令和4年度

令和4年12月12・16日 土木森林環境委員会

家庭用省エネ機器導入支援事業費について

渡 辺 地球温暖化対策県民運動推進費10億3.600万円のうち、家庭用省エネ機器導入支援事業費について、何点かお伺いしたいと思います。

 御承知のとおり、原油高の影響によって今後も電気料金、都市ガス等の料金の上昇が見込まれている中、国でも激変緩和措置が講じられていることは承知しておりますが、本県においてもこういった支援策が強く求められております。

 そんな中で、ここに計上された事業がその支援策の一環であることはわかりますが、このタイミングでこの事業費が計上された理由と、大きな題目として地球温暖化対策県民運動推進費となっていますが、この事業の目的についてお伺いしたいと思います。

 

環境・エネルギー政策課長 本事業の目的でございますけれども、委員からもお話しいただいたように、まず何よりも物価高騰の厳しい状況にある生活者を少しでも早く、そして、できる限り多く支援することに尽きると考えております。

 また、その支援は一時的なものではなく、中長期的に効果が続き、家庭の体質の強化を図るものとして、省エネ家電の購入支援を行うものでございます。

 一方で、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、家庭の省エネ、CO2削減を図ることが喫緊の課題となっております。本事業を契機とし、家庭の脱炭素化を進めていくことも大きな目的と考えております。

 

渡 辺 次に、家庭ではさまざまな電化製品、ガス機器が使用されていると思いますが、今回、対象商品が空調、冷蔵庫、ガス温水器、LED照明機器となっておりますが、これに限定した理由についてお伺いしたいと思います。

 

環境・エネルギー政策課長 対象品目の選定の理由ですが、家庭のエネルギー消費量を見ますと、給湯と冷暖房で全体の半分以上を占めております。

 また、電力消費量で見ますと、エアコンが全体の14.7%、冷蔵庫は14.3%、照明機器につきましては13.5%となっております。こうした省エネ効果のより大きい機器を対象とし、家庭の省エネを進めていくために選定をさせていただいたところでございます。

 

渡 辺 ちなみに、この事業は、いつからいつまでを想定されているのですか。ポイントを付与すると思いますけれども、期間はどうなっているのか、お伺いします。

 

環境・エネルギー政策課長 期間につきましては、繰越明許費で予算を計上させていただいております。これは、国の交付金が繰越可能になったことで今回の予算計上にあわせて繰越明許費を設定させていただいておりますので、御議決後、事業の開始の手続を速やかに整え、来年早々2月に開始をさせていただき、再来年の年度末までを事業期間として設定をさせていただきたいと考えております。

 

渡 辺 それなりの期間を取っていただけるということで、昨今は機器がなくて、こういった支援策を活用できないということも違う事業で聞いたりもしますので安心しました。

 家庭用のエネルギーコストの削減という中で、こういった省エネ機器を導入した場合、どの程度削減効果があるのかお伺いしたいと思います。

 

環境・エネルギー政策課長 省エネ機器の導入効果につきましては、導入する機器により異なるため、一概には申し上げられないところでございますが、例えばエアコンにつきましては、10年前の機器を新しく更新した場合には年間約3.000円程度、冷蔵庫につきましては、同じく7.000円程度、蛍光灯をLEDに交換した場合につきましては、年間約2.000円程度、さらに効率のよいガス温水器に交換した場合には年間約9.000円程度の軽減効果が見込まれておるところでございます。

 

渡 辺 この物価高、エネルギー高、原油高の中で、家庭に係る負担は大きいと思っていますので、そういったものの軽減になると同時に、CO2の削減にも資するということで、ぜひ進めていただきたいと思っております。今回の事業で、省エネルギー機器の導入をした方々に対してポイントを付与するという制度設計をされていると思いますが、ポイント付与にした理由についてお伺いしたいと思います。

 

環境・エネルギー政策課長 本事業の事務は民間企業に委託する予定としております。それにより、民間のノウハウを活用し、迅速な付与が可能となること、近年のキャッシュレス決済の進展により、県民の利便性が高まることに加え、付与されたポイント等は、食料品や生活必需品の購入など、他の消費喚起を促し、地域経済の活性化につながることからこうした仕組みをとることとしました。さらに、本店が県内に所在する店舗で購入した場合には、LEDを除き、ポイントを2倍とする予定でございます。

 

渡 辺 私もキャッシュレス決済になれてきまして、ポイントが付与されることはありがたいことですけれども、一方で、よく聞く話ですが、なかなかキャッシュレス決済が不得手で活用しづらい人、あるいは活用しない人たちはポイントの利益を享受できないのではないかという不安があります。そういったキャッシュレス決済がなかなかできない人、しない人に対する支援策を何か考えているのか最後にお伺いします。

 

環境・エネルギー政策課長 キャッシュレス決済を使えない人、あるいは使うことのできない人につきましては、商品券などを提供することにより対応したいと考えております。

 

 

山梨県笛吹川フルーツ公園の指定管理者の指定の件について

渡 辺 地元の議員さんたちも関心の深い指定管理者の候補者の選定だったと思いますが、初めに、2団体から申し込みがあったということですが、このやまなしフルーツパークパートナーズは、新たな管理者でしょうか。それとも引き続きの管理者ですか。

 

都市計画課長 候補者のやまなしフルーツパークパートナーズは、今の指定管理者ではありません。前回の指定管理者でありました。

 

渡 辺 今の指定管理者ではなく、前の指定管理者に戻ったというか、その方が新たに指定管理者の候補者となったと理解いたしました。

 40ページを見ますと、採点結果が、83.7、83.4という、かなり高得点の上に僅差で選定がされております。この2者の採点結果のもう少し詳細な部分についてお伺いしたいと思います。

 

都市計画課長 説明資料40ページをご覧ください。この表の選定基準のうち、4つ目、公園の適正かつ効率的な管理として、維持管理計画については候補者であるやまなしフルーツパークパートナーズのほうが点が高い。3つ目の公園の効用の発揮として、イベントなどの自主事業計画の点につきまして次点となった笛吹川フルーツ公園マネジメントグループがそれぞれ有利な評価結果となっております。

 また、一番下の管理運営経費の提案額に対する評価については、候補者であるやまなしフルーツパークパートナーズが4.682万8.000円と、低い価格としておりまして、有利な評価結果となっております。

以上を合計した総合的な評価結果をもちまして、やまなしフルーツパークパートナーズを候補者としております。

 

渡 辺 この表を見て、今の説明を聞く限りでは、企画的なところでは、今の指定管理者のほうが魅力的な提案をされていましたが、今回の候補者となったほうが金額的に優れていたという、まさに金額面で決まったのかなという印象を受けました。もちろん結果は結果として受け入れながら、今後の指定管理運営にさまざまなことを指導して、一体的に取り組んでいただきたいと思います。そもそも、このやまなしフルーツパークパートナーズの構成員の方々のことがあまりよくわからないので、それぞれどんな会社か、お伺いしたいと思います。

 

都市計画課長 候補者のやまなしフルーツパークパートナーズは、笛吹川フルーツ公園の管理運営業務を履行することを目的に結成された共同事業体であります。

 ここにある3者のそれぞれの役割分担としましては、代表団体であります山梨市フルーツパーク株式会社が共同事業体全体の統括、施設の管理運営、物品販売及び地域連携に関する業務を行うこととしています。

株式会社富士植木につきましては、植栽を含む施設の維持管理及び緑化の普及、啓発などの業務を行うこととしています。

 アグベル株式会社につきましては、果樹の維持管理、果物の振興業務として農業体験や新規就農支援などを行うこととしています。

 

渡 辺 聞いていますと、山梨市フルーツパーク株式会社は、まさにここの指定管理を行うために結成された会社でありますが、一度、指定管理を外れて、さらに研さん、努力を重ねて、今回こういった魅力的な提案をされたということで、今後、ぜひ県と地元の市と連携しながら取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、イベントのときなどに道が一本でかなり渋滞をすると地元の方から聞いています。その渋滞対策について何か対応策等あればお伺いしたいと思います。

 

都市計画課長 今、委員がおっしゃった、このフルーツ公園の大きな課題といたしまして、トップシーズンにあわせて大規模なイベントを開催したときなどに公園駐車場の容量が不足しているということで、渋滞が発生し、公園の周辺施設の利用者だけでなくて、一般交通にも影響を及ぼしています。

 このため、県では公園駐車場の増設の検討をしており、現在、設計業務に着手する準備を進めております。

渋滞対策につきましては、駐車場の整備とあわせて、適切な誘導、臨時駐車場の確保なども必要となりますので、指定管理者と協議する中で有効な対応を検討していきたいと考えております。

 

令和4年11月16・17日 決算特別委員会会議録

やまなし地域産業活性化プロジェクト支援事業費補助金について

渡 辺 まず、決算説明資料の産の6ページ、やまなし地域産業活性化プロジェクト支援事業費補助金9,210万4,000円について、意見書に基づき何点かお伺いします。

 この事業は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によって大きな影響を受けた産業への支援策と承知しておりますが、この補助金の概要も含めた事業目的についてお伺いいたします。

成長産業推進課長 委員も御指摘のとおり、この事業は新型コロナウイルス感染症の影響により、落ち込んだ県内経済の反転攻勢を図るため、国の地方創生臨時交付金を活用し、令和3年度9月補正予算に計上させていただいた臨時事業でございます。

 具体的には、県内の事業者団体が新たに開催するキャンペーンやイベントなど、消費喚起や需要拡大を図る取り組みに必要な経費を支援することにより、地域産業の活性化や県内経済の回復を図ることを目的に実施した補助事業でございます。

 

渡 辺 県内産業の支援策ということで、令和3年度も新型コロナウイルスが蔓延して感染拡大が続いていた状況の中、そういった試みをしていただいたことは、よかったなと率直に思っております。

 本補助金については、県が直接、各事業者さんから申請を受けるのではなく、どこかの事務局的な事業者さんを選定して、その後、事業者さんが先ほど説明があった各種イベントやキャンペーン等の申請を受けるつくりになっているかと思います。そこで、事務局的なものも含めて、事業者選定の経緯と、その後の各種キャンペーンの公募を含めて、その経緯と結果についてお伺いします。

 

