令和6年6月定例議会 教育厚生委員会

アール・ブリュット等文化芸術活動支援事業費について

 渡 辺 御説明の中で、事業内容としてはデータをオンラインで公表ということでした。また、この資料を見させていただきますと、事業内容として、マル新で企画展のデジタル空間での公開と記載されております。まず、この事業 内容の詳細についてお伺いしたいと思います。

 障害福祉課長 本年度10月に実施予定の企画展を訪れることができない方にも作品を鑑 賞していただけるよう、企画展の様子をスキャンカメラで撮影し、高精度の3Dデータとしまして、実際に展示会場を歩いているかのような演出を行いながら、オンライン上で公開するものであります。

 渡 辺 障害者の方々には、直接来て御覧になることが難しい方もいらっしゃるので、このようにオンラインで参加することもいい試みであると思います。 また、山梨県文化芸術基本条例においては、障害の有無にかかわらず、ひとしく文化芸術の充実を図るとしているところでありまして、健常者に比べますと、障害者の方々の中では、文化芸術活動の充実というのはもっともっと必要ではなかろうかと考える次第でもあります。 今回この予算を調べていく中で、御説明にもありましたとおり、どこかで見たことがあると思ったら、当初予算の中に、同じ事業費で824万2,000円計上されていて、内容も企画展の開催ということなのですが、今の説明を聞いていると、当初予算で計上されていたものと大きく関連してくると思いますので、当初予算の企画展の内容と本事業との関連を次にお伺いしたいと思いま す。

 障害福祉課長 企画展は、障害のある方が一表現者として制作した優れた作品をより広く知っていただくことや、評価していただける機会の創出を目的に実施をするものであります。甲府市街の商店、カフェ、ギャラリー等、複数の会場を設けまして、県内外の著名な作家の作品を展示し、町なかを周遊する形の展覧会とする予定であります。 今回の事業は、企画展終了後、企画展の様子を数か月間オンライン上で公開をするものであります。

 渡 辺 当初予算の企画展と併せて甲府市内を周遊したり、あるいはオンライン上で開催したりと、相乗効果を求めて計上されているものと理解をさせていただきますが、私もこの予算を見て、ほかのことを調べる中で、本県には、障害者の方々の中でも県内外に発信するべき芸術価値の高い作品が多数あったり、それを生み出す作者の方々が多数いらっしゃるということを知ることができました。 私も知識不足で知らなかったわけですけれども、まだまだ周知が進んでいないということが課題になっていると改めて感じたところであります。その機会をつくる上で、今回予算計上されることは大変有意義なことだと思っておりま す。 ただ、これだけでは、さらなる芸術活動の推進にはまだまだというところもあると思いますので、本事業の期待される効果等、本事業を含めて、この活動の将来的な展望についてお伺いしたいと思います。

 障害福祉課長 本事業は、物理的な距離や障害の程度により、企画展開催期間中に会場を訪れることが困難な方でありましても、場所や時間を気にすることなく、作品を鑑賞いただくことができます。作家の障害特性や創作背景等、作品のみならず作品に対する作家の想いなどを紹介することで、障害のある方の創作意欲向上や一表現者として評価される機会を増やし、芸術をツールとしたキャリア形成につながることが期待されます。 また、デジタルコンテンツとして企画展空間を保存することが可能となり、 作家や作品のアーカイブの役割になることで、将来的には県内外の多くの美術、メディア等の業界関係者の目に触れつつ、評価される機会が増え、作品の二次利用につながることが期待できます。 今後も、障害のある方の文化芸術活動を通じまして、地域での生活の質を高められるよう、障害のある方の個性や能力の発展及び社会参加の促進を図ってまいりたいと考えております。

 渡 辺 障害の程度もいろいろある中ですけれども、障害者の方がなかなか外に出づらい環境を少しずつでも改善していただくためにも、この文化芸術ということがいい切り口になっていくと思います。 ただ、既にやっていらっしゃると思いますが、視覚障害の方もいらっしゃり、オンラインでも参加しづらい方々もいるかもしれませんので、きめ細かな対応 を今後もお願いしたいと思います。 また、当初予算の企画展が甲府の複数箇所で開催されるということで、これは障害者の方々の芸術促進だけでなくて、甲府市内の観光振興にも大いにつながっていって相乗効果が得られるだろうと思っておりますので、このオンラインと甲府市内の周遊の複数箇所での開催を併せてしっかりと事業を推進していただいて、障害者の方々が今後地域で活躍できるような、本当の意味での地域共生社会の実現に向けて御尽力いただければと、お願い申し上げて、次の質問に移らせていただきます。

