令和4年10月 土木森林環境委員会

建築資材の物価高騰への対応について

 渡 辺 建築資材の価格高騰への対応について、何点かお伺いしたいと思います。新聞等でも報道されているとおり、昨今の物価高・燃料高騰の影響によって、建設資材、特に生コンクリート、コンクリート二次製品、アスファルト合材等々、主要なものの価格が高騰しております。また、積算単価では購入できないものもあるという話も地元から伺っているところであります。
 そこで、現在の主な建築資材の価格の高騰の状況について、お伺いしたいと思います。

 技術管理課長 今般の社会経済情勢を受けまして、建設資材におきましても世界的に需要が逼迫している状況でございます。また、原材料価格の高騰とともに上昇が継続している状況で、今後もこの状況が続いていくのではないかと推測されます。
 今年度に入ってからの価格の動向の状況でございますけども、4月期と9月期を比較した上昇率は、異形棒鋼、鉄筋が約24%、鋼材におきましては約12%と非常に高い状況であります。また、生コンクリートにおきましても、約7%上昇している状況でございます。

 渡 辺 やはり鉄、鋼材関係はかなり値上がりしていて、コンクリートも7%ですけれども、徐々に上がってきているということで、私の聞くところによると、1月単位で価格が変動して民間でなかなか見積もることが難しくなっているとのことです。
 そこで、県では建設資材価格の動向をどのように把握されているのか、お伺いします。

 技術管理課長 建設資材の価格につきましては、国をはじめとする全国の地方自治体で公共工事の設計単価に適用している建設物価調査会刊行の建設物価、経済調査会刊行の積算資料により、毎月価格の変動状況の把握に努めているところでございます。
 あわせまして、生コンクリート、骨材、アスファルト合材など、地域ごとにプラント等がございまして、価格特性が異なる主要資材につきましては、県から委託業者に依頼して、販売元である問屋さんや特約店等へのヒアリング、場合によっては、直接、請負業者さんに価格調査をしまして、動向の把握に努めている状況でございます。

 渡 辺 公共工事でも価格に合わずに入札が不調になってしまうとの話も市町村等から伺っているところです。そういった動向を把握しながら、適切に価格の対応をしていただきたいと思います。今後、さらに円安という形で燃料髙は変動すると思いますので、適切に対応していただきたいと思いますが、現状、建設資材に対して県としてどのような対策を行ってきているのか、お伺いします。

 技術管理課長 県が発注する公共工事におきましては、実際の取引価格を調査して設計価格を決めているところでございます。これに伴い、令和3年度は単価改定を行う頻度を年1回だったところを、今年度より年4回にふやしております。これにより、実勢価格を設計の適正価格にできるだけ早く反映するよう努めております。
 あわせまして、変動が著しい資材につきましては、随時、臨時調査を行いまして、速やかな単価改定、定期改定以外の臨時改定も行うこととしております。
 また、契約後に資材価格が高騰した場合につきましては、取引価格と設計価格との差額を精算いたしまして、受注者の負担を軽減する単品スライド条項というものがございます。その積極的な活用を請負者に求めたり、建設業協会に単品スライド条項の適用の仕方や具体的な制度内容について説明をさせていただいており、あわせて県のホームページに単品スライド条項に係るマニュアルを載せ、具体的な説明冊子、リーレット等を掲載して、制度の周知徹底を図っているところでございます。

 渡 辺 今まで年1回だったところを年4回の改定にしていただいて大変助かっています。ただ、月単位で価格変動が起こるものも多い中で、答弁の中にありましたが、適宜、できれば毎月、改定していただいて適正な積算単価を算出していただきたいと思います。
 また、単品スライドについて、請負業者から担当の方々の温度差があるような話も聞いていますので、ぜひ県土整備部としても柔軟に対応できるような、相談に乗っていただけるような体制を引き続き取っていただきたいと思います。