成長産業推進課長 委員の御指摘のとおり、業務を円滑に実施するために、事務局を担う団体を公募により選定し、この事務局を通じて補助事業者の募集、補助金の交付などを行うスキームになっております。まず、事務局を行う団体につきましては、予算議決後の10月7日から10月13日までの間、県のホームページを通じて公募を行い、審査の結果、HISセレオ甲府営業所を選定したところであります。

 補助対象になる事業者ですが、県や事務局のホームページを通じて、令和3年度中に計4回の公募を行い、また、商工団体等も通じて広く周知を図ったところでございます。

 その結果、52団体からの応募をいただき、外部の有識者を交えた審査会を経て、補助事業者は計41団体を選定しまして、1団体当たり最大300万円の補助金を交付したところです。令和3年度の執行額は、委員の御指摘のとおり、9,210万4,000円となっております。

 

渡 辺 事務局は、HISさんが公募に応じて、申請して決まったとのことですが、これに限らず、公募の期間が10月7日から10月13日までと、若干期間が短いのではないかなと思うところです。それはそれとして、実際に補助金を交付した団体が41団体ということで、先ほど、イベントやキャンペーンという答弁がありましたが、実際、この最大300万円の補助金を使ってどのようなイベントやキャンペーンを行ったのか、お伺いいたします。

 

成長産業推進課長 補助事業者41団体の内訳を申し上げますと、甲府商工会議所など商工関係が8件、富士五湖観光連盟など観光関係が7件、県ワイン酒造組合など事業者団体が10件、中央市農業振興公社など農業関係が4件、その他が12件となっております。具体的な取り組みとしましては、県ワイン酒造組合による山梨ヌーボー・山梨ワインフェア、これはイトーヨーカドー甲府昭和店において開催したものでございます。

 それから、富士五湖観光連盟によるSNSを活用した観光キャンペーン、これはワクチンを2回接種した方が富士五湖に来訪した際に撮影した写真を連盟のツイッターに投稿すると、抽選で名産品をプレゼントするというイベントでございます。

 それから、西桂町商工会によるデジタルスタンプラリー、これはLINEのポータルサイトを構築し、友達登録をしてくれた方を対象にデジタルスタンプラリー、抽選会を実施しております。

 その他、都内での県産品の販売やPR、アウトドアサウナなどの集客イベントに対して助成を行ったものであります。

 

渡 辺 特に商工団体や農業団体等も含めた、さまざまな団体がキャンペーンやイベントを行う中で、新型コロナウイルス感染症の影響でなかなか集客や売り上げが上がらない産業を支援していくキャンペーンに補助されたことがわかりました。これは臨時事業ですが、令和3年度にこういったキャンペーンやイベントに補助金を支出したことを踏まえ、本事業の成果を県としてどのように考えているのか、最後にお伺いします。

 

成長産業推進課長 実際に実施した事業者からも、新型コロナウイルス感染症の拡大により打撃を受けた地域のにぎわいの創出や消費拡大、販路拡大等が図られたとの声を多数いただいているところです。

 県といたしましても、コロナ禍における地域経済活動の回復等へ向けた活動、また、その先における反転攻勢という観点から、一定の効果があったものと考えているところであります。

 

 

土地の貸付料について

渡 辺 決算説明資料の林の15ページ、土地の貸付料について何点かお伺いいたします。

部局審査の折に、土地の貸付料18億8,180万9,000円につきましては、今までの素地を基にしていた賃料から現況を基にした賃料に変わったものも含まれているとの答弁をいただきました。それを踏まえて伺いたいと思いますが、今回の見直しによって、県民はどのくらい賃料がふえているのかを気にしていると思います。

 その上で、令和2年度の収入済額は23億407万8,000円と記載されております。訴訟対象地の3億3,000万円を抜いても1億数千万円減っています。そのことを踏まえて、令和2年度と比較して、現在、令和3年度の土地の貸付料はどのような状況か、まずお伺いします。

 

県有林課長 今、委員がおっしゃいましたとおり、令和3年度の土地貸付料につきましては18億8.180万9.000円、令和2年度が23億407万8.000円でございますので、比較しますと4億2.226万9.000円のマイナスとなっております。

 この要因でございますけれども、令和3年度は、委員のおっしゃいました富士急行との賃料相当額を損害賠償金の一部として受け入れ、会計上は雑入として処理をしたために、決算報告書では土地貸付料の費目には入っていないこと、あと、令和4年2月議会で議決をいただきました減免案件などの収入が、令和4年度になった案件が多いこと等によるものでございます。

 こうしたことから、令和2年度との対比では契約の対象案件が大きく異なりますので、決算書では単純な比較ができない状況でございます。

 

渡 辺 単純な比較ができないということですが、そもそも雑入というよくわからない科目に入っていることも私としては不可思議な上に、それを抜かしても1億数千万円の中で、減免の部分の95件以外に、全体的な見直しが500件以上あったと思いますが、そのことを考えても数字上なかなかよくわからないです。

 恐らく比較はできるはずです。令和2年度に載っているものと令和3年度に載っているものを比較すれば、どれだけふえているのかは比較できると思うので、御答弁いただけなかったことは残念に思います。

 次に、富士急行の土地については、県の考え方では、賃料の算定方法に重大な誤りがあったとして、地方自治法237条2項による適正な対価ではないという判断の中で違法無効という結論を出したと承知しております。それであれば、前から言われているとおり、ほかの土地についても素地で賃料を算定していたにもかかわらず、ほかの土地は有効で、富士急行の土地だけ違法無効になるというその整合性は一体どうなるのか、改めてお伺いします。

 

県有林課長 県有財産の貸付けにつきましては、地方自治法第237条第2項により、条例又は議会の議決がない場合は適正な対価で行わなければならないと規定をされており、適正な対価とは、これまでの法的議論の結果、現況を基礎とした土地価格をもとに算定すべきものとの結論に達したことから、算定基礎の見直しを行ったものでございます。

 こうした中で、富士急行との別荘地の契約が違法無効と主張する根拠は、同社との賃貸借契約の締結時点では既に造成が完了し、かつ、その費用も既に回収をされていることなどから、山林原野の土地価格を基礎とした賃料算定を正当化する事情は見当たらないというものでございます。

 しかし、これ以外の貸付地につきましては、このような状況が全て当てはまる案件は認められないので、算定基礎が山林原野の素地であったということのみで全てが違法無効となるとは考えでございません。

 

渡 辺 幾つか挙げていただいた条件に全て当てはまるところはないにしても、一部当てはまるところは恐らくあろうかと思います。そのすみ分けが、説明を聞いてもどうしてもダブルスタンダードの感は拭えないなというのが私の率直な感想であります。

 ただ、これを突き詰めても話は平行線になると思いますので、次に進みますが、やはり、県民に説明するために、誰もが納得できる公平で公正な基準をつくって、一方で違法無効というのならば、もう一方も違法無効であるし、適正であれば適正である、しっかりとその基準を明確にしたほうがいいと思います。

 一部当てはまるけれども全てに当てはまらないからという言い方は少し納得できないかなという感はあります。次に移ります。

 そもそも今回の令和3年度の見直しにおいて合意に至らなかった契約の部分は、収入未済額3.943万3.000円の中に入るのか、それとも、ここではなく違うところに記載されているのかお伺いしたいと思います。

 

県有林課長 未合意の案件につきましては、令和3年度中に請求を行っていませんので、当決算書には記載はされていません。

 

渡 辺 令和3年度の土地の見直しについての全体像は、この決算書から全てを見ることはできないことが確認できました。

 そして、賃料改定に当たっての賃借人と賃貸人との合意について、議会からも丁寧な説明が必要だったのではないかと常々言われている中で、私としてもそれは必要であっただろうと思っています。

 例えば、基本的に契約は有効ですが、今回の賃料改定に当たっては、今までの素地を算定としたものではなく、現況を所与としたものに変更させていただきますということを明確にお伝えする。

 一方で、国交省の不動産鑑定基準によれば、実際の新規賃料、私は新規賃料だと思っておりますが、新規賃料は、新規に契約を締結するときにまず提示する賃料のことで、通常、契約が有効であれば、継続賃料をもって提示するべきところを、今回、新規賃料でやっていただきたいとお伝えする。

 あるいは今回、契約改定を行いますが、これは、富士急行との訴訟が継続中になっており、司法の判断が下った場合は変更になる可能性があることなどをお伝えする必要があったと私は思っております。

 その点を踏まえて、賃借人の方に対してどのような丁寧な説明を行ったのかお伺いします。

 

県有林課長 賃借人に対しましては、まず、県民全体の財産である恩賜有財産の貸付けは、地方自治法の第237条の2項により、条例又は議会の議決がない場合は、適正な対価でなければならないと規定をされていること、また、適正な対価とは、これまでの法的な議論の結果、現況を基礎として算出した土地価格をもとに算定すべきものとの結論に達したこと、これまで契約前の山林原野の土地価格にもとづき算定をしていたため、これを、現況を基礎とした算定に見直す必要が生じたこと、こういったことを継続・新規という専門的な言葉は用いておりませんが、丁寧に説明した上で、新たな貸付料として、純賃料と所在市町村交付金の額を提示しまして、理解が得られるように努めてまいったところでございます。

 

渡 辺 算定を見直すに当たり現況にすることは、県の賃借人にとっては、今まで平穏かつ公然と県と契約を締結してきたものが大きく変わるわけなので、十分説明してきたとは思いますが、やはり、専門用語かもしれませんが、通常であれば契約は成立して有効なところ、継続賃料で行うべきところをもっと重々と説明して合意を得たかどうかが大きなところになろうかと私は思います。

 そのことを申し上げ、また、今後、訴訟が継続しておりますので、訴訟や判断によって県が適宜適切な対応を取っていかれることをお願い申し上げて、次の質問に移ります。

 

 

演習場交付金の執行残について

渡 辺 令和2年度まで、こちらも平穏かつ公然と交付していた演習場交付金が、ここに来て初めて執行残となったと記載されておりますが、改めて執行残となった理由についてお伺いします。

 

県有林課長 演習場交付金の執行残1.887万7.000円でございますが、内訳としては、国の演習場貸付料の額の確定に伴い残額が生じたことが一つございます。

 もう一つは、富士急行の山中湖畔の別荘地に係る交付金相当額で、この額が大部分を占めておりますが、契約の効力をめぐって係争中であることから支払わなかったものでございます。