DPAT体制強化事業費補助金について

 渡 辺 精神障害者保護対策費1,600万円の うち、マル新のDPAT体制強化事業費補助金について、何点かお伺いしていきたいと思います。 代表質問でも質問されていましたけれども、今年の元日に発生した能登の震災は、報道等によりますと260人以上がお亡くなりになっているということで、本当にその被害の大きさを感じているところでもあります。 そして、特に今回の能登の震災においては、避難先でストレス等、将来の不安などから、気分の落ち込みを感じる人や飲酒量が増えた人も多いということであります。そのような中で被害者のメンタルヘルスケアというものが大変大事になるとそのように理解しております。 ただ、聞くところによりますと、DMATに比べて、精神医療を扱うDPATの整備が全国的になかなか進んでいないという状況を耳にしております。そこで、まず初めに、DMATとDPATの隊員数の全国及び本県の現状についてお伺いするとともに、DMATに比べてDPATの隊員数が思うように増加していない理由や原因を県としてどのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

 健康増進課長 まず、DMATとDPATの隊員数についてですが、いずれも令和4年度末現在で、DMATは全国で1万6,608人、山梨県では227人です。一 方で、DPATは全国で4,279人、山梨県では37人であり、DMATと 比べて進んでいない状況にあります。次に、DPATの整備が進んでいない理由としまして、DMATについては、 DMATを設置した病院に診療報酬上の評価があるのに対しまして、DPATには評価がございません。また、補助金等の財政措置につきましても、DMATには資機材購入費が措置されているのに対し、DPATは急性期対応を行う先遣隊分しか措置されていないことが上げられます。なお、この2点につきましては、DMATと同様の措置を講ずるよう、国へ要望をしたところでございます。 このような状況のため、DPATの活動に必要となる資機材の整備費用の大部分を病院が負担しなければならず、DPATの拡充が進まない一因と考えております。

 渡 辺 数等を聞いていますと、一概にDMATとDPATを比べていいものかどうかは、いろいろあると思いますけれども、よく報道等でも比較されますので、 それを聞いていますと、やはり大分隊員の整備が進んでいないというのは実感するところであります。    
そのような中で、原因として今おっしゃったように、国の制度上の課題があるということも理解させていただきました。この点については、自民党山梨県連としてもしっかりと県の要望についてサポートしていくような体制を取ってまいりたいと思っております。 そこで、国のほうでなかなか予算がついていない状況の中で、県が県費でやるということになるのが今回の事業であるということだと思います。 予算計上された経緯等は御説明を頂きましたけれども、今回、この事業の中の補助金で整備する資機材のどのようなものがDPATの中で必要になっていて、要望があるのかということについて、次にお伺いしたいと思います。

 健康増進課長 今回の事業で整備を想定しております資機材につきましては、ヘルメット やゴーグル、ヘッドライト、安全靴、防寒着などの安全装備品、そして無線機や現地で使用するパソコンなどの通信機器、寝袋や毛布、カセットコンロなどの生活用品を想定しているところでございます。いずれも、今回の能登半島地震において、厳寒の中、多くの通信途絶地区や孤立地区があったことを踏まえたものでございます。

 渡 辺 本当に過酷な被災地の中に行っていただいて、被災者の心のケアをしていただくDPATの方々が、しっかりとケアができるような体制をつくっていくということはすごく大切なことだと思います。ぜひともこのような支援をしながら、県内におけるDPATの隊員数の増加あるいはDPATそのものの体制強化にさらに御尽力いただきたいと思っているところであります。 質問の最後に、これだけでDMATに比べてDPATが増えていくというところにもなかなか行き着かないと思います。国の取組等もそのように思うところですけれども、さらに本県における災害の想定として、例えば首都直下型地震や南海トラフ地震、富士山噴火等、様々な想定がされておりますので、そのような中でメンタルヘルスケアというものが大変重要になってくると考えておりますので、ぜひとも今後の取り組みと意気込みについて、最後にお伺いしたいと思います。