災害協定に係る評価方法について

 渡 辺 初めに、公共工事の一般競争入札における総合評価方式の加点として、地域防災計画に示されている災害協定が加点対象になっていると思いますが、具体的にどのように評価しているのか、お伺いします。

 技術管理課長 災害協定の締結につきましては、総合評価落札方式の企業の信頼性、社会性、地域の貢献度の評価項目におきまして、山梨県の地域防災計画に掲載されている災害時に備えた締結をした各種協定を対象とし、当該協定に基づき、災害時の応急対策業務に従事する企業、具体的には関係団体が発行する証明書の写しを添付いただきまして、評価点2点を加点している状況でございます。

 渡 辺 地域防災計画では、さまざまな災害協定を示されていると思いますが、例えば建設業協会のように災害時において最前線の災害対応に当たっている団体を、若干それに比べれば距離感のあるその他の災害協定と同様に評価されているように今の答弁の中では感じ取れましたが、2つを同様に評価している理由は何なのか、お伺いします。

 技術管理課長 山梨県の地域防災計画に位置づけられている応急対応に係る協定でございますけれども、これは有事に生じる多様な災害状況に対し、さまざまな工種に応じて関係者が機動的かつ円滑に協力して活動するために、県の防災会議での議論を経て策定されております。
 したがいまして、総合評価におきましては、地域防災計画に定められている応急対応に係る各種協定を企業の信頼性、社会性、地域貢献度ごとの評価対象とし、協定に基づく多様な工種を分け隔てなく評価するものとして、現在、評価を行っているところでございます。

 渡 辺 総合評価方式の加点2点はかなり大きいということは御承知のとおりだと思います。1点だとしても、1億円からの工事を受注する、また入札する場合も100万円ぐらいの差額が出る、2点ともなれば結構大きな加点なので、現在、土木工事において建設業協会の災害協定以外の協定をどの程度評価しているのか、改めてお伺いしたいと思います。

 技術管理課長 前年度の総合評価落札方式で発注した土木工事におきまして、災害協定の締結で、県の建設業協会の災害協定以外の協定を評価した実績でございますけれども、1%未満、約4件と非常に少ない状況でございます。

 渡 辺 本来であれば、やっぱり県の土木工事と密接に関係する災害協定を加点対象としていくべきだと思いますので、件数としては少ないですが、今後、差をつけていく必要はあろうかと思います。もちろん、全体的に災害協定を評価していくことを反対するわけではありませんけれども、より密接に関係しているものは、より評価していくべきだと私は思います。例えば、今後、建設業協会のような災害時に迅速な対応や必要不可欠な協定をしているところは高く評価していくべきだと思いますが、どのようにお考えになっているのか、最後にお伺いしたいと思います。

 技術管理課長 県と山梨県建設業協会との間で締結している災害時における応急対策業務に関する基本協定におきましては、道路、河川、砂防、治山、林道等、公共施設の被災が発生した場合、発生するおそれがある場合、応急対策業務の実施に関する基本協定を定めております。
 さらになおかつ、各地域を所管する建設事務所、林務事務所も同様でございますけれども、建設業協会の地域支部との間で災害協定を締結し、有事に際して当該地域の協力企業の機動的かつ円滑な対応、具体的には、被災状況の情報収集、応急時の応急復旧等を担保している状況でございます。
 こうしたことを踏まえまして、発注工事が土木一式工事である場合には、総合評価落札方式においても高く評価するべきではないかということは十分理解しております。
 それにつきましては、現在検討中で、来年度に向けて見直しができればと考えております。具体的なものは、特に土木一式工事に限定しての対応を考えていければと考えております。

未利用材活用促進事業費補助金について

 渡 辺 未利用材の活用促進に対して経費を助成するとのことですが、伐採して出た枝や根などを未利用材というと思いますが、そもそもウッドショックで木材が少ない中で、国内産の木材の需要がかなり高まっていることは御承知のとおりだと思います。そのような中、2050年カーボンニュートラルのこともありますので、こういった未利用材を積極的に活用していくことは大切な取り組みだと思っていますが、そもそもどうしてこれまで未利用材が活用されてこなかったのか、まずお伺いしたいと思います。