 

渡 辺 それでは、令和2年度までの演習場交付金も、県が契約は違法無効であるから支払えないというのであれば返還請求されるのですか。

 

県有林課長 現在、係争中でございますので、裁判の決着を待って判断をする考えでございます。

 

渡 辺 演習場交付金については、裁判の結果、契約が有効であれば速やかに、かつ適正な価格をお支払いいただければと思っております。

 一方で、県は、賃貸借契約については違法無効であると主張しながら、演習場の使用については地権者に同意を求めていると報道等で伺っています。結局のところ同意は撤回されておりますが、違法無効を主張しておきながら同意を求めることは、どのような考え方にもとづいているのかお伺いします。

 

県有林課長 演習場の使用につきましては、北富士演習場対策協議会の協議を経て、地元総意のもとで締結 された北富士練習場の使用協定によって地元の合意がなされております。したがいまして、毎年送付しております同意書は、その関係者への周知を目的としたものでございます。

 

渡 辺 なかなか無理のある理屈だと思います。同意書とあり、同意を求めているのに、それは周知であると言われて、誰が納得するかという話になるかと思いますが、それが県の考えであればやむを得ないかと思います。

 最後に、北富士演習場の交付金については、地元でも大変関心のあることで、県が一方的に、契約が違法で無効であるからといって勝手に交付をしなくてもいいものかどうかという点も含めて、さまざまなことを考えて慎重に対応していただくことを改めてお願い申し上げて質問を終わります。

 

 

訟務費について

渡 辺 私のほうからは、意見書をこのグループについては3件出させていただいておりますが、時間の関係上、訟務費についてのみ質問させていただきます。

 初めに、部局審査の折に資料要求しました資料を提出していただきまして誠にありがとうございます。その資料も使わせていただきながら質問をさせていただきたいと思います。

 この訟務費をお伺いするに当たって前提となる、訴訟代理人弁護士の選任及び報酬に関する指針を同時に提出していただきましたので、まず、これについてお伺いしていきたいと思います。

 この方針が策定される以前の弁護士報酬の考え方とは大きく異なる指針になっていると思いますが、策定前の弁護士報酬の考え方を明示した上で、この指針の策定理由についてお伺いします。

 

行政経営管理課長 本県では、委員の御指摘のとおり、従前は顧問弁護士の御理解のもと、非常勤嘱託または特別非常勤として弁護士を任用し、その月額報酬の中で法律相談や訴訟追行の業務をあわせて行っていただいていた状況でございます。

 しかしながら、山中湖畔県有地に係る住民訴訟の訴訟追行に関し、豊富な実務経験や高度な法令の運用解釈に高い見識を有する弁護士が必要と判断し、非常勤の顧問による方法とは別に、訴訟委任契約を締結して訴訟追行することといたしました。

 この点につきましては、令和3年2月定例県議会においても、弁護士選任並びに報酬に関する基準を定め、透明性ある仕組みづくりに尽力するとともに、着手金をはじめとして最小の経費となるよう努力することなどを求める附帯決議がなされました。この附帯決議を踏まえ、同年3月31日の全員協議会における説明を経て、同年4月に訴訟代理人弁護士の選任及び報酬に関する指針を策定いたしました。この指針の中では、県民利益の最大化を図りつつ、本県の県政執行に関する訴訟に対処するため、訴訟代理人弁護士の選任とそれに必要な報酬について定めているところでございます。

 

渡 辺 今まで、こういった指針等がなかったがゆえに弁護士費用が不透明であったことは確かに否めなかったことであり、議会としても、透明性を担保するためにも指針を設けるよう要望したことも事実であります。しかし、以前の方法であれば、山梨県弁護士会の協力も得ながら、比較的低廉な金額で、山中湖畔の案件のみならず、さまざまな大きな訴訟についても非常勤嘱託として月額制、年俸制でお願いしていた経緯があり、それを大過なく進めていただいており、県にとって大きな不利益はなかったと私は記憶しております。

 そうであればこそ、そういった形の中で今後もお願いしていくことが、財源となる貴重な県税を使って弁護士費用を捻出するに当たって進むべき道であったのかなと思います。この指針を策定してしまったがゆえに、今まで年間数百万円で済んでいた弁護士費用が2桁も違う億単位の金額を捻出することになってしまったことは、甚だ私にとっては残念なことであると申し上げておきます。

 それでは、提出していただいた資料に基づいて何点か質問させていただきます。

 まずは、2月補正における2件の住民訴訟に関する着手金の予算に不用額が出ております。この不用額が出た経緯についてお伺いいたします。

 

行政経営管理課長 まず、2件のうちの1件、令和3年8月11日付で通知されました住民監査請求の監査結果を不服として提起された訴訟につきましては、予算額293万7.000円に対し、執行額は184万8.000円となり、108万9.000円の不用額が発生しております。

 また、令和3年8月25日付で通知された住民監査請求の監査結果を不服として提起された訴訟につきましては、予算額547万8.000円に対し、執行額は311万9.000円となり、235万9.000円の不用額が発生しております。

 この2件の住民訴訟については、経済的利益の額及び訴訟の内容から困難な事件であると判断をし、旧日弁連報酬等基準をもとに積算をして、それぞれ予算計上したところでございます。令和3年2月議会における附帯決議や、令和3年9月議会の総務委員会における着手金の削減についての御意見を踏まえて契約交渉に当たり、旧日弁連報酬等基準により算定した額を下回る金額で契約を締結したことにより、不用額が発生したところであります。

 

渡 辺 予算議決後に、弁護士と交渉をして減額していただいたと認識しましたが、それであれば、4月の専決における1億4.300万円については、減額の交渉はされなかったのですか。

 

行政経営管理課長 こちらは、専決の額を決める前に交渉を行った上で、1億4.000万円余まで額を縮減したという経過がございます。旧日弁連報酬等基準に当てはめると、6億円余の額になることが見込まれましたので、2件の裁判を1件の金額で契約していただく交渉の後、予定されていました反訴もこれに含めることとし、5分の1以下の縮減をお願いし、最終的には1億4.000万円余の契約で弁護士と交渉することができ、専決処分をさせていただいたという経過がございます。

 

渡 辺 専決の額については後ほど改めて伺いますが、交渉できるものであれば、こちらについてもしっかり交渉していただきたかったなという思いはあります。

  次に、この9月補正における2件の住民訴訟に関する着手金の決算額について、指針では、3段階ある中で、その他の困難な事件としており、そもそも、1億円以上の事案ではないにもかかわらず、困難な事案として算定をされた理由について伺います。

 

行政経営管理課長 訴訟代理人弁護士の選任及び報酬に関する指針の中で、困難な事件とは、事件に係る経済的利益の額が大きい事件、その他の困難な事件としております。令和2年度の調査委託及び富士急行から提起されました訴訟に関する訴訟代理人契約は、これを適法かつ有効なものとして維持されることが県として重要であり、利益となるとすることが基本的な考え方でございました。

 その上で、令和3年8月11日付で通知された住民監査請求の監査結果を不服として提起された、訴訟の対象となる調査委託費は6.600万円と高額であること、住民訴訟に際し、昭和初期からの膨大な資料を解析し、複雑な法律関係を整理する極めて労力の多い、困難な作業が伴う事案であることを改めて立証し、委託金額の正当性を証明する必要があるため、困難な事件として位置づけたところでございます。

 また、令和3年8月25日付で通知されました住民監査請求の監査結果を不服として提起された訴訟の対象となる1億4.300万円の弁護士着手金については、山中湖畔県有地に係る富士急行に対する損害賠償請求に係る県の主張を支えるものであること、訴訟追行に際しては非常に高度な法解釈が求められるものであること、県から富士急行に対する具体的な金銭を請求する反訴を含めた契約であること、訴訟の対象物が1億円を超す規模であることを踏まえ、困難な事件として位置づけたところでございます。

 

渡 辺 いわゆる住民訴訟ではなく、富士急行との訴訟についての困難性が大きく関与する中で、こういった当てはめをされたと理解いたしましたが、仮に、この住民訴訟に勝訴したとしても、損害賠償金等を得る類いのものではありませんので、こういった今後も起こり得るであろう、例えば義務づけ訴訟等の住民訴訟が起きた場合に、この規定を当てはめれば、毎回このような多額な金額を支出していかなければならない可能性を大きくはらんでいる指針であると私は思っております。

 以前であれば、月額制、定額制の中で、こういった訴訟も担当していただいて、恐らく大過なく経過してきたと思います。今後はこういった訴訟が起こった場合に、同じような事例が多発する可能性があることを踏まえ、改めて妥当性についてどのように考えているのか伺います。

 

行政経営管理課長 2件の住民訴訟につきましては、その他の困難な事件と判断したことは先ほど御説明したとおりでございます。この区分での着手金については、旧日本弁護士連合会報酬等基準に基づき算定した額を上回らない額としております。旧日弁連報酬等基準における経済的利益の額は、県に歳入が生じるかどうかではなく、当該事件等の対象について、同基準に定める算定基準に照らして算出するものであるとしております。例えば、民事訴訟の損害賠償請求事件の被告となる場合、勝訴しても被告には何の歳入もございませんが、経済的利益の額は、あくまでも当該事件の対象、すなわち損害賠償の請求金額を基準として算出することとなります。これと同様の考え方になると考えております。

 8月11日の監査結果に基づく住民訴訟の対象は、県から弁護士に対する令和2年度の調査委託に係る調査委託経費6.600万円の支出の返還請求であり、8月25日の監査結果に基づく訴訟の対象は、県から弁護士に対する昨年度の富士急行から提起された訴訟に係る弁護士着手金1億4.300万円の支出の返還請求となっております。このため、当該事件の対象は旧日弁連報酬等基準に照らせば、いずれも金銭債権に該当し、それぞれ6.600万円、1億4.300万円が経済的利益の額となります。これらの経済的利益の額をもとに算定しました金額の範囲内でそれぞれ契約を締結したものでございます。

 いずれも我が国の弁護士費用を算定する基準としまして、実務上広く用いられている旧日弁連報酬等基準による算定金額の範囲内であることから、妥当なものであると考えております。