 健康増進課長 本県で大きな被害発生が懸念される南海トラフ地震などの大規模災害では、 他県からの支援隊の派遣に時間を要してしまうことや避難生活の長期化により、他県の支援隊が引き上げてしまうことも考えられます。そのため県内で自己完結できる精神科医療体制を整備していく必要があると考えております。
 このため、まずは、令和5年度末現在、13チームのDPAT隊を令和10年度までに20チーム確保することとして、今年度3月に策定しました山梨県強靱化計画に位置づけたところでございます。また、これに加え、県立北病院を災害拠点精神科病院としての指定を目指し、現在、設備や資機材の整備を進めているところです。 こうした取り組みにより、災害時でも適切な精神科医療が提供できる体制を整備していきたいと考えております。

こども誰でも通園制度について

 渡 辺 国では、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルに関わらない形での支援を強化するため、現行の幼児教育・保育給付に加え、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず、時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付、いわゆるこども誰でも通園制度の創設を目指していると承知しております。 そこで、まず初めに、この制度の現在の取り組み状況について、県としてどのように把握されているのかお伺いしたいと思います。

 子育て政策課長 この制度は、子供を中心に考え、子供の成長の観点から、全ての子供の育ちを応援し、子供の良質な成育環境を整備することを目的としまして、令和8年度より全自治体で実施することとしております。 現在、国では本格実施に向け、試行的事業に取り組んでおりまして、順次、 実施自治体を公募により選定をしている状況でございます。 試行的事業では、補助割合を国4分の3、市町村4分の1、対象をゼロ歳6か月から2歳の未就園児、1人当たり月10時間を上限とし、実施をされております。

 渡 辺 全国的に深刻な少子化の中で、その要因として共働き家庭が多い中で、ゼロ歳6か月から2歳までの子供を預かってもらえるところの充実というのは、本県においてもいろいろな意見を伺っているところであります。 その中で国がこのような取り組みを進めているということでありますけれども、 今御説明にもあったとおり、国のほうでは、制度の本格実施を見据えて、試行的事業として現在取り組んでいるということでございます。 そこで、この試行的事業を実施しているところ、実施予定のところの全国の自治体数と本県の状況について、次にお伺いします。

 子育て政策課長 全国におきましては、本年4月時点で115の自治体が採択を受け、実施をしております。また、県内の自治体では、甲府市が実施しておりまして、今月から市内の22の公立・私立の保育所、認定こども園、幼稚園等において、 受入れを開始しております。

 渡 辺 全国で100以上の自治体が参加しているという中で、本県では甲府市のみということでありますが、少し少ないように考えるところであり、少し残念なところもあります。 そこで、本県においてで結構ですので、甲府市以外の市町村が実施を予定していない、あるいは実施をしていない、その要因について、県としてどのようにお考えになっているのか、次にお伺いします。

 子育て政策課長 本事業実施に当たって、市町村では実施に必要な予算の確保とともに、 園の定員と保護者利用ニーズを踏まえた計画の検討が必要であります。 一方、園におきましては、新たに対応できる保育士を確保するための準備が必要であります。また、民間の調査結果では、受入れに当たって保育士負担や事務負担が増えることへの不安があると回答した割合が高く、園が安心して保育を提供できる体制整備が必要と考えております。

 渡 辺 財政的な問題等、市町村にも様々な個別の事情もあるとは思いますけれども、 要綱等を見させてもらいますと、試行的事業の実施に伴って、実施事業所の設置を行うために必要な整備費及び改修費等については、就学前教育・保育施設整備交付金及び保育所等改修費等支援事業により措置されるということも記載されているところであります。 そのような中で、令和8年度に向けて、国の大方針としても本格実施していくという方針が示されているところであります。また、この子育て支援の強化については、本当に強い要望等もあるところでありますので、ぜひ様々な市町村にも参加してもらいたいと思っております。 現在、三次募集も行われているということも承知しております。そのような中で、国と市町村の直接の事業ですので、なかなか県としては、ということもあるかもしれませんけれども、こども誰でも通園制度が本格実施されていくという方針は示されておりますので、今後、市町村と連携して、県としてどのようにこの制度に対して取り組んでいくのか。最後にお伺いします。

