございます。

また、先に申し上げましたように、対象企業の本社が県外ということで非常に限られるということがありまして、寄附を働きかける際に非常に課題が多いという形になっております。企業に働きかけを行うについても、大きい企業さんになりますと、どこの窓口にアプローチするか、そういったところからまず課題がございまして、なかなかスムーズにいかないということもあります。

ですので、企業版ふるさと納税のノウハウを持つとともに、企業版ふるさと納税や地方創生の取り組みに関心のある県外企業とネットワークを有しているコンサルティング事業者に対して働きかけを委託することで、納税額のより一層の向上を図っていきたいと思っております。

 

令和5年12月1日 決算特別委員会委員長報告

 決算特別委員会の審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。

 認第1号議案、令和4年度山梨県一般会計及び各特別会計歳入歳出決算認定の件、並びに認第2号議案、令和4年度山梨県公営企業会計決算認定の件は、去る9月定例会において、本委員会に付託されたところ、会期中に審査を議了することができなかったため、閉会中の継続審査案件として、付議されたものであります。

 以来、決算書を中心に、主要施策成果説明書、決算審査意見書等を参考として、収支の状況、予算執行上の適否等、議決された予算がその目的や趣旨に沿そって、適切かつ効果的に執行され、県民福祉の向上に、どのように反映されたかなど、さまざまな角度から検討を加え、事業の執行状況、経過なども含めて詳細な調査を行ってきました。

 採決の結果、お手元に配付の委員会報告書のとおり、いずれの議案も認定すべきものと決定いたしました。

 次に、審査の経過から主なるものについて、その概要を申し上げます。

 はじめに、認第1号議案のうち、まず、財政運営についてであります。

「 一般会計における令和4年度末の県債残高が、令和3年度から199億2,100万円余減少していることは、評価に値する。

 一方、今後も自然災害への対応や公共施設の老朽化対策等の重要課題への取り組みが不可欠であり、多額の費用負担が伴うと考えられるが、県債の発行をどのように管理していくのか」とただしたのに対し、「県では、総合計画において、県債残高などから、後年度に地方交付税により措置される額を除いた、実質的な県負担を伴う県債等残高の抑制を図ることを目標としている。

 このため、自然災害への対応や公共施設の老朽化対策においては、国が時限的に措置している、有利な交付税措置のある地方債を積極的に活用しながら、着実に実施していくこととしている。

 一方、通常の公共事業などは、重点化・効率化を図るとともに、交付税措置のない県債の発行は極力抑制する方針で管理している。

 この結果、実質的県負担を伴う県債等残高は4,904億円と、前年度から65億円減少させるなど、財政健全化の取り組みを進めた。

 引き続き、適切に県債発行をコントロールすることで、必要な事業量を確保しつつ、県負担額の抑制に努めていく」との答弁がありました。

 次に、リニア中央新幹線の開業に向けた 取り組みの推進についてであります。

 「テストベッドの聖地化に向け、最先端技術を活用した実証実験を支援したとのことだが、具体的にはどのような内容なのか。また、その成果はどうか」とただしたのに対し、「令和4年度末までに、124件の応募があり、その中から21件を採択し、本県での実証実験を支援した。

 具体的な内容は、ドローンを活用した過疎地域での新たな物流システムの構築や、公共インフラに頼らないオフグリッド環境での最適設備運用モデルの検証、インフルエンザの診断支援を行う日本初のAI医療機器の医療現場における実証など、社会課題の解決を目指す、さまざまなプロジェクトを支援した。

 成果としては、国のデジタル田園都市国家構想の優良事例として全国展開される事案や、実証実験をきっかけに山梨県に拠点を設置する事例が出ている。支援した企業からは、医療機関やフィールドとなる市町村への仲介・連携がスムーズに進んだとの声があり、着実に成果を上げている」との答弁がありました。

次に、技術系人材の育成・確保についてであります。

 「企業が求める人材を育成するためには、産業技術短期大学校においても、これまでの技術習得に加え、デジタル化に対応した取り組みが必要と考えるが、どのようなカリキュラムとしたのか。また、卒業生の県内企業への就職を促うながすため、どのような取り組みを行い、成果につなげたのか」と、ただしたのに対し、「時代の要請に応え、企業の求める人材を育成するため、AIに関するカリキュラムを導入した。具体的には、令和4年度から全学科の1年生を対象に、AIと各種データとの関連や、AIの活用事例・可能性を学ぶAIリテラシーの導入である。さらに、令和5年度からは、電子技術科及び情報技術科の2年生を対象に、AIに用いられている理論を学び、実際にプログラムを開発するなど、実践的な技術を学ぶAI応用を実施している。

 また、卒業生の県内企業への就職を促すため、企業実習や現場体験など、さまざまなインターンシップを体験するカリキュラムを導入し、在学中から県内の業界や関連企業について理解を深める教育や、校内就職ガイダンスの開催などの取り組みを実施し、令和4年度の卒業生の就職率は100%、うち県内企業への就職率は86.7%、といった成果につなげることができた」との答弁がありました。

 次に、ICTを活用した人材育成についてであります。

 「ICT教育環境を十分に生かすためには、教える側である教員の資質向上が欠かせないと考えるが、教員のICT活用指導力の向上に向け、どのような研修を行っているのか」と、ただしたのに対し、「教員の研修については、総合教育センターが中心的役割を担っており、児童・生徒に対するICT活用のための指導力向上に向け、ICTの効果的な活用方法を学ぶ、ICT活用指導力研修を実施している。

 また、数学や社会などの教科別研修においても、参加教員みずからがICTを活用した実践指導事例を披露し、改善点などについて参加者全員で議論するといった、授業等で参考となる実践的な研修も行っている。さらに、各県立学校においても、ICT教育を推進する教員や、ICT支援員などが中心となって、授業改善研究や校内研修を実施し、指導力向上を図っている」との答弁がありました。