 

渡 辺 私の質問は、この金額が旧日弁連報酬等基準に照らして妥当かどうかを聞いているのではなくて、以前の県の運用の弁護士費用の算出方法と比べて、今後、過大になりすぎるのではないかと危惧して質問させていただきましたので、少し話がかみ合わなかったと思います。私としては、今後この方法でやること自体に甚だ疑問を感じるところです。

  次に、4月の専決処分について大きく2点ほどお伺いします。この専決処分は、地方自治法179条の、特に緊急を要し、議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであることを理由に専決処分を行ったと承知しておりますが、適法性について、特に、この179条の考え方としては自由裁量ではなく羈束裁量、法規裁量、客観性が求められると言われております。そのことを踏まえて、令和4年4月臨時会で補正予算として上程していただきましたが、整合性も含め、この専決処分の適法性について改めてお伺いいたします。

 

行政経営管理課長 専決処分の件について改めて御説明をさせていただきます。令和3年3月1日、山中湖畔の県有地につきまして、富士急行は県を相手に甲府地裁に訴訟及び仮処分申立事件を提起しました。県に訴状が到達したのが同年4月5日でございました。到達した後に訴状等の内容を確認し、指針に基づき、訴訟代理人の選任作業に入りました。甲府地裁への答弁書の提出期限が同年5月6日となっており、速やかに訴訟追行体制を整備しなければならない一方で、令和3年2月議会における附帯決議を踏まえ、着手金を最小のものとするためのぎりぎりの交渉を足立弁護士との間で重ねました。

 結果として、他の法律事務所への打診も含め、最終的に調整が終わったのが4月28日でございました。早急に訴訟代理委任契約を締結し、訴訟追行体制を整える必要があったこと、臨時議会を招集する時間的余裕がなかったことを踏まえ、令和3年4月30日付で着手金1億4.300万円に係る補正予算を専決処分させていただいたところでございます。

  本年4月19日の臨時議会について説明をさせていただきます訴訟が2件ございまして、訴状が県に到達したのが3月31日と4月1日でございました。内容を直ちに確認をしたところ、1件は、県内の公立中学校のトラブルに基づく県の聞き取り調査などがハラスメントに当たり、原告が精神的苦痛を被ったとして500万円の支払いを求めるもの、もう1件が傷害事件の被疑者が警察官に逮捕勾留されたことが権限濫用に当たり、精神的苦痛を被ったとして100万円の支払いを求めるという内容でございました。

 これらの訴訟内容及び訴額から、指針における通常の区分に該当すると判断できましたので、この点につきまして担当する弁護士にも内諾を得られるなど、もろもろの調整を速やかに行うことができたところでございます。4月19日の臨時議会におきまして、7日前の4月12日に招集告示を行うなど、招集までに時間的余裕がある状況でございました。このように、本年度の臨時議会を招集できたのは、訴訟の規模、内容等が昨年度とは全く異なる状況によるもので、昨年度専決処分せざるを得なかった際の状況と事情が異なる点につきまして御理解を賜りたいと考えております。

 

渡 辺 確かに内容の差異こそあれ、専決処分のほうは4月5日訴状到達、答弁書提出は5月6日、もう1件、補正のほうは3月31日訴状到達、4月19日答弁書提出ということで、むしろこちらのほうが時間的に逼迫していた中、臨時議会を開いていただいて補正予算を上程いただいたことを考えれば、果たして本当に、専決処分における時間的余裕がないことが明らかであったのかについては、いささか疑問に思うところは拭えません。

 また、それ以上にこういった訴訟が起こることは報道等でも予測できていたかと思います。そしてまた、ここに至るまでの間に、県の強引な手法が訴訟を誘発させたとも言える側面もあろうかと思います。そういった点も含め、準備期間は相当程度あったのではなかろうかと思います。

 そのような面も含め、この専決処分は議会に相談をした後に、そういった合意形成を経ていくべきだったのかなと思います。特に、さきに行われました2月定例会で予算案は修正され、訟務費は減額され、そして、附帯決議も付いたという経緯を踏まえると、こういった巨額の弁護士費用を専決処分する場合は、やはり議会等の合意を経て、本当に議会を開く時間的余裕がないことを、我々も含めて納得した上でやっていただきたかったなと切に思っているところであります。

 次に、この1億4.300万円という金額について、旧日弁連報酬等基準を使うとこうなるとの説明は再三受けておりますので、そこについて言うことはありません。ただ、今回の訴訟は、住民訴訟と多くの論点が重なる部分もあります。その上、住民訴訟を担当していた弁護士にお願いすることもあります。そして、その訴訟代理人は、住民訴訟の折は指針が策定される前の弁護士費用で事件を受託していただいている事実もあります。そんな点を大きく踏まえて、やはりこの金額を着手金として支払うのは県としていかがなものかと私は思っております。

 以前に住民訴訟を担当していた弁護士に、同じ論点を多く含む訴訟を担当していていただく上で、お支払いする着手金として過大になりすぎるのではないかとの意見が県民からも上がっているところです。そこで、金額の妥当性について改めてお伺いいたしたいと思います。

 

行政経営管理課長 着手金の妥当性につきましては、現在の住民訴訟が進行中であることから、その影響も考慮しなければならない状況でございますが、決算の認定をお願いしていますので答弁をさせていただきます。

 旧日弁連報酬等基準によりますと、経済的利益が3億円を超える場合は経済的利益2%に369万円を加えることとされております。訴状によりますと、対象となる土地につきまして、賃貸借期限が平成29年4月1日から20年、賃料年額3億2.500万円余の定めによる賃借権を有することを確認することが請求の第1番目であり、本件における主たる争点が土地の賃借権を主な争点とすることは明らかでございました。また、富士急行が提訴した際の裁判にかかる手数料につきましても、主な争点の一つは土地の賃借権とし、その算定にあたっては土地の価格を基礎としており、本件訴訟に関する裁判所の認識も同じものであると承知しております。

 旧日弁連報酬等基準によりますと、賃借権についての経済利益は対象となる物の時価の2分の1の額と定められておりますので、県が取得しました不動産鑑定書のうち、最も安い金額である大河内不動産鑑定事務所により算定した平成29年4月1日時点の対象不動産の基礎価格324億円をもとに交渉を行ったところでございます。

 この後、大変厳しい交渉を行い、本来なら対象となる裁判は確認請求と仮処分申立ての2つあるので、それぞれの裁判について契約する必要があるところ、2つの裁判を合わせて一本の契約としました。加えて反訴も含めることとし、反訴を提起するに際して必要となる着手金についても払わなくて済むようにしました。

 また、着手金の算定におきましても、基準では経済的利益の2%で算定するところを、1.2%で算定し、さらに令和2年度の調査委託経費である6.600万円も差し引くなどの経費縮減に努めたところでございます。

 同じ論点を多く含む住民訴訟を担当していた弁護士に対する着手金として多額との御指摘でございますが、繰り返しになりますが、令和2年度の調査委託経費である6.600万円を控除したことで住民訴訟と争点が一部共通することを算定上考慮させていただきました。この結果、本来、旧日弁連報酬等基準で算定すれば6億円余になるところ、4分の1以下の1億4.300万円まで縮減、さらに反訴を加えて8億円余となるところ、5分の1以下の縮減となっております。

 このような交渉の結果、住民訴訟と争点が一部共通することを算定上考慮した上で、弁護士費用の算定基準として実務上広く用いられております旧日弁連報酬等基準を大幅に下回る金額の着手金となっていることから、妥当であると考えているところでございます。

 

渡 辺 私は、旧日弁連報酬等基準を使うことが目的化しているのではないかという危惧さえ覚えます。使うにしても、これはあくまでも着手金等の弁護士の報酬等を最小限にするための手段であり、必ずしも基準を使うことが全てではないと申し上げたいと思います。以前の弁護士報酬の基準であれば、このような多額の金額になることもなかっただろうし、そういった理解も以前の弁護士の先生方には得られていたと思います。公益弁護士だと自負されていた方々もいらっしゃいました。そういったことを考えると、指針をつくって、1億4.300万円という巨額の着手金を支払ったことにより、今後の県政の弁護士との関わり方が大きく変化してしまったことをとても残念に思っております。

 このことについては幾ら説明を聞いても私の中では納得できず、決算審査意見書の特に留意すべきことに丸をつけましたので、それ以上に、不当な支出ではなかったのではないかということを申し上げて質問を終わらせていただきます。

 

令和4年10月14・17・21日 決算特別委員会会議録

演習場交付金の執行残について

渡 辺 説明資料の7ページの訟務費について、決算報告書の112ページを見ると、当初予算が1,768万5,000円、補正が1億6,941万5,000円とあります。この補正の部分の詳細な内訳について説明をお願いします。

 

 

行政経営管理課長 まず、昨年度4月に専決処分で承認いただいた1億4.355万円でございますが、内訳は、富士急行関係訴訟の債務不存在等確認請求事件及び損害賠償請求の反訴事件に関する着手金1億4,300万円、県立施設関係の損害賠償請求事件の着手金が55万円となっております。

 続きまして、6月補正でございますが、1,635万円の増額補正となっております。内訳は、県立高校の期間採用講師の地位確認等請求事件の着手金が55万円、考古博物館の所蔵関係の買戻し損害賠償支払請求事件の着手金が55万円。もう1件、着手金ではございませんが、富士急行関係訴訟の反訴の提起に関する申立手数料が1,525万円となっております。

 続きまして、9月補正でございますが、951万5,000円の増額補正となっております。内訳は、元県非常勤嘱託職員の未払賃金請求事件の着手金が55万円、令和2年度の県有地関係の調査費用6,600万円の住民訴訟事件に関する着手金が予算額は293万7,000円でしたが、その後の弁護士との交渉で額を縮減させていただき、実績額は184万8,000円となっております。

 また、先ほどの1億4,300万円の専決処分をした弁護士費用の住民訴訟事件に関する着手金が予算額は547万8,000円でしたが、こちらにつきましても、その後の弁護士との交渉で額を縮減させていただき、実績額は311万8,500円となっております。もう1件、産業技術短期大学校の駐車場用地関係の登記手続請求控訴事件の着手金が55万円となっております。

 2月補正につきましては債務負担行為の設定のみで補正はございませんが、既定予算の中での執行をした分がございます。

 