 林業振興課長 未利用材は、1から3ヘクタール程度の広大な伐採地域に広く散らばった状態で残されております。長さや形状なども均一ではありません。このため、収集や運搬にコストがかかり、それに見合った収益が見込めないため、今まで活用が進んでいませんでした。

 渡 辺 伐採して木材になる規格があるものはともかく、規格に合わないものを運搬することにコストが増大していたのではないかと思いますが、今回、1立方メートル当たり1.500円の補助をすることで、先ほど言われたコスト面の問題を解決していくということだと思いますが、どのようにつなげていくのか、もう少し具体的にお伺いしたいと思います。

 林業振興課長 これまで森林の伐採は、伐倒した箇所で丸太の状態にして収集運搬を行っておりました。本事業では、伐採木に枝葉がついた状態で搬出し、作業ヤードで利用目的に応じた仕分けを行うことで収集作業の効率化を図り、あるいは、現場で枝葉などを粉砕してチップに加工することで容量を減らし、1回の運搬量を増加させるなど収集運搬の低コスト化に取り組むことを補助の要件としております。
 本事業の実施を通じて、こうした低コストでできる作業方法を県内事業者への定着につなげてまいります。

 渡 辺 先ほど申し上げたとおり、国産材に対する需要にかなり目を向けられている中で、ウッドショックによる木材の高騰は、本県の県産材にとってはチャンスだと思っております。今までコストがかかっていたものを、何とかコストダウンを図るための設備投資に助成していただき、積極的に進めていただきたいと思います。既定予算が500万円で今回の補正が2.000万円ぐらいですが、当初予算のときに比べて何か状況の変化があったということですか。

 林業振興課長 ウッドショックの影響により国産材の需要が高まる中、これまでバイオマスとして利用されてきた小径木などの合板用での使用が進み、本年の春ごろから燃料用チップの需給逼迫が生じております。
 こうした状況の変化により、未利用材の活用に前向きな事業者がふえ、本事業の当初予算を上回る要望が寄せられたところです。

 渡 辺 今までチップに行っていたものが合板用に取られることになってチップが不足してきたということだったんですね。それは商品化できてきているということでよろしいかなと思いますので、ぜひこういった補助を積極的にしていただいて、県産材の販路拡大につなげていただきたいと思います。

省エネ・再エネ設備導入加速化事業費補助金について

 渡 辺 今回の補正予算の大きな目玉になっている事業ということで、産業労働部が主だと思いますが、福祉保健部にも林政部にもある。全体予算が14億円近くあったと思いますが、そもそも、省エネ・再エネの設備とは、省エネのほうはどのようなものを想定していて、再エネのほうはどのようなものを想定しているのか、まず、根本的なことを伺いたいと思います。

 林業振興課長 省エネ設備については、電力等のエネルギーコストの削減が図られる設備の更新に対して補助を行うものであります。当課で所管する木材加工会社等においては、工場建屋の照明を水銀灯からLED照明へ更新することなどが該当します。
 一方、再エネ設備については、再生可能エネルギーの導入に対して補助を行うものであります。太陽光パネル設置や蓄電池の設備導入などが該当します。

 渡 辺 わかりました。そういったものをやっていくということですが、全体で14億円近い予算がある中で、林政部の3.150万円は何か少ないような気もしますが、そもそも、補助対象の木材加工会社というのは、県内に何社ぐらいあるのですか。