 最後に、認第2号議案のうち、公営企業会計 電気事業会計についてであります。

 「電気事業における資本的収支の支出について、令和3年度と比較して増額となっている主おもな理由は、次世代エネルギーシステム研究開発拠点整備事業費が増加したとのことだが、具体的な内容はどのようなものか」とただしたのに対し、「増額の主おもな要因である、米倉山に建設した次世代エネルギーシステム研究開発ビレッジについては、世界最先端の水素・燃料電池等に関する技術者が交流する研究開発拠点を目指し、令和3年度から4年度までの継続事業として整備したものである。建物のほか、高圧受電設備を含ふくむ電気工事や、特殊ガスを取り扱う機械設備等の工事を執行し、令和4年度には精算に伴い、18億5,728万3千円を支出したため、令和3年度に比べ大幅な増額となったものである」との答弁がありました。

 以上をもちまして、決算特別委員長の報告といたします。

 

令和5年11月15・16日 決算特別委員会総括審査

令和5年10月20・23・24日 決算特別委員会部局審査

令和5年10月4日 決算特別委員会 委員長に就任

決算特別委員会 委員長に就任

 9月定例会で設置された決算特別委員会の委員長に選任されました。

 決算特別委員会は、議会閉会中も継続して開催され、付託された令和4年度山梨県一般会計と各特別会計の歳入歳出決算の内容及び令和4年度公営企業会計(電気事業、温泉事業、地域振興事業、流域下水道事業)の決算内容の審査を行いました。

 委員会では、収支の状況や予算執行の適否等について、様々な角度から検討を加え、質疑を行った後の採決の結果、いずれの議案も認定すべきものと決定されました。

 その結果を12月定例会開会日の本会議に書面と口頭で報告し、賛成多数で認定されました。

 

令和5年8月1日 地域の医療と介護を守るための条例案作成委員会 委員長に就任

 6月定例県議会の開会日におきまして、議会提案による政策条例

を検討する「地域の医療と介護を守るための条例案作成委員会」の委員長に選任されました。

 本委員会は、2025年に団塊の世代が全て75歳以上となる超高齢社会を迎えるにあたり、住み慣れた地域で自分らしく暮らすためには、地域の医療と介護の基盤整備が必要不可欠との認識から設置されました。

今後は、地域医療や介護環境を整えて県民生活の向上を目指すという理念に基づき、本年度末の条例制定に向けて委員や関係者と協議をしながら、委員長として充実した委員会活動となるよう取り組んで参ります。

 

令和5年6月定例会総務委員会会議録

富士山有料道路管理費補助金について

 

渡 辺 富士山登山鉄道構想化検討費について、何点かお伺いさせていただきたいと思います。

 まず、富士山鉄道についてですけれども、私が思うに、この議論の出発点は、世界遺産に登録されて、今年で10周年という中、保全状況報告書も提出してきた中で、ユネスコ、あるいはイコモスからさまざまな指摘もあったと承知しております。

 その中で、一つは来訪者の管理、コロナ禍前の30万人に迫るほどに、多くの観光客の方にうれしい反面もあったわけですけども、来ていただいておりました。

 その中で過度に集中する時間帯も多発していたということ。特に御来光を見るために山頂に行く。山頂は富士山銀座と呼ばれる中で、いろいろな方々が登って、山頂にて御来光を見るということがあり、事故等の防災面とか安全面とかも含めて、来訪者を少しコントロールしていったほうがいいのではないかという指摘を長年受けてきております。

 一方で、この富士山というものは地元にとって、とても身近なものではありますが、冬季は雪等の影響でスバルラインも閉鎖されますし、そういう面で富士北麓地域の冬季の観光というものは落ち込んできたところが経緯としてあります。

 冬季観光をどのように今後振興していったらいいのかという中で、古くから冬季も鉄道で五合目まで行くことが可能性としてはできる。そんな技術的なことも含めて取り沙汰されてきたと私は捉えております。そこで、こういった背景の中で、これは検討費としてのってきているとは思うんですけれども、まだまだ地元に対する理解等も進んでないのが現状です。

 そんな中で幾つも課題があろうかと思います。よく言われている防災面での課題です。あるいはスバルラインは急カーブ等ありますので、電車で果たして急カーブを曲がっていけるのか、スイッチバックにするのか、そういったことも踏まえる。あとは法制度の面等、さまざまな課題、そして事業主体、多額になるであろう事業費をどう捻出していくのか。そういった多々検討していかなければならない課題が山積していることは御承知のとおりだと思います。

 その中で、先ほどの予算の説明では、なかなかこの内容についてまではよくわかりませんでしたので、まず、この検討委員会の開催費の内容についてお伺いしたいと思います。

 

知事政策局次長 今回の構想化検討費、委員から御指摘がございましたように、有識者により構成する検討委員会、それから技術的及び法制度等についての課題を検討する調査委託費、また、鉄道事業の実施に当たり、官民双方にメリットがある手法を調査検討する経費、こういったものを盛りまして、調査検討費といたしましては、小計で2,149万2,000円でございます。

また、この6,200万円余の中には合意形成に要する経費、それから五合目来訪者への意識調査をする経費も含まれてございます。

 

渡 辺 検討していかなければならない中で、なぜかというのは、先ほど私が申し上げたとおり、まだまだ技術的なことも含めて、あるいは今後の方向性も含めて、検討していかなければならない事項が山積しているからこそ、専門家の、技術的なことは特にですけれども、見地が必要になってくる。

 日本全国、あれほどの高度のところにLRTで鉄道を敷設したという事例はありませんので、そういった面も含めて日本初と、やるとすればですけど、そういうことになると思いますので、そこはじっくり、本当に鉄道が富士山に敷設できるのかどうかということも含めて、ゆっくりじっくり、有識者を交えて検討していっていただきたいなと思っています。

 もちろん鉄道ありきではないということは、富士山登山鉄道構想だったとき、私が本会議で何度かお伺いし、知事の答弁でも、五合目のあり方を考えていく中での一つの県の考える案だというような話もしていただいております。