渡 辺 ありがとうございます。ただ、件数も多く多岐にわたりますので、できれば今の説明の資料をいただきたいです。よろしくお願いいたします。

 

 

恩賜県有財産特別会計の収入について

渡 辺 林の15ページの恩賜県有財産特別会計の収入について、何点か確認をさせていただきたいと思います。収入済額のうち、土地貸付料については賃料の算定基準を変更した令和3年度分の賃料なのかと、いわゆる指針に沿った減免、あるいは激変緩和措置が反映されている賃料という理解でよろしいでしょうか。

 

県有林課長 林15ページの土地貸付料、18億8,180万9,000円は、今回、改定をした県有地の貸付料は当然含まれております。そのほかにも、北富士演習場の貸付料、また、清里の森の貸付料も含んでおります。算定後の賃料であるかという質問でありますが、そのとおりでございます。

 ただし、減免については、2月議会の議決をいただいた後に契約を進めましたので、請求が新年度にずれ込んでおり、令和3年度分でございますけれど、この18億円の中には減免のものは含まれておりません。

 

渡 辺 わかりました。もう一つ、当然ここには入っていない山中湖畔の係争中の富士急行の案件、いわゆる賃料相当部分は、この決算の中ではどのような扱いになるのですか。収入未済なのか、別の項目としているのか。

 

県有林課長 富士急行の賃料につきまして、県としては、損害金の一部ということで従前の額を受け取った

ところで、それにつきましては、林16ページの第7款、諸収入の収入済額のうち、雑入3億7,737万3,000円の中に含まれております。

 

渡 辺 承知しました。同じく恩賜県有財産特別会計で、林20ページの演習場交付金について、林21ページに交付金の執行残があるかと思いますが、令和2年には交付していて令和3年には交付していないところはあるのですか。

 

県有林課長 令和2年度に交付をして令和3年度に交付をしなかったものでございます。富士急行の分につきましては、契約は違法無効ということを主張しておりますので、その分が保留分として執行残に出てきております。

 

渡 辺 訴訟が続く限り、毎年執行残として記載されていく方針ということでよろしいですか。

 

県有林課長 契約自体の違法無効を主張する限りは、続いていくとの認識をしております。

 

令和4年10月4・6日 土木森林環境委員会

建築資材の物価高騰への対応について

渡 辺 建築資材の価格高騰への対応について、何点かお伺いしたいと思います。新聞等でも報道されているとおり、昨今の物価高・燃料高騰の影響によって、建設資材、特に生コンクリート、コンクリート二次製品、アスファルト合材等々、主要なものの価格が高騰しております。また、積算単価では購入できないものもあるという話も地元から伺っているところであります。

 そこで、現在の主な建築資材の価格の高騰の状況について、お伺いしたいと思います。

技術管理課長 今般の社会経済情勢を受けまして、建設資材におきましても世界的に需要が逼迫している状況でございます。また、原材料価格の高騰とともに上昇が継続している状況で、今後もこの状況が続いていくのではないかと推測されます。

 今年度に入ってからの価格の動向の状況でございますけども、4月期と9月期を比較した上昇率は、異形棒鋼、鉄筋が約24%、鋼材におきましては約12%と非常に高い状況であります。また、生コンクリートにおきましても、約7%上昇している状況でございます。

 

渡 辺 やはり鉄、鋼材関係はかなり値上がりしていて、コンクリートも7%ですけれども、徐々に上がってきているということで、私の聞くところによると、1月単位で価格が変動して民間でなかなか見積もることが難しくなっているとのことです。

 そこで、県では建設資材価格の動向をどのように把握されているのか、お伺いします。

 

技術管理課長 建設資材の価格につきましては、国をはじめとする全国の地方自治体で公共工事の設計単価に適用している建設物価調査会刊行の建設物価、経済調査会刊行の積算資料により、毎月価格の変動状況の把握に努めているところでございます。

あわせまして、生コンクリート、骨材、アスファルト合材など、地域ごとにプラント等がございまして、価格特性が異なる主要資材につきましては、県から委託業者に依頼して、販売元である問屋さんや特約店等へのヒアリング、場合によっては、直接、請負業者さんに価格調査をしまして、動向の把握に努めている状況でございます。

 

渡 辺 公共工事でも価格に合わずに入札が不調になってしまうとの話も市町村等から伺っているところです。そういった動向を把握しながら、適切に価格の対応をしていただきたいと思います。今後、さらに円安という形で燃料髙は変動すると思いますので、適切に対応していただきたいと思いますが、現状、建設資材に対して県としてどのような対策を行ってきているのか、お伺いします。

 

技術管理課長 県が発注する公共工事におきましては、実際の取引価格を調査して設計価格を決めているところでございます。これに伴い、令和3年度は単価改定を行う頻度を年1回だったところを、今年度より年4回にふやしております。これにより、実勢価格を設計の適正価格にできるだけ早く反映するよう努めております。

あわせまして、変動が著しい資材につきましては、随時、臨時調査を行いまして、速やかな単価改定、定期改定以外の臨時改定も行うこととしております。

 また、契約後に資材価格が高騰した場合につきましては、取引価格と設計価格との差額を精算いたしまして、受注者の負担を軽減する単品スライド条項というものがございます。その積極的な活用を請負者に求めたり、建設業協会に単品スライド条項の適用の仕方や具体的な制度内容について説明をさせていただいており、あわせて県のホームページに単品スライド条項に係るマニュアルを載せ、具体的な説明冊子、リーレット等を掲載して、制度の周知徹底を図っているところでございます。

 

渡 辺 今まで年1回だったところを年4回の改定にしていただいて大変助かっています。ただ、月単位で価格変動が起こるものも多い中で、答弁の中にありましたが、適宜、できれば毎月、改定していただいて適正な積算単価を算出していただきたいと思います。

 また、単品スライドについて、請負業者から担当の方々の温度差があるような話も聞いていますので、ぜひ県土整備部としても柔軟に対応できるような、相談に乗っていただけるような体制を引き続き取っていただきたいと思います。

 

 

災害協定に係る評価方法について

渡 辺 初めに、公共工事の一般競争入札における総合評価方式の加点として、地域防災計画に示されている災害協定が加点対象になっていると思いますが、具体的にどのように評価しているのか、お伺いします。

 

技術管理課長 災害協定の締結につきましては、総合評価落札方式の企業の信頼性、社会性、地域の貢献度の評価項目におきまして、山梨県の地域防災計画に掲載されている災害時に備えた締結をした各種協定を対象とし、当該協定に基づき、災害時の応急対策業務に従事する企業、具体的には関係団体が発行する証明書の写しを添付いただきまして、評価点2点を加点している状況でございます。

 

渡 辺 地域防災計画では、さまざまな災害協定を示されていると思いますが、例えば建設業協会のように災害時において最前線の災害対応に当たっている団体を、若干それに比べれば距離感のあるその他の災害協定と同様に評価されているように今の答弁の中では感じ取れましたが、2つを同様に評価している理由は何なのか、お伺いします。

 

技術管理課長 山梨県の地域防災計画に位置づけられている応急対応に係る協定でございますけれども、これは有事に生じる多様な災害状況に対し、さまざまな工種に応じて関係者が機動的かつ円滑に協力して活動するために、県の防災会議での議論を経て策定されております。

 したがいまして、総合評価におきましては、地域防災計画に定められている応急対応に係る各種協定を企業の信頼性、社会性、地域貢献度ごとの評価対象とし、協定に基づく多様な工種を分け隔てなく評価するものとして、現在、評価を行っているところでございます。

 

渡 辺 総合評価方式の加点2点はかなり大きいということは御承知のとおりだと思います。1点だとしても、1億円からの工事を受注する、また入札する場合も100万円ぐらいの差額が出る、2点ともなれば結構大きな加点なので、現在、土木工事において建設業協会の災害協定以外の協定をどの程度評価しているのか、改めてお伺いしたいと思います。

 

技術管理課長 前年度の総合評価落札方式で発注した土木工事におきまして、災害協定の締結で、県の建設業協会の災害協定以外の協定を評価した実績でございますけれども、1%未満、約4件と非常に少ない状況でございます。

 

渡 辺 本来であれば、やっぱり県の土木工事と密接に関係する災害協定を加点対象としていくべきだと思いますので、件数としては少ないですが、今後、差をつけていく必要はあろうかと思います。もちろん、全体的に災害協定を評価していくことを反対するわけではありませんけれども、より密接に関係しているものは、より評価していくべきだと私は思います。例えば、今後、建設業協会のような災害時に迅速な対応や必要不可欠な協定をしているところは高く評価していくべきだと思いますが、どのようにお考えになっているのか、最後にお伺いしたいと思います。

 

技術管理課長 県と山梨県建設業協会との間で締結している災害時における応急対策業務に関する基本協定におきましては、道路、河川、砂防、治山、林道等、公共施設の被災が発生した場合、発生するおそれがある場合、応急対策業務の実施に関する基本協定を定めております。

 さらになおかつ、各地域を所管する建設事務所、林務事務所も同様でございますけれども、建設業協会の地域支部との間で災害協定を締結し、有事に際して当該地域の協力企業の機動的かつ円滑な対応、具体的には、被災状況の情報収集、応急時の応急復旧等を担保している状況でございます。

 こうしたことを踏まえまして、発注工事が土木一式工事である場合には、総合評価落札方式においても高く評価するべきではないかということは十分理解しております。

 それにつきましては、現在検討中で、来年度に向けて見直しができればと考えております。具体的なものは、特に土木一式工事に限定しての対応を考えていければと考えております。

 

 

 

未利用材活用促進事業費補助金について

渡 辺 未利用材の活用促進に対して経費を助成するとのことですが、伐採して出た枝や根などを未利用材というと思いますが、そもそもウッドショックで木材が少ない中で、国内産の木材の需要がかなり高まっていることは御承知のとおりだと思います。そのような中、2050年カーボンニュートラルのこともありますので、こういった未利用材を積極的に活用していくことは大切な取り組みだと思っていますが、そもそもどうしてこれまで未利用材が活用されてこなかったのか、まずお伺いしたいと思います。

 