 林業振興課長 当課で把握しているものは、製材工場や合板工場、原木市場などを含めて29社となっております。

 渡 辺 先ほどの質問とも関係しますが、これから県産材の需要が高まっている中で、それに対応していかなければならないと思いますので、県内の木材加工会社さんにも体力をつけていただいて、設備投資もしっかりとしていただいて、持続可能な経営をしていただく上でも大切な事業になってくると思います。議会で可決された後、ぜひ、積極的な広報活動をして、周知に努めていただきたいと思いますが、どのように補助制度を周知していくのか、お伺いします。

 林業振興課長 現在、事業全体を取りまとめている産業労働部と調整を進めております。執行をできるだけ早くできるようにということで、議決後、速やかに執行ができる状態を調整しているところでございます。そちらのほうが準備でき次第、広報も行っていきたいと思っております。

県有林調査事業費について

 渡 辺 令和3年春から続くウッドショックの影響に加えて、ロシアからの木材の輸入ができなくなったロシアのウクライナ侵攻の問題もありまして、本県においても木材がなかなか調達できない状態になっていることは御承知のとおりだと思います。このような状況の中でこの調査を行うとの説明でしたが、具体的にどういった調査を行うのか、まず内容についてお伺いしたいと思います。

 林業振興課長 有林の材を入札で売り払うわけでありますけれども、それには予定価格を設定する必要がございます。この調査費では、予定価格を求めるために、売り払いの範囲と面積を確定させるとともに、区域内の立木の本数、直径、高さ等から材積を算出するという作業が必要になりますので、これを実施するものでございます。

 渡 辺 予定価格のために調査を行っていくとの答弁でしたけれども、当初の想定よりも補正予算を組んで多くの調査をやっていくということですが、今回の調査によって、どのような樹木をどの程度を増大させていくのか、お伺いいたしたいと思います。

 林業振興課長 ロシア材の輸入禁止で、特に市場でカラマツの不足が顕著となっております。カラマツにつきましては、本年度、2万7.000立方メートルの供給予定量で計画を立てておりましたが、これを1万立方メートルふやしまして、3万7.000立方メートルにすると見込んでおります。

 渡 辺 ウッドショックで県産材の需要が高まっているので、臨機応変に対応していただけることについては、いい方向だと思います。
 一方で、当初予算で県有林課内での大体の計画範囲を決めて、実施して、年間計画を立てていると思いますが、今回の補正予算による臨時的な調査、伐採範囲の拡大で、当初の計画に対して大きな問題などが起きないのか、若干心配ですが、いかがですか。

 林業振興課長 現在の県有林計画は第4次でございまして、第4次計画は、令和3年度がスタートの年で10年間の計画です。10年間の計画量を96万立方メートルとしておりまして、前期5年では年間8万5.000立方メートル、後期の5年では年間10万7.000立方メートルに配分した計画としているところです。本年度は計画の2年目に当たりますので、伐採の計画量については全体で8万8.000立方メートルを計画していたところです。今回の補正予算により、1万立方メートルふやしますと、9万8.000立方メートルになりますが、山梨県県有林野管理規程というものがございまして、10年間の計画量を単年で割って出した1割増減の中に収めることになっておりますので、それについては問題ないことを確認しております。

 渡 辺 ウッドショックで木材需要が高まっているとはいえ、県有林を保全していくことは大変重要な視点だと思いますので、保全について影響なくやれる最大限の木材供給体制を整えていただくことは、ぜひ積極的にやっていただきたいですし、せっかくの県有林ですので、有効に計画的に活用していくことに重点を置いて進めていただければと思っております。一方で、外国産材がなくなっている中で、逆に言えば県産材を売り込むチャンスだと思います。せっかくある県有林を積極的に活用していただきたいと思いますが、最後に今後の対応についてお伺いしたいと思います。

 林業振興課長 市場の状況を踏まえ、計画の範囲内で伐採量について柔軟に対応をしていきたいと考えております。また、県有林材の高付加価値化に向け、県産FSC認証材でございますので、このブランド力の強化を図って、県内の林業・木材産業の振興につなげて参りたいと考えております。