 そもそもイコモスから指摘されているとおり、地元としても麓から五合目までのアクセスを今のままの状態、もちろんマイカー規制などもしていますけれども、やはり一般車両は、マイカー規制期間以外は通行していますので、排気ガスによるCO2等の問題も大いにあります。現状のままではよくないのだろうと思っているところもあります。

 また代表質問でもありましたとおり、富士山にはスバルラインの料金所ぐらいまでしか電気もないわけです。五合目、その上の山小屋も含めて、燃料を燃やして発電しているので、そういったCO2も出ていると。

 この問題については、来訪者の管理の点、そしてCO2の削減、環境保全の点について、地元としても麓から五合目までのアクセスをどのように考えていくかという問題については避けては通れない。将来的に富士山を保全管理していく、そして後世に伝えていくという我々の責務になっているわけですから、そこは避けて通れないので、しっかりとそこら辺も含めて、鉄道ありきではなく、さまざまな移動手段、今回も違うグループですけれども、空飛ぶクルマという、未来の移動手段もあったりしますので、それはさて置いて、バスも当然検討、電気バス、燃料電池バス等も今走っていますので、それを使っても、確かに来訪者の管理はできないこともないとは思っているんです。

 そこも全て含めて、さまざまな角度から、さまざまな見地から、麓から五合目へのアクセスのあり方というものを山梨県として富士山をしっかりと管理して、山梨県として考えていっていただきたいと思っております。

その点で今現在の技術的な課題というものを県としてどのように捉えられているのか、改めてお伺いしたいと思います。

 

知事政策局次長  ただいまの現状の登山鉄道構想における課題についてお答えいたします。

 まず、富士山の厳冬期を含めた登坂性能、それから制動性能を検証する必要があると考えております。また、富士山の景観に配慮して架線レスシステムを導入する予定でございますが、それが実際に富士山で機能し得るのかということも検証する必要があると考えております。

 

渡 辺 現時点においては、鉄道は今挙げられた中でも課題があると。本当に実現可能なのかどうか、まさにこれから検討していくんだということと承知しております。ぜひ、ほかの交通手段等も含めて比較考量しながら検討をしていっていただければと、地元としては思っております。

 次に、これが地元の方からいろいろな意見があるというのは、地元とのコンセンサスが得られていないからだと、機運が醸成していないから、こういった県の考え方が地元にちゃんと伝わってないからだと私は思っています。確かにコロナ禍があって、県としても意欲的に地元説明会等も行おうとしましたが、なかなか丁寧な説明ができなかったことは、確かに承知はしておりますけれども、今現在においては、地元の理解が得られてないというのは現実だと思っています。

 であればこそ、今回、恐らくそれについてだと思うんですけれども、予算を盛っているコンセンサス形成事業だと思います。これについてまず話をしていくんですけれども、その前に官民連携方策検討調査委託費があると聞いているんですが、これは国補でほとんど賄うものですけれども、この国補がどういったものなのかということも含めて、官民連携方策検討調査委託費について、官民双方ともにメリットがあるというのは、どのようなことを言うのか、お伺いしたいと思います。

 

知事政策局次長   登山鉄道を導入するに当たり、公費負担を最小化しつつ、民間事業者が積極的に参入できるよう、周辺の県有地を活用した収益事業とのパッケージ化や、自然災害や需要変動に伴う公平なリスク負担のあり方を検討し、官民双方にメリットのある事業スキームを検討するものでございます。

 そして、本事業に予定となっておりますのは、国交省の令和5年度先導的官民連携支援事業補助金でございます。

 

渡 辺 国交省の補助金が使えるということで、これは積極的に活用してもらって、当然、これだけの大きな事業ですので、国とよく話をしてもらいながら、国の使える予算があれば使っていただいて、検討に資する検討を進めてもらいたいと思いますけれども、そこも踏まえて、次のコンセンサス形成事業ですが、地元の理解が得られていないことについて、これを活用しながら、こちらの課別にもあるとおり、コンセンサスの形成だけなので、とりあえず事業の内容をお伺いします。

 

知事政策局次長 コンセンサス形成事業につきましては、富士山登山鉄道構想の事業化に向けた機運の醸成と、富士山の観光や環境のあり方について、将来どのようにしていくべきかのコンセンサスを形成するため、住民説明会やシンポジウムの開催のほか、国内外のメディアに情報を発信し、積極的に取材いただくとともに、登山鉄道構想の目的や効果をPRする動画を作成したいと考えております。

 

渡 辺 こちらも国補を使うと聞いているんですけれども、こっちの国補は一体どういう内容になるんですか。

 

知事政策局次長 こちらはコロナの臨時交付金でございます。

 

渡 辺 コロナの臨時交付金はさまざまなことに使えるんだなと常々思いますけれども、地元の合意形成というものが何よりもこれは大事だと思うんです。

 今、地元は戸惑っているんです。今、話の中で、鉄道ありきではないとおっしゃられながらも、地元としては鉄道つくるみたいな形で受けとめる方も多くいらっしゃっているので、そういった部分は理解を得て、建設するのであれば機運も醸成していくという、まさにそういったプロセスが大いに必要になってくるんだと思います。なぜバスではなくて鉄道なのか。鉄道のメリットは一体何なのか。検討の過程から、比較の段階から地元に対して丁寧に説明をしていくことが必要なんだと思います。

 ぜひ、動画もしっかりつくっていただいて、地元との細やかな意見交換もしていただいて、御意見も聞いていただいて、私はこの検討費を、鉄道という名前ですけれども、私の捉え方としては麓から五合目までのアクセスを山梨県としてどのように考えていくんだということの出発点だと捉えておりますので、そこはぜひ、今までコロナ禍でなかなか地元とも合意形成ができなかったと思いますので、しっかりとこれは地元との合意形成をしていくという意思を県として見せていただきたいんですけども、その点について所見を伺います。

 