林業振興課長 未利用材は、1から3ヘクタール程度の広大な伐採地域に広く散らばった状態で残されております。長さや形状なども均一ではありません。このため、収集や運搬にコストがかかり、それに見合った収益が見込めないため、今まで活用が進んでいませんでした。

 

渡 辺 伐採して木材になる規格があるものはともかく、規格に合わないものを運搬することにコストが増大していたのではないかと思いますが、今回、1立方メートル当たり1.500円の補助をすることで、先ほど言われたコスト面の問題を解決していくということだと思いますが、どのようにつなげていくのか、もう少し具体的にお伺いしたいと思います。

 

林業振興課長 これまで森林の伐採は、伐倒した箇所で丸太の状態にして収集運搬を行っておりました。本事業では、伐採木に枝葉がついた状態で搬出し、作業ヤードで利用目的に応じた仕分けを行うことで収集作業の効率化を図り、あるいは、現場で枝葉などを粉砕してチップに加工することで容量を減らし、1回の運搬量を増加させるなど収集運搬の低コスト化に取り組むことを補助の要件としております。

本事業の実施を通じて、こうした低コストでできる作業方法を県内事業者への定着につなげてまいります。

 

渡 辺 先ほど申し上げたとおり、国産材に対する需要にかなり目を向けられている中で、ウッドショックによる木材の高騰は、本県の県産材にとってはチャンスだと思っております。今までコストがかかっていたものを、何とかコストダウンを図るための設備投資に助成していただき、積極的に進めていただきたいと思います。既定予算が500万円で今回の補正が2.000万円ぐらいですが、当初予算のときに比べて何か状況の変化があったということですか。

 

林業振興課長 ウッドショックの影響により国産材の需要が高まる中、これまでバイオマスとして利用されてきた小径木などの合板用での使用が進み、本年の春ごろから燃料用チップの需給逼迫が生じております。

こうした状況の変化により、未利用材の活用に前向きな事業者がふえ、本事業の当初予算を上回る要望が寄せられたところです。

 

渡 辺 今までチップに行っていたものが合板用に取られることになってチップが不足してきたということだったんですね。それは商品化できてきているということでよろしいかなと思いますので、ぜひこういった補助を積極的にしていただいて、県産材の販路拡大につなげていただきたいと思います。

 

 

省エネ・再エネ設備導入加速化事業費補助金について

渡 辺 今回の補正予算の大きな目玉になっている事業ということで、産業労働部が主だと思いますが、福祉保健部にも林政部にもある。全体予算が14億円近くあったと思いますが、そもそも、省エネ・再エネの設備とは、省エネのほうはどのようなものを想定していて、再エネのほうはどのようなものを想定しているのか、まず、根本的なことを伺いたいと思います。

 

林業振興課長 省エネ設備については、電力等のエネルギーコストの削減が図られる設備の更新に対して補助を行うものであります。当課で所管する木材加工会社等においては、工場建屋の照明を水銀灯からLED照明へ更新することなどが該当します。

 一方、再エネ設備については、再生可能エネルギーの導入に対して補助を行うものであります。太陽光パネル設置や蓄電池の設備導入などが該当します。

 

渡 辺 わかりました。そういったものをやっていくということですが、全体で14億円近い予算がある中で、林政部の3.150万円は何か少ないような気もしますが、そもそも、補助対象の木材加工会社というのは、県内に何社ぐらいあるのですか。

 

林業振興課長 当課で把握しているものは、製材工場や合板工場、原木市場などを含めて29社となっております。

 

渡 辺 先ほどの質問とも関係しますが、これから県産材の需要が高まっている中で、それに対応していかなければならないと思いますので、県内の木材加工会社さんにも体力をつけていただいて、設備投資もしっかりとしていただいて、持続可能な経営をしていただく上でも大切な事業になってくると思います。議会で可決された後、ぜひ、積極的な広報活動をして、周知に努めていただきたいと思いますが、どのように補助制度を周知していくのか、お伺いします。

 

林業振興課長 現在、事業全体を取りまとめている産業労働部と調整を進めております。執行をできるだけ早くできるようにということで、議決後、速やかに執行ができる状態を調整しているところでございます。そちらのほうが準備でき次第、広報も行っていきたいと思っております。

 

 

県有林調査事業費について

渡 辺 令和3年春から続くウッドショックの影響に加えて、ロシアからの木材の輸入ができなくなったロシアのウクライナ侵攻の問題もありまして、本県においても木材がなかなか調達できない状態になっていることは御承知のとおりだと思います。このような状況の中でこの調査を行うとの説明でしたが、具体的にどういった調査を行うのか、まず内容についてお伺いしたいと思います。

 

林業振興課長 有林の材を入札で売り払うわけでありますけれども、それには予定価格を設定する必要がございます。この調査費では、予定価格を求めるために、売り払いの範囲と面積を確定させるとともに、区域内の立木の本数、直径、高さ等から材積を算出するという作業が必要になりますので、これを実施するものでございます。

 

渡 辺 予定価格のために調査を行っていくとの答弁でしたけれども、当初の想定よりも補正予算を組んで多くの調査をやっていくということですが、今回の調査によって、どのような樹木をどの程度を増大させていくのか、お伺いいたしたいと思います。

 

林業振興課長 ロシア材の輸入禁止で、特に市場でカラマツの不足が顕著となっております。カラマツにつきましては、本年度、2万7.000立方メートルの供給予定量で計画を立てておりましたが、これを1万立方メートルふやしまして、3万7.000立方メートルにすると見込んでおります。

 

渡 辺 ウッドショックで県産材の需要が高まっているので、臨機応変に対応していただけることについては、いい方向だと思います。

 一方で、当初予算で県有林課内での大体の計画範囲を決めて、実施して、年間計画を立てていると思いますが、今回の補正予算による臨時的な調査、伐採範囲の拡大で、当初の計画に対して大きな問題などが起きないのか、若干心配ですが、いかがですか。

 

林業振興課長 現在の県有林計画は第4次でございまして、第4次計画は、令和3年度がスタートの年で10年間の計画です。10年間の計画量を96万立方メートルとしておりまして、前期5年では年間8万5.000立方メートル、後期の5年では年間10万7.000立方メートルに配分した計画としているところです。本年度は計画の2年目に当たりますので、伐採の計画量については全体で8万8.000立方メートルを計画していたところです。今回の補正予算により、1万立方メートルふやしますと、9万8.000立方メートルになりますが、山梨県県有林野管理規程というものがございまして、10年間の計画量を単年で割って出した1割増減の中に収めることになっておりますので、それについては問題ないことを確認しております。

 

渡 辺 ウッドショックで木材需要が高まっているとはいえ、県有林を保全していくことは大変重要な視点だと思いますので、保全について影響なくやれる最大限の木材供給体制を整えていただくことは、ぜひ積極的にやっていただきたいですし、せっかくの県有林ですので、有効に計画的に活用していくことに重点を置いて進めていただければと思っております。一方で、外国産材がなくなっている中で、逆に言えば県産材を売り込むチャンスだと思います。せっかくある県有林を積極的に活用していただきたいと思いますが、最後に今後の対応についてお伺いしたいと思います。

 

林業振興課長 市場の状況を踏まえ、計画の範囲内で伐採量について柔軟に対応をしていきたいと考えております。また、県有林材の高付加価値化に向け、県産FSC認証材でございますので、このブランド力の強化を図って、県内の林業・木材産業の振興につなげて参りたいと考えております。

令和4年6月14日 土木森林環境委員会

山梨県立自然公園条例中改正の件について

渡 辺 まず、地域主体の協議会を設置するという説明がありましたけれども、地域主体の協議会とは一体どのようなものなのか。国立公園のほうも同じだと思いますが、どういったものなのか、まず詳細についてお伺いします。

 

自然共生推進課長 改正により、宿泊施設やキャンプ場などの利用拠点整備やアクティビティーなど自然体験活動の促進のため、市と町やガイド事業者などの関係者からなる協議会を設置できることとしております。

 協議会は、こうした利用拠点の整備や自然体験活動に係る計画を策定することとしておりますが、計画の認可により個々の許認可手続が不要となり、手続が簡素化されるなど、公園の魅力向上に向けた一体的な取り組みの促進を狙いとして設置されるものでございます。

 

渡 辺 環境省では、これまでは国立公園の保全を軸に取り組みを進めてきましたが、現在は活用して地域に貢献できるような国立公園にしていくという方針を示しています。そういった方針に沿うように、実際に利用する方々がしっかりと保全しながら県立の自然公園を活用できるような方針で協議会を設けていただけるということで、ぜひ、さまざまな意見を聞いて、方向性を検討していただければと思います。

 説明にも出てきましたけれども、計画の中で、利用拠点整備改善計画と自然体験活動促進計画の2つの計画の認定に係る制度を創設するとありますが、この2つの計画の具体的な内容についてお伺いします。

 

自然共生推進課長 利用拠点整備改善計画とは、例えば廃屋の撤去や跡地の活用、景観や標識デザインの統一、電線の地中化等、公園利用のための拠点を整備するための計画です。

 それから、自然体験活動促進計画とは、キャンプ、カヌー、ガイドツアーなどの自然体験プログラムの開発・提供、登山道の維持管理など自然を活用した活動を促進するための計画です。

 

渡 辺 最近、自然体験、アウトドアがムーブメントになっている中で、県内の自然公園に多くのお客さんが来る、あるいは興味を持っていただくことが予想されます。そういった方々に、快適かつ自然を保護しながら使っていただけるような計画をぜひつくっていただいて、公園の魅力向上に努めていただきたいと思います。

 次に、説明を伺った内容のところの(3)、(4)で、既存の罰則を厳罰化する傾向が見てとれます。国立公園と同様だと思いますが、まず、(3)の罰則を設ける点で、アの部分に、「野生動物の生態に影響を及ぼし公園利用に支障を及ぼすおそれのある行為を規制する」とあります。これはよくわかりますが、その例として、餌づけが出てきています。そもそも、なぜ餌づけを例示して規制するのか。また、(4)で罰則を強化している理由について、この2点をお伺いします。

 

自然共生推進課長 餌づけのほうですが、例えば国立公園では、餌づけ等により、野生動物が人になれ、時に危害を及ぼすケースなどの案件が生じ、公園の利用中止の支障が生じているケースが見られることから、人的・物的被害の発生の防止の観点から、餌づけ、つきまといなどについて法により規制することとしたところであり、本県もこうした考えを取り入れ、規制することとしております。