 子育て政策課長 令和8年度の本格実施に向けまして、多くの市町村、施設へ取り組みを広め、ノウハウを蓄積していくことが重要と考えております。このため、学識経験者や保育施設の施設長、自治体職員等で構成する保育等人材確保・定着等協議会におきまして、課題や対策を検討するほか、甲府市をはじめとした、試行事業実施自治体の状況を市町村に周知するとともに、国の補助メニューの活用を促しながら、制度の本格実施を支援してまいります。

教職の魅力発信強化事業費について

 渡 辺 教職員人事給与管理費320万2,000円のマル臨の教職の魅力発信強化事業費について、何点かお伺いしたいと思います。教員の魅力発信等を行うというようなことが書いてありまして、今の御説明では、仕事のやりがい等のことをおっしゃっていましたけれども、具体的にどのような方法で魅力の発信等を行っていくのか、初めに伺いたいと思います。

 義務教育課長 この事業につきましては、大学、PTA、企業と連携した会議体を設置し、教員確保の取り組みや教員の魅力発信のための方法について意見を伺いながら、 魅力発信に適したメディア等を活用し、教職の魅力を広く発信していくものでございます。

 渡 辺 会議体を通じてということで、もちろん、市や、ホームページ、SNSなども活用しながら、特に大学を卒業した後の若い世代に強力に発信できるよう、いろいろな意見を踏まえながら取り組んでいただきたいと思っておりますが、 今回、マル臨ということで、この事業の目的と期待される効果についてお伺いしたいと思います。

 義務教育課長 この事業の目的についてですが、まず地域全体に、教員の仕事や魅力を発信することを通して、より多くの県民の皆様が教員を支える気持ちを持っているということを社会全体で共有し、教職の道を志す人に働きかけるということを目的としています。また、教員の魅力を発信して教員を応援する取り組みは、現在働いている教職員も社会に支えられているということを実感することで、生き生きと働くことにつながると考えております。さらに教員の生き生きと働く姿を見ることや、社会全体において教員を応援する機運が高まることによって、本県の教員を志そうという機運が高まるといった効果を期待しております。

 渡 辺 本当に教職員の方々は、日々変わっていく環境の中で、大変ご苦労されていることは承知しているところで、地域の方々や関係機関と連携しながら全体で支えていって、教員のなり手不足という喫緊の課題に対して、解消に向けて取り組んでいくことは大変重要なことであると考えます。その中で冒頭の説明で、大学・企業等と連携した会議体を設置と説明がありましたが、会議体の詳細も含めて、どのように連携するのかお伺いしたいと思います。

 義務教育課長 大学や企業、教育関係団体等を中心に協力を依頼しまして、会議体を構成していくのですが、この会議を通しまして、教育界だけではなく、様々な立場の方からご意見を伺う中で、山梨全体で教育を支えるといった機運を高めることができると考えています。

 渡 辺 ぜひいろいろな立場の方や、経験を持たれた方から前向きな意見をいただき、 より教員確保に資するような会議体になっていただきたいと思います。教員の人材不足という問題は、全国的な課題でもありますが、本県においても、大変深刻な状況にあるということは承知しております。また、年々、教職員の志願者も減ってしまっていることも大きな問題となっているところで、志願者の減少原因というものが、長時間勤務や多忙により働いている方々の勤務 状態が厳しいということや、子供たちに対する対応、親に対する対応と、精神 的負担の大きさがあるのですけれども、それに比べて、社会的評価が年々低下していることが大きな問題となっていると思います。 県としてこの喫緊の課題に対して、ご尽力いただきたいと考えていますが、 最後にこの事業も含め、質の高い教員の、確保、定着、育成に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。

 義務教育課長 現在も採用検査の改善等々、人材確保ができるよう努めているところです けれども、今後それに加えて、教員を応援する機運が県全体で高められるよう、教職の魅力を発信するなどの取り組みを進めて、教員を志す人材の確保に努めてまいりたいと考えております。