知事政策局次長 今年度は既に知事みずから山小屋組合の皆さんと意見交換を行ったほか、この予算案公表と同時に、地元市町村長等に対しまして説明を行ったところでございます。今後は調査検討の中間報告に基づき、説明会やシンポジウムを開催し、地元に対してより詳しい説明を行ってまいりたいと考えております。

 

渡 辺 ぜひよろしくお願いいたします。私は地元から聞かれるときに、まだ鉄道の是非を問う段階ではないんだと。検討の段階で、さまざまなほかの交通手段も含める中で、県としては現時点においては、最も有効な手段として提案しているだけで、これから先、しっかりと議論をしていく段階なので、皆さん方もぜひ興味、関心を持っていただいて、今後、未来に対して富士山を保全して継承していくといった御意見を下さいというお話をしていますので、ぜひそんな機会を多くつくっていただきたいと思います。

 一方で、来訪者をコントロールしていかなければならないんですけれども、富士山は単なる観光地ではないことは、皆さんは御承知だと思っています。世界遺産になった信仰の対象であり芸術の源泉、特に信仰の対象としての富士山は、大きな比重を占めていると思っています。

 これが普通の例えば観光地であれば、来過ぎるから、ごみの問題だとか、トイレの問題とかもあるので、ただ単に入場規制すればいいと思うかもしれませんけれども、信仰の対象として、古来より登っていらっしゃる方も多々いるんです。そういう人まで排除すると、それはそれで問題だと思っています。

 また一方で、地元の人はなれ親しんだ富士山に定期的に登っている方も多数いらっしゃいます。それを信仰と捉えるのかどうかはともかくとして、そういった方もいらっしゃいますので、ただ単純に入場規制すればいいということでもないと思うんです。

 来訪者管理計画はつくりながらも、一方で信仰の対象としての富士山を重んじている方々のために、富士吉田市は特に吉田口登山道から五合目まで至る道の整備をこれから進めていくという話もしていますので、スバルラインだけを議論するのではなくて、吉田口登山道とか、ほかの登山道も含めて、富士山への五合目へ至るアクセスのあり方というのを全体的に議論していただきたいと思うんですけれども、所見を伺いたいと思います。

 

知事政策局次長 ただいま委員御指摘のとおり、麓から吉田口登山道を使って登るのが富士山信仰における本来の登山スタイルでございます。現在、富士吉田市で吉田口登山道の保存管理計画の策定を進めており、県でも協力していくこととしております。今後も富士吉田市と連携して、吉田口登山道からのゆとりある登山を推奨してまいります。

 

渡 辺 ぜひ富士山への五合目へのアクセスをどのように県として考えるのか。市や関係団体、山小屋さんとか観光協会、商工会等を交えながら、さまざまな見地からしっかりと検討をしていっていただいて、将来のあるべき姿の富士山というものを一緒に描いていければと思っております。

 電化の話ですが、私としては、富士山は五合目も電気がないので、電化をしていくことについては賛成なんです。ただ、だからといって鉄道ありきではなく、滝沢林道に例えば電線を地中化するということも、一つの方策としては考え得るのかなとも思っていますので、そんな点も含めながら、ぜひとも今後もしっかりといろいろな専門家や地元も含めて検討を進めていっていただきたいと思います。

 

多文化共生社会推進事業費について

 

渡 辺 多文化共生社会推進事業費1,517万円について、何点かお伺いしたいと思います。

 初めに、1のマル新、異文化理解・多文化交流促進事業費についてお伺いしたいと思うんですけれども、ここに事業内容として、交流運動会の開催、何となくこれはわかるんです。移住して来られた、あるいは定住していらっしゃる外国人の方々と自治会とかで運動会をやるというイメージは湧くんですけれども、啓発動画をつくられるとありますが、こちらのイメージが湧かなくて、誰に対して、誰向けの動画で、どのような動画なのか、まずお伺いしたいと思います。

 

外国人活躍推進監 まず、対象ですけれども、主に日本人向けのショート動画を制作したいと考えております。内容につきましては、日本人になじみが薄い外国の習慣とか、外国人が日本の生活で困っていることなどを紹介していきたいと考えております。

 

渡 辺 日本人向けに外国人の方々のことを知ってもらうということだとは思うんですけれども、そもそもの動画の狙いについては、どのように考えられているのか、お伺いしたいと思います。

 

外国人活躍推進監 動画の狙いにつきましては、日本人の異文化理解を促進するというものが大きな動画の狙いです。外国人の受け入れが年々増加しておりまして、今後もますますふえていくことは予想されるんですけれども、日本人の住民側の理解を深めることは極めて重要と認識しておりますので、住民の理解を深めて、多文化共生社会の実現に向けて着実に進めてまいりたいと考えております。

 

渡 辺 外国人住民の方の共生というのは、本当に大事なことだと思っていますし、昨今の人手不足だとか、大きな社会問題になってきていますので、よりよく、日本人の方々にも誤解なきように、外国人の方々の文化とか、生活習慣とか知っていただくということは大事だと思います。であればこそ、この動画は広くいろんな方に見ていただかなければならないと思うんですけども、この動画の活用については、どのように考えられているんですか。

 

外国人活躍推進監 制作した動画につきましては、現在、多くの方が視聴しているTikTokやユーチューブ等で配信をしたいと考えております。そして、また県のホームページを通じて広く広報を行いまして、制作した動画を見ていただくように誘導をしていきたいと考えております。

 

渡 辺 せっかく予算をかけて動画をつくるのですから、また外国人のそういったことを知っていただくために、より多くの人に見ていただけるように広報していっていただければと思います。

 次に、外国人患者受診環境向上モデル事業費というのが77万円で載っていますが、事業内容を見ると多言語電話通訳サービスの導入とあるのですが、通訳で77万円は大分少ないと率直な思いとしてあるんですけれども、多分これを見る限りは、何か病院にかかるときに、言葉がなかなか通じないから、何らかのサービスがあって、通訳してもらえるような形になるのかなという感は受けますけれども、わかりづらいんで、まずこの詳細について伺いたいと思います。