また、罰則のほうですが、委員の御指摘のとおり、改正の趣旨は公園の魅力向上、利用促進の反面で、国では保護と利用との好循環の実現を目指すこととしております。これは、利用面での施策を強化する一方で、野生動物への餌づけの規制や違法伐採など禁止行為の厳しい対処を可能とし、人的被害等の発生防止を図り、より多くの方々が豊かな自然環境を楽しめるよう、公園の保護管理面についても強化しようとするものです。

 

渡 辺 餌づけについては、子供などが全く悪意がなく餌をあげてしまう。県庁の猫の問題も昨今話題になりましたけれども、餌をあげる方々は全く悪意がないので、そういうことが禁止されていることを周知していただいて、いらした方が趣旨を理解していただき、公園を活用していただければと思います。

 最後に、条例を改正し、協議会をつくり、計画をつくり、公園を保全しながら、活用の方針を定めていく中で、県として具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。

 

自然共生推進課長 この制度は、地域の主体的な取り組みを促す仕組みの創設で、実施主体は、基本的に関係する市と町、事業者等になります。県としても、関係部署や市と町の担当者への制度改正に係る説明会の開催やホームページ上での国立公園などでの先進事例の紹介、制度の周知など、必要な支援、周知に努めてまいりたいと考えております。

 

 

ナラ枯れ被害木除去事業費について

渡 辺 林の11ページの森林保護費のうち、臨時事業ナラ枯れ被害木除去事業費についてお伺いします。まず、中身に入る前に、林の2ページ、一般会計のところにも同じ金額の同じ事業名が記載されていますが、恩賜県有財産特別会計にも載っています。先ほど説明の中で、一般会計から恩賜県有財産特別会計に助成するという説明がありましたが、そもそもどういうことなのか、詳細な説明をお願いします。

 

森林政策課長 県有林課の恩賜県有財産特別会計で実施するナラ枯れ被害木除去事業は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用して実施するものでございます。

 この交付金につきましては、交付を受ける自治体において、特別会計で事業を実施する場合は、一般会計で受け入れることが国から示されております。このことから、当該事業を恩賜県有財産特別会計で実施するに当たっては、一旦、一般会計で受け入れ、恩賜県有財産特別会計へ助成するという形を取らせていただいております。

 

県有林課長 今、森林政策課長から申し上げましたとおり、一般会計のほうで国補を受け入れて、県有林の造林事業でございますので、実際は恩賜県有財産特別会計で行いますので、そちらで実施をするために、両方の説明書に載っているということでございます。

 

渡 辺 ありがとうございました。国の仕組みがよくわかりました。

 コロナの対策費をナラ枯れ対策の費用に使えるとのことで、私も本会議の一般質問で質問をさせていただきましたが、ナラ枯れ被害が令和2年、3年と富士北麓でも拡大してきて、夏場の青々とした山が一部赤茶けたような形になっている。夏の山なのに紅葉しているように見えてしまって景観がミスマッチ、それは紅葉ではなくナラ枯れ被害によるものだとのことで、地元の森林組合も心配しているので、対策をぜひ進めていただきたいと思います。

私が一般質問させていただいたときは、富士北麓地域もナラ枯れ被害が出ていますが、それ以外の身延町などの峡南地域にも被害が広がっているという答弁があったと思います。山中湖周辺に予算づけをしていただいて、地元の私としてはありがたいですが、なぜ山中湖が選ばれたのか、お伺いします。

 

県有林課長 山中湖周辺は東京から近く、森林浴等を手軽に楽しめる場所として県内外から多くの観光客が訪れております。

 そうした中、山中湖村ではナラ枯れの被害が非常に拡大をし、防除後の枯れたナラの木が立ったまま残っている状況で、それが数多く残っており、湖や富士山の美しい自然景観、また、樹木による建物や人的被害のおそれがあります。多くのお客さんがいらっしゃる山中湖周辺とナラ枯れ被害が重なっている部分があるため、山中湖周辺でナラ枯れ被害の被害木の伐採を実施することとしました。

 

渡 辺 ナラ枯れは、原因となっている虫がいて、その虫がつくことによってナラ枯れになってしまう。ただ、その虫を除去するための予算措置もしていただいて、何とかその虫は退治することができたという話も聞きました。説明にありましたとおり、山中湖は、別荘地周辺に被害が及んでいることもあり、虫はいないんですけれども、そのまま枯れたまま立木が残っている状況が散見されますので、それを除去していただけることは大変ありがたいです。ぜひ積極的に、まだまだ多数ナラ枯れ被害箇所がありますので引き続き進めていただければと思います。

 たしかそのとき、木自体は、虫がいなくなれば全く材料として使えなくなるわけではないという話を聞いた気がします。そもそも伐採して木として処分するのに産廃として出さなければならず、処分費がかかってしまうと思いますが、木を売り物として使えるのであれば、そういった活用方法も検討したほうがいいと思いますが、伐採した木の処分方法についてお伺いします。

 

県有林課長 ナラの枯れた木、広葉樹は、バイオマス燃料や紙のパルプ、肥料といったニーズがあると聞いております。 県としても、伐採した後の木につきまして、売払いを行い、恩賜県有財産特別会計の収入として有効に活用していきたいと考えています。

 

 

県有林の貸し付けについて

渡 辺 私も減免とか95件の話ではなく、全般的な話で県有林課に何点かお伺いします。

まず、森林総合利用協議会についてお伺いします。ホームページで公開されているとおり、県有林の総合的な視点に立って利用することにより、豊かで潤いに満ちた森林社会の創造に資するために、平成9年に設置されたと承知しております。

 現在、ホームページを見ますと、第9期の委員名簿が載っているわけですけれども、任期が令和3年11月で切れています。現在の森林総合利用協議会はどのようになっているのか、伺います。

 

県有林課長 森林総合利用協議会につきましては、令和元年が最後の開催になっておりまして、去年の11月で任期が終わったわけですが、次に開催するときには、その前に募集をかけまして、準備を進めていくという考えでおります。

 

渡 辺 開催するときに改めて委員を任命するということでわかりました。そもそもこれは県有林の貸付賃料契約更新と、契約内容について専門家の立場から意見を伺う、諮問をして答申を受けるという、そういう協議体であることは承知をしています。昨今、さまざまな形で、県有林の賃貸借契約について議論がある中で、そのためにつくられた節もある協議会ですので、積極的に有効活用していただきたいと思います。今、課長の説明にもあったとおり、また、ホームページでも公開されているとおり、開催は令和元年が最後になっています。第20回開催が最後になっています。それ以前はどうだったかというと、ほぼ毎年のように1回もしくは2回、具体的に申し上げますと平成26年は1回、平成27年は1回、平成28年は3回、平成29年は開催されず、平成30年は1回、令和元年は1回と、こういった形で定期的に開催されております。近年は開催されていません。どういう事情で開催されていないのですか。

 

県有林課長 まず、この森林総合利用協議会ですが、メンバーは、それぞれ森林環境教育とか自然環境の専門家、観光協会、不動産鑑定士、弁護士、市町村関係者の方、いろいろな県有林の利活用に関するさまざまな識者で構成されています。その位置づけとして諮問・答申というよりは、専門家の方々に意見を伺う場という位置づけでございます。

 基本的に、森林総合利用協議会でございますので、県有林の利活用がそもそものところにあって、その中の一つとして、貸し付けもテーマの一つとなっている。平成の初期ごろは森林の高度活用とかが議論としてありましたから、そのテーマが多かったのですが、近年は減ってきて、貸し付けのほうが主な議題になっています。この審議会の中で、貸し付けに関する取り扱い基準の話し合いがなされて整理をされておりまして、そのときに新規の貸し付けにつきましては1ヘクタール以上、継続の貸し付けにつきましては、その契約が満期で終わる、更新するそのタイミングで、かつ5ヘクタール以上の場合、なおかつ民間の事業者が行うもので森林以外に開発するものをこの協議会で取り上げましょうという整理がされております。令和元年までは大きな貸し付けがちょうど更新のタイミングに当たる年がありましたが、令和元年度以降はこの基準に達するものがないので開催がされていない状況でございます。

 

渡 辺 森林総合利用協議会は、弁護士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、地元の方々、市町村長さんたちも入っていたこともあって、有識者の意見が聞かれていることが、議事録を見ているとよくわかります。私は、積極的に開催していただきたいと思いますが、基準があるとすればいいんですが、不自然さを感じるところはやっぱりあります。これまでずっと開催されてきたのに、ここ3年間ぐらい開催できていない。できていないのではなく、開催してないという状況がどのようなものなのか、疑問に思うところです。

 森林の高度活用は、平成の初期のほうは確かにそうだったかもしれませんが、私の記憶が確かなら、新規の貸し付けは平成3年以降、多分ないという記憶があります。議事録にもあるとおり、内容は、既存の貸し付けの更新や賃料のことが主に話されています。

せっかくある協議会で、今まで果たしてきた役割も十分にあると思いますので、今後も開催していただきたいと思います。

 結果的にですが、なにゆえ、数年間空いてしまったのか。新たな委員を選任してということですが、今後、また更新の時期があると思います。第9期が終わって、恐らく第10期が開催される目安があろうかと思いますが、それは大体いつごろになるか、お伺いしたいと思います。

 

県有林課長 今、明確にいつというところは、まだはっきりと決めておりませんけれども、森林総合利用協議会の本来の筋で言うと、県有林の高度活用について御意見を頂戴することがベースになるので、今後、県有林の高度活用、利活用の検討をしていく方向ですので、そういった際に、将来に向けて施策をつくるとか、そういったところで意見を頂戴していきたいと思っております。

 

渡 辺 積極的に御活用いただきたいというお願いをして、今後の推移を見守っていきたいと思います。いずれ、必ず既存の貸し付けで5ヘクタール以上の更新の時期が来るので、そのタイミングで開催されるのであれば、それを注視していきたいと思っております。

 次に、県有資産の所在市町村交付金についてお伺いします。当初予算のときに、本年度の所在市町村交付金は2億6,500万円余で、その前の年は1億2,300万円余ということで、倍増しているところであります。もちろん、重大な誤りがあって算定方法が変わったからでありますが、所在市町村交付金の交付の金額の決定にも大きな影響を及ぼしていることは御承知のとおりだと思います。

 そもそも、所在市町村交付金については、賃貸人の方から受け取る賃料の一部、いわゆる賃料は純賃料と所在市町村交付金の2つによって成り立っていますので、そもそも賃借人の方から賃料をいただかなくては、入りの部分がなくなると思っております。

 それで、純賃料の部分は、いわゆる収入が見込める部分を予算計上したという話を伺いました。この所在市町村交付金の2億6,500万円余には、純賃料と比べて全てですよね。それとも純賃料のように入ってくる収入見込みのある部分だけを計上しているのか、どちらでしょうか。

 

県有林課長 委員おっしゃいますとおり、純賃料の分については見込みがあるものを計上したのですが、所在市町村交付金については出ていくものですので、満額を計上しています。

 

渡 辺 もう一つ確認ですけれども、純賃料の部分は、いわば減免措置や激変緩和措置があります。しかしながら、所在市町村交付金は法に定められていますので、そういった減額措置あるいは免除措置はないという認識でよろしいか、伺います。

 

県有林課長 委員おっしゃるとおりでございます。

 

渡 辺 ということは、基本的には、純賃料の部分ではなくて、いわゆる所在市町村交付金が倍近くになっていますから、それはそのままそっくり賃借人の方に跳ね返るわけで、その部分で、契約の更新、賃料改定の合意が難航するケースもあるのではないかなと危惧しているところです。

 一方で、訴訟対象地を含めた全ての県有林ですから、当然訴訟で争っている部分の賃料収入はないと承知しております。

 そうすると、賃借人からの賃料がない中で、所在市町村交付金は交付していく。入りがないのに出る部分がありますが、出ていく部分の財源はどういうものを使っているのですか。

 

県有林課長 県から支払う、出の部分につきましては、恩賜県有財産特別会計の繰越金から拠出しております。

 

渡 辺 繰越金が無限にあるわけではないと思いますので、訴訟が長期化する、あるいは訴訟対象地以外にも合意できていない県有林の貸付地があったとすれば、それは入ってこなくなりますので、恩賜県有財産特別会計の財政事情が心配になります。その前提として、担いただくことになりますので、丁寧に説明して合意を得ていく必要があります。同時に、訴訟の結果によってはどうなるか不確定な部分もあろうかと思います。そういうところも含めて、巻き込まれてしまった他の県有林の賃借人の方に、混乱や誤解等迷惑がかからないように、丁寧に説明して、合意を得るプロセスを踏んでいただきたいと思っております。

 ちなみに、先ほど令和3年度の請求書を送ったとのことで、令和4年度もという話もありますけれども、訴訟対象地にも納付書は送られているのですか。

 

県有林課長 山中湖の件だと思いますが、そこにつきましては契約自体が違法・無効という考えでございますので、県から賃料の請求はしてはおりません。

 

渡 辺 ということは、そこの部分についての所在市町村交付金は入ってこないという理解になると思います。ほかのところも、合意が得られてなければ、そもそも賃料を御負担いただくことができないと思いますが、それについては、請求しないから入ってこないんですけども、請求しないという県の立場もある中で、将来的には納付していただくと思いますが、そういう部分で延滞とかそういった上乗せの金額はついたりするのですか。

 

県有林課長 合意をいただけていない方は、契約がないので、県から請求しておりません。延滞金等の発生はしないことになります。

 

渡 辺 わかりました。所在市町村交付金の交付を受ける市町村にとっては増額されることは歓迎すべきことと内心受けとめられているかと思います。一方で、それを実質的に負担する賃借人の方々にとっては、やはり戸惑いや不満はあろうかと思います。繰り返しになりますけれども、よく説明して真の合意を得ていただきたいと思います。

 最後に、県有林の貸し付けにおける賃料の算定方法が変わったことによって、さまざまな県有林の貸し付けにおいて、賃借人と交渉していると思います。その数、減免や激変緩和措置のないところも全部含めて恐らく500数十件。そうは言っても、令和3年分なわけですよね。全体は今どういう状況になっているのですか。減免とか関係なく、賃料の更新についての全体像の進捗状況は、どのような状況になっているのですか。

 

県有林課長 全体で今回の料金改定の対象になるのは、574件あるわけですが、進捗、つまり、どのくらい同意をもらえているのかという質問だと理解をしていますけれども、まだ交渉中のものもございますので、件数をはっきりと申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。ただ、全体像で申し上げると、ぼんやりの答弁になってしまいますが、残り件数はごく僅かと言えるレベルのところにあります。

 

 

通勤通学路等自転車走行環境整備事業費について

渡 辺 県土の2ページ、道路整備推進費のうち、通勤通学路等自転車走行環境整備事業費について何点かお伺いします。

 説明の中で一昨年に予算化されてという話も伺いました。記憶では1億円ぐらいだったと思いますが、今回またこういった形で記載されていますので、改めてこの事業の目的について伺います。

 

道路整備課長補佐 県では、「サイクル王国やまなし」の実現を目指しまして、令和元年に山梨県自転車活用推進計画を策定しました。この計画を受けまして、令和3年に具体的な整備計画を定めた自転車走行環境整備計画を策定したところです。

 この計画では、約50キロメートルの区間で整備を行うこととしております。本事業は、この計画に基づきまして、安全で快適な自転車の走行環境を整備することによって、通勤・通学時の自転車の利用を促すことを目的としております。

 なお、補助率100%の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が創設されたことから、この交付金を活用することとしております。

 

渡 辺 補助率100%の臨時交付金を使ってやっていただけることは実にありがたいことで、コロナ禍で自転車通勤・通学する方がふえてきているとの報道もあります。

 また、私の地元の富士北麓地域はそうでもないですが、甲府を中心とした地域は昔から通勤も通学も、特に通学で、自転車で中学校や高校に通うことの多い地域ですので、安全対策をぜひしっかり行っていただきたい中で、そういった臨時交付金を活用してこういう事業をしていただけることは大変ありがたいことであります。

 その中で、具体的な整備として、先ほど説明の中で矢羽根、ピクトグラムを整備していくとのことですが、具体的にどのようなものをつくっていくのか、詳細な説明をお伺いしたいと思います。

 

道路整備課長補佐 整備の内容ですけれども、自転車の進行方向を示すとともに、自転車と自動車の双方に自転車の走行空間を明示するため、車道の路肩部分に、青色の矢羽根型をした路面表示を行います。それにあわせて、自転車のピクトグラムを設置することとしております。

 

渡 辺 富士北麓地域では、自転車ロードレースが開催されたこともあって、ブルーラインや矢羽根などが周知されていますが、甲府市内ではなかなかそういう整備がなされてこなかったので、どういったものが整備されていくのかを知らない方もいらっしゃって、いつの間にか線が引かれているということを聞くこともあります。車で走っている人に、ここは自転車が通る道だということを周知してもらうために、周知活動にも力を入れてもらいたいと思いますけれど、具体的な整備箇所についてお伺いします。

 

道路整備課長補佐 県では、これまでに約10キロメートルの整備を行っております。委員の御指摘のとおり、学校の近くをメインにしております。

 今年度は、甲府西高校付近のアルプス通りと、山梨大学附属中学校付近の県道の天神平甲府線、甲府東高校付近の城東バイパスと和戸通り、山梨学院高校付近の城東通りと県道甲府韮崎線の6カ所、合計8キロメートルで整備を行う予定であります。

 

渡 辺 特に学校周り等を優先的に整備していただけることは大変ありがたいと思います。子供の自転車の安全対策は大変重要で、車に乗っていれば中学生や高校生が自転車に乗っていて、ひやっとする場面を1度や2度経験したことのある人が多いと思いますので、学校を中心に、そして行く行くは全体的に周知が広まるように整備を進めていっていただきたいと思います。

 こういった整備事業は、どうやって検証していくかが実に難しいと思いますが、その整備効果の検証をどのようにお考えになられているのか、伺いたいと思います。

 

道路整備課長補佐 整備効果としましては、自転車の交通量の変化がございます。国道411号の岡島百貨店東におきまして、自転車の交通量の調査をしたところ、設置前と比べて14%ふえたことが確認できました。

 また、整備後にはアンケートも行いましたので、寄せられた声を御紹介させていただきたいと思います。

 例えば、「自転車からの幅寄せやクラクションを鳴らされて怖い思いをしていたが、矢羽根のおかげで安全に通行できるようになった」、「歩道を走っていた自動車が車道を走るようになり、安心して歩けるようになった」などの声が上がっております。

 一方、先ほど御指摘のあったとおり、「矢羽根を自転車で踏んでいいのか」、「規制表示なのか」、「設置する目的は何なのか」などの声もありました。

 今後は、交通ルールどおり左側通行が徹底されているとか、これまで歩道を通っていた自転車が車道へ転換した割合がふえたとか、そのような検証も行いまして、この事業の効果を検証してまいりたいと考えております。

 

渡 辺 「サイクル王国やまなし」を目指し、自転車を活用した観光振興、地域の活性化をするに当たって、やっぱり安全対策が大前提になってくると思います。特に学校周りあるいは子供たちの通勤・通学の道はしっかり整備していただいて、かつまだまだ私たちの地元の富士北麓地域はロードレースの関係もあって、ある程度周知されて認知されていても、甲府市内ではまだ認知されていないことが多いように聞いておりますので、こういった表示がどんなものなのか、そしてどういった意図でつくられているのか、広報活動もしっかりしていただいて、整備を進めていっていただきたいと思います。

 最後に、整備計画全体の50キロメートルのうち、現在10数キロメートル整備されて、まだ多くの未整備区間があると思いますが、今後、そういった目的や整備内容の周知も含めてどのように取り組んでいくのか、お伺いします。

 

道路整備課長補佐 整備につきましては、本交付金をはじめとした国の補助を最大限活用しまして、県内の自転車利用促進を図ってまいりたいと考えております。

 また、周知につきましては、県のホームページに矢羽根型路面標表示の設置目的などを説明したチラシを掲載しております。さらに、交通管理者と連携をいたしまして、運転免許の更新の際や中高生の自転車安全教育の際に周知をしていきたいと考えております。

 

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