 

外国人活躍推進監 この事業につきましては、医療機関における医療従事者と外国人患者の円滑な意思疎通を図るためのモデル事業として位置づけております。

 具体的には、医療機関が外国人患者の診察に当たりまして、県が契約するコールセンター、多言語コールセンターへ電話をかけて、コールセンターの医療通訳者が医療従事者と患者の意思疎通を支援するものでございまして、本予算はコールセンターへの委託に要する経費となっております。

 

渡 辺 意外と安価で委託して、そういったことができるコールセンターがあるということなんですね。そうであれば、ぜひ外国人の方々も病気になったりするときに、言語の問題は特に悩みが多いでしょうから積極的にこれも広報していただいて、外国人の定住につなげていっていただきたいと思いますけれども、モデル事業ということは、今後発展的に展開していくんだと思うんですが、今後の事業展開についてお伺いします。

 

外国人活躍推進監 まずは、今回のモデル事業を実施する中で、公的病院をメインとして、外国人患者への医療提供にかかわる意思疎通の面の課題等を把握して、その後、全県的に外国人の方が不安なく適切な診療を受けられる受診環境の構築に向けて、今後施策の展開を図っていきたいと考えております。

 

渡 辺 ありがとうございました。

 

電子自治体整備事業費ついて

 

渡 辺 電子自治体整備事業費2億5,585万8,000円について、金額も大きいので、何点かお伺いしたいと思います。

 まず、初めに、働き方改革に向けたICTの環境整備事業として、先ほどの説明では、職員が業務システムを開発できる環境を整備するというような説明でしたけれども、まず、こういった予算づけになった背景についてお伺いしたいと思います。

 

情報政策課長 業務で使用するシステムは、開発に当たり専門的な知識や技術が必要となりますので、IT企業へ委託して構築してまいりました。しかしながら、委託するためには、予算の確保や入札を行う必要がありまして、相当の期間を要することから、速やかに開発できないという課題があります。例えば、新型コロナウイルス感染症に対応する業務では、感染の急拡大により業務量が急激に増加する中、感染者の情報を効率よく管理するシステムが必要となり、事業者に見積もりや設計を依頼したものの導入までにかなりの時間がかかりました。行政を取り巻く環境は常に変化しており、新型コロナの例に限らず、さまざまな行政分野における状況の変化に柔軟かつ迅速に対応できるよう、現場のニーズに合わせたシステムを、専門知識を必要としないで簡単に開発できる環境が必要となっているためです。

 

渡 辺 ソフト自体を開発するというのは、もちろん専門的な知識も要るでしょうし、時間もかかるでしょう。私も含めてですが、普通のワードとかエクセルとかを使っている方だけでは、なかなか業務改善の効率化に資するソフトを開発するというのは、ちょっと想像できないです。そんな中で、この事業内容も見ますと、業務改善ツールの導入という形になっているんですけれども、先ほど説明にも、基本的な知識があれば開発ができるようなツールだとは思いますけれども、このツールについて、もう少し詳しくお伺いしたいと思います。

 

情報政策課長 このツールにつきましては、パワーポイントやエクセルを使うような知識があればシステムを開発できる、そんなシステムになります。誰でも簡単につくれるとはいいましても、何も知識のない方がいきなり構築、開発するというわけにはいかないものですから、まず業務システム開発のために必要となるソフトウエアを5年間利用するためのライセンスを調達いたします。その上で庁内の体制づくりをあわせて行うのですが、まず、システムの作成を体験する研修会を開催いたします。また、初めてシステムを開発する際には、わからないことや、うまくいかないことに直面するため、しっかりとサポートして開発を成功に導くための伴走支援などを行います。

 

渡 辺 パワーポイントとかの知識があれば、できるようになるという話を今伺っているんですけれども、ちょっと想像がしづらいというか、また、逆にこういったソフトを使って開発していくということ自体、職員の方々に負担になってしまうのではないかと不安も出てくるんです。一般的にはさまざまにカスタマイズされたアプリとかツールとかがあると思うんです。そういった中で比較検討をして、今回こちらの2億5,000円余を投入してされるということなんですけれども、一般的なパッケージ化されたものを使用するのではなくて、そういったカスタマイズできるようなツールを使うということにした率直な理由を伺いたいと思います。

 

情報政策課長 委員御指摘のとおり、都道府県の業務を対象としたシステムでありますとか、複雑なものについては、市販システムの利用も考えられます。一方で、市販のシステムは、調達に当たって予算と時間を要することに加えまして、実際の業務に合っていなかったり、不足している機能の追加が必要になることもありまして、現場のニーズに合ったシステムを速やかに導入することができないという一面もあります。そのため、費用対効果でありますとか、緊急性などを踏まえまして、市販のシステムを調達するのか、それとも職員みずからが開発したほうが早いのかを選択することになると考えます。

 

渡 辺 基本的に併用しながらやっていくということだと思いますけれども、そもそもの趣旨が働き方改革だと思うんです。これを導入することによって、より業務量がふえてしまったら本末転倒になってしまうと思いますので、その辺はよく精査しながら進めていっていただきたいと思いますけれども、この質問の最後に、改めて、この事業効果はどのようなものがあるのか、伺いたいと思います。

 

情報政策課長 まずは、業務委託に必要となる時間と費用を削減できるということに加えまして、業務を熟知している職員みずからが開発することで、現場に合ったシステムを作成することができます。このため、新型コロナのような緊急かつ重大な事案が発生した場合におきましても、速やかにシステムを作成して効率よく業務を行えるようにすることにより、業務継続でありますとか、県民サービスの維持につながるものと考えております。

 また、通常の業務におきましても、さまざまな業務の改善や行政サービスの向上が図られることが期待できると思っております。いずれにしましても、山梨県民総DXに取り組んでいく県といたしましては、行政みずからがデジタルへの適応力を高めまして、より多くの職員が業務の変革を行う環境の整備を進めることにより、施策を推進する庁内の体制強化につなげてまいりたいと思っております。

 

富士山火山広域避難対策推進事業費について

 

渡 辺 防災対策費、富士山火山広域避難対策推進事業費132万円についてお伺いしたいと思います。

 一般質問でもさせていただいたんですけれども、今年は大きな富士山火山防災対策の節目になっていく年で、ハザードマップが改定され、広域避難計画を改め、避難基本計画が策定されて、これから県も市も避難計画がつくられていくということになる中で、今回、マル臨として、啓発動画の制作ということが、ここに載っているわけですけれども、そもそもこの啓発動画は一体どのようなものなのかについて、まず初めに伺いたいと思います。

 

富士山火山防災監 啓発動画の内容は、富士山火山避難基本計画を踏まえまして、噴火現象や地形に応じた効果的な避難方法について、一般住民の方々にわかりやすく説明する内容を予定しております。

 

渡 辺 一般住民の方々にわかりやすく説明する動画ということですけれども、この動画の活用方法というものはどんなものなのか、具体的に教えていただければと思います。

 

富士山火山防災監 行政からの情報は、ややもすると敬遠されがちな文字情報となっております。

 こうした文字情報によらず、一般住民の方の目線に立って、理解していただきやすいよう、視覚的な情報で説明することとしたものでございます。活用に当たりましては、市町村の皆様と連携いたしまして、県や市町村のホームページや地域住民の方々への説明会など、あらゆる機会を捉えて活用していただくことを想定しております。

 

渡 辺 コロナも2類から5類へと変化して、住民説明会等もしやすくなってきたと思いますので、まだまだ避難基本計画の内容については、地元の富士北麓はもちろんのこと、県下全域にまだまだどういった変化があったのか、徒歩避難が主軸になったということも含めて知っていただく必要があると思いますので、ぜひ、住民説明会とか、そういった形に活用していただきたいと思うんですけれども、私は最後に、特に若い人たちが、この富士山火山防災対策というものを身近に知っていただき、ふれていただく機会が本当に大事になってくると思います。またその点も含めて、SNSを活用した情報発信等も必要ではないかと考えるわけですけれども、最後に所見を伺いたいと思います。

 

富士山火山防災監 委員御指摘のとおりでございます。富士北麓地域以外の市町村や関係機関にも成果品を提供いたしまして、全県的にあらゆる機会を通じて、普及啓発のツールとして活用していただくことを予定しております。このため、行政職員だけでなくて、広く一般の方にも、避難基本計画についてわかりやすく御理解いただけるよう、県市町村のホームページだけでなく、SNSの活用ということで、ユーチューブなどを活用した普及啓発にも取り組んでまいる所存でございます。

 

令和5年5月臨時会総務委員会 会議録

令和5年度山梨県一般会計補正予算について

 

渡 辺 訟務管理費並びに債務負担行為について、何点か確認をさせていただきます。

 補正額として55万円ということで、以前に定められた訴訟代理人弁護士の選任及び報酬に関する指針によりますと、着手金は、簡易な事件、通常の事件、事件に係る経済的利益の額が大きい事件という3つに分類されると思いますが、今回そのうちの通常の事件に該当するという理解はしております。

 そこで、事件に係る経済的利益の額が大きい事件というものは、その他もあるんですけど、概ね1億円以上と経済的利益という明確な基準がある。ただ、簡易な事件と通常の事件に関するその選別はどのようにして、そして今回の案件が55万円という通常の事件になったのかについて基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

 

行政経営管理課長 委員御指摘のとおり、県が定めている訴訟代理人弁護士の選任及び報酬に関する指針では、訴訟の難易度に応じて軽易な事件、通常の事件、その他困難な事件の3段階に区分されており、区分ごとに着手金及び報酬金が定められております。

 今回の事案は、経済的利益が大きく、高度な法令の運用解釈を要するなど特別に困難な事案ではない一方で、法的解釈に争いがないなど、訴訟追行の負担が軽い事案でもないため、通常の事件に該当し、着手金は55万円となります。

 

渡 辺 法的な解釈に通常ではなく、軽易な場合というのは、訴訟代理人弁護士と相談して判断するということですか。経済的な利益の額で判断するのではなくて、その法令解釈だとか、困難性をいわゆるプロの専門家の弁護士と話をして決めるという判断でしょうか。

 

行政経営管理課長 基本的には訴訟の内容等によって、こちらで判断をさせていただくわけでございますけれども、あえて通常の事件というものを定義するのであれば、事実関係等に争いがあって、証人尋問等の可能性も想定され、通常の主張・立証が求められることが見込まれる事件ということで考えております。

 一方、軽易な事件といたしましては、事実関係や法的解釈に争いがなく、主張・立証等訴訟追行に要する負担が軽い事件、こういったことで考えております。

 

渡 辺 そういった明確な基準があればそれでよろしいかと思います。

 あともう1点、以前こういった形で訴えられて、着手金という形になった時に、債務負担行為のみで補正予算は計上されてなかったこともあろうかと思いますけれども、今回こういった形で計上された。

 普通であれば、こういう形が普通だと思うので、その時に聞いたら、既定の予算内で対応されたという答弁を受けたんです。ということは、今回、既定予算には今後発生するであろう着手金に関する予算はなく、今後も、こういった形で予算と債務負担行為を両方とも提出されるという理解でよろしいのかどうか確認したいと思います。

 

行政経営管理課長 昨年度も訴訟案件8件に係る予算を提出させていただいておりますが、基本的に着手金の予算と報酬金に係る債務負担行為をセットでお願いしているところでございます。

 ただし、2月補正の追加提案分1件につきましては、その段階で、同じ予算内、つまり訟務管理費でございます  けれども、こちらに執行残が見込めたことから、債務負担行為のみとなっております。

 基本的には着手金の予算と債務負担行為を一緒にお願いしているところでございます。

令和5年3月10・13日 土木森林環境委員会会議録

 

富士山有料道路管理費補助金について

 

渡 辺 富士山有料道路管理費補助金、9,496万6,000円について何点かお伺いします。

 説明では、ここに書いてあるとおり、富士山有料道路の通行を確保するため、道路公社に対して費用を助成するとのことですが、まず、この事業の目的と支援対象について詳細にお伺いしたいと思います。

 

道路整備課長 本年、世界文化遺産登録10周年を迎える富士山を訪れる観光客の多くは、麓と五合目を結ぶスバルラインを利用することから、適切に道路の維持管理を行うことは必要不可欠だと考えております。

 一方で、近年新型コロナウイルス感染症の影響を受け、料金収入が著しく減少しており、利用者の安全を確保するために必要となる道路修繕費等の管理費の確保は非常に困難な状況でございます。県では、道路を管理する県道路公社に対して、除雪などの路面管理や道路施設の管理に必要な経費に限定した費用の助成を、昨年、一昨年と行っているところでございます。支援対象は、必要最低限の経費から料金収入を差し引いた額としているところでございます。

 

渡 辺 コロナ禍に突入した時は不要不急の外出を控えるようにという行動規制がかけられましたので、利用者数が激減し、道路公社にとっても大変な状況にあるということで、当時の出資法人の委員会の調査対象になっていましたので、私の方から通行台数が減っても、除雪や道路の損耗に対する修繕などにかかる経費はありますし、それを放置するわけにもいきませんので、ぜひ県土整備部から道路公社に対して支援をという質問をさせていただいた記憶もあります。それを受けて、当時、確か2億円を超えるような支援金が予算計上されたことを記憶しております。そんなこともありまして、答弁にもありましたように今年は富士山世界文化遺産登録10周年です。しっかりと道路公社を県土整備部としても支援していただいて適切な道路の維持管理に努めていただきたいと思っております。

 一方で、いよいよコロナから3年が経過して、ワクチン接種、国や県の観光支援施策なども含めて、限定的ではあるものの、観光客が戻りつつあり、スバルラインの通行台数がふえてきていることは地元としても認識しています。そこで、地域の重要な観光道路である富士スバルラインの通行台数及び料金収入について、コロナ前と比較して、現在どの程度回復しているのか、お伺いしたいと思います。

 

道路整備課長 前年度と比べ、確かに回復傾向にはあります。今年の4月から12月の通行台数と料金収入は、コロナ前の令和元年度と比較すると、通行台数は約6割、また、料金収入は約3割程度の回復状況であり、依然厳しい経営状況になっているところです。通行台数に比べ料金収入が伸びていない最大の要因は、インバウンド観光需要の回復の遅れにより、比較的通行料金の高い大型観光バスの利用がふえていないことが要因の一つではないかと考えております。通行台数を車種別に見ますと、コロナ前の令和元年度に対して、普通車が約9割まで回復したのに対し、大型観光バスは特大車区分になりますが、8%程度にとどまっている状況でございます。

 

渡 辺 地元の感覚でも、コロナが大分収まってきて第8波も収束傾向にあるという中で、国内観光客はコロナ前に戻ってきていると感じている一方で、答弁にもあるように、インバウンドの、特に団体の観光客の戻りはまだまだコロナ前に比べて戻っていないと感じています。特に中国系の観光客がコロナ前は特大バスを何台も連ねて富士山に来ていたので、そういった方々がまだ戻ってこないという中で、通行料金の収入は厳しい現状にあると思いますので、ぜひ引き続きの支援策をお願いしたいと思っております。

 一方で、国の全国旅行支援などの観光支援策や、県でも山梨割というような観光支援策を打ち出していただいていますが、道路公社としても、そういった観光施策を基礎としながら、みずから通行台数、料金収入をふやしていく努力も必要になってくると思っております。

 そこで最後に、富士スバルラインにおいて、ポストコロナに向けた反転攻勢に資するような利用促進施策を今後どのように考えていくのか、お伺いしたいと思います。

 

道路整備課長 県道路公社では昨年度、観光部局の協力も得ながら、富士スバルライン利用促進検討会を設け、スバルラインを利用した観光の魅力発信についての取り組みを始めております。さらに今年度は、富士山五合目の関係団体と一緒に、御来光や雲海などの幻想的な風景やスバルライン沿線の潜在的な魅力についてプロモーションを行うことをしております。その一つの例として、昨年10月にインスタグラムを活用したフォトコンテストを実施しました。多くの作品の応募があり、富士山世界遺産センターで展示会も開催したところです。

 今後もこういったSNSなどを活用した情報発信を積極的に進め、スバルラインの利用促進につながる取り組みを行っていきたいと考えております。

 

 

盛土規制法規制区域指定基礎調査事業費について

 

渡 辺 盛土規制法規制区域指定基礎調査事業費、5,148万円について何点かお伺いします。

 静岡県熱海市で起きた土砂災害を受けて制定された盛土規制法に基づく基礎調査だと思いますが、たしか12月の議会のときに、林政部で同じような事業をやっていたと思います。盛土規制法に基づく規制区域指定基礎調査事業費ということで、質疑もいくつかあったと思いますが、それと、どのような関係にあって、今回この予算を計上されたのか、初めにお伺いしたいと思います。

 

道路整備課長 この盛土規制法は、おっしゃるとおり、熱海市の災害を受けて制定された法律になります。これは、国土交通省と農林水産省の共官法となっており、法の施行にあたっては、宅地や農地、森林等の土地の用途にかかわらず、両者がしっかり連携してやっていくことになっております。この基礎調査におきましても、支援制度も両省に設けられています。そうした中で、林政部と協議・調整して、令和4年度の補正で林政部が基礎的な資料の作成を計上して、令和5年度の当初予算で県土整備部が同じく国から補助を受けて、その基礎的資料の成果をもとに、詳細な区域の設定を行うということで計上しているものです。

 

渡 辺 行政の縦割り感を感じるところではありますが、ただ、林政部には林政部の、県土整備部には県土整備部のやることはあると思います。基礎調査の内容について、林政部でこういったことをして、県土整備部で今回の事業費を使って基礎調査はどのようなことをするのか、詳細について改めてお伺いしたいと思います。

 

道路整備課長 基礎調査につきまして、内容をまず説明させていただきます。国が示した基礎調査の実施要領に基づき、既存の土地利用情報や地形のデータのほか、災害が発生しやすい地形や地質情報を収集し、これらの情報データを重ね合わせ、危ない区域を抽出します。その上で、抽出された区域から災害の発生のおそれがない区域を除外して、その後、地形的状況等を勘案した上で、規制区域を指定するために必要となる資料の作成を行います。林政部で行う作業としましては、既存の土地利用上のいろいろなデータを重ね合わせて区域を抽出するところまでです。その後、その資料に基づいて、必要のないところを除外するなど、細かい線を決めていくことを県土整備部で引き続きやっていくという役割分担になっております。

 

渡 辺 あれだけの被害が起きた熱海市を教訓にして、本県で同様の災害被害が起こらないように、しっかり林政部と県土整備部で協力しながら基礎調査を進めて対応策を検討していただきたいと思います。

最後に、こういった基礎調査をして、規制区域を特定するために作業を進めていくと思いますが、今後、どういった取り組みを具体的に行っていくのかを最後にお伺いしたいと思います。

 

道路整備課長 この基礎調査で作成した資料に基づき、規制区域の指定をします。規制区域の指定に向けては、関係市町村等の意見を聞いた上で、隣接都県との調整を行いながら進めていくことになります。さらに制度の運用にあたっては、新たに規制をかけることになりますので、この法律が有効に機能するように、規制内容について、土地の所有者や事業者はもちろん、地域住民に対しても十分に周知を図っていく必要があると考えております。

 

国際交流植樹事業費について

 

渡 辺 国際交流植樹事業費2,300万円について何点かお伺いしたいと思います。

 富士北麓地域もコロナが大分収束して、外国人観光客もふえてきている状況にあります。そのような中、富士北麓地域の豊かな森林空間を活用し、姉妹・友好地域等との国際交流の推進を図るため、記念植樹を行うとのことですけれども、植樹を通じて国際交流を図って、富士北麓の有する豊かな森林をさらに向上させ、さまざまな地域の外国人観光客を始めとする方々に植樹をしていただくことはいいことだと思っておりますが、まず、この事業の具体的な内容についてお伺いします。

 

県有林課長 本事業は、まず、来年度の前半に植樹をするエリアと林内の遊歩道を整備し、秋以降、植樹のイベントを開催することとしております。場所については、富士北麓の県有林を対象に検討を進めており、富士山の眺望や交通アクセス、また、イベント開催に必要となる式典の会場や駐車場との位置関係等から、平成2年に鳴沢村で開催された第14回全国育樹祭の会場記念広場の隣接地がベストではないかと考えています。

 

渡 辺 先日、この全国育樹祭記念広場に改めて行ってきました。地元の私でもそんなに何回も行ったことがなくて、子供のころに行ったぐらいの記憶しかなくて、改めて行ってみると、芝生広場がきれいに整備されていて、駐車場やトイレ等も整備していただいたところで、かつ、天候もよかったので、その場所からとてもきれいに富士山を見ることができました。こういった環境的にもすばらしいところで植樹のイベントをして、さらに整備が進めば、富士北麓地域に来る観光客は、文化ももちろんですが、やっぱり自然環境を体験しに来られる観光客が多いと思いますので、そういった方々の新たな観光スポットとして満足していただける場所になるのではないかと思っています。

 次に、今回は骨格予算として編成した中で、この新規の国際交流植樹事業を予算計上していますが、なぜこのタイミングで予算計上されたのか、その理由についてお伺いします。

 

県有林課長 知事は、「開の国プロジェクト」を公約の柱の一つに据え、本県が国内、またさらには海外にも開かれることで価値を高め、富を呼びこみ、県民に豊かさをもたらす方針を示したところです。このプロジェクトでは、富士五湖地域を取り上げ、地域の持つポテンシャルをさらに引き出して、国際的なプレゼンスを高め、情報発信を進めることとしております。こうしたことを踏まえ、今回、富士北麓地域の豊かな自然環境を世界に向けてPRする本事業を立ち上げることとし、秋の開催ということで、4月からの着手が必須となるため、このタイミングで立ち上げることとしたものでございます。

 

渡 辺 秋の開催ということで、しっかり準備を進めていただき、せっかく植樹をするのであれば、その自然環境に合った、かつ見栄えのいいものを植樹してほしいと思います。

次に、姉妹・友好地域等との国際交流の推進を図るとのことですが、具体的に、どのようなところを検討されているのかお伺いしたいと思います。

 

県有林課長 県の姉妹・友好地域につきましては、アイオワ州、四川省、忠清北道など5つの地域があり、このいずれかを想定していますが、具体的な地域をどこにするかは、現在検討しているところでございます。

 

渡 辺 今年は、富士山が世界文化遺産に登録されて10周年の節目の年になります。そのようなときにこの地域に植樹をしていただき、新たな国際交流の拠点を整備していただく中で、キックオフとして、県の姉妹・友好地域等を検討していくことはいいことかと思います。せっかくお金をかけて整備して、今後、維持費もかかっていくと思うので、そうであるならば、この整備効果を最大限活用するためにも、国主催のこういったイベントを誘致するなど、姉妹・友好都市に限らず、さまざまな国に対して情報発信して、ここに来ていただくことを、今後、県として、より一層アピールしていただきたいと思っておりますが、最後に所見をお伺いします。

 

県有林課長 委員のおっしゃるとおり、多くの国に使っていただければ知名度も上がり、富士北麓地域の付加価値向上にも寄与できます。今後は、国の国際行事についてもこの場所で植樹のイベントが実施されるように外務省に向けて働きかけていきたいと思っております。

